「上から目線」とは
「上から目線」とは、自分より下の立場にある相手に対して偉そうな態度を取ること、あからさまに人を見下すような態度を取ることを意味する慣用句(辞書によっては、俗語としているものもあります)です。
「上から」は、言葉通り、上から見下ろすことで、他人から見下ろされると、あまりいい気持ちのするものではありませんね。一方の「目線」は、「視線」の俗語と言われています。「視線」は、目で見ている対象と目を結ぶ直線のこと、つまり、目で見ている方向を表します。
それに対して、「目線」は、「視線」と同じ意味に加えて、①それぞれの立場や役割から見た物事のとらえ方や考え方、②演劇や映画・テレビなどで演技者(被写体)がカメラに向けている目の位置や方向を表します。「上から目線」の「目線」は、この①の「目線」に当たります。
「上から目線」の使い方
上記のように、「上から目線」は、自分の立ち位置や視点を基準にして、自分のほうが相手より高い位置にいるとか、高い見識を持っているといった高慢な考え方から相手を見下したり、相手に対して偉そうに振る舞う時に使われます。
【例文】
「上から目線」の由来など
「上から目線」の由来について、はっきりしたことはわかっていません。しかし、「目線」という言葉は、映画・演劇・テレビ界などでは、業界用語として普通に使われており(カメラ目線など)、2000年ごろからこのような業界を中心に「上から目線」も使われてきたようです。
また、「上から目線」をタイトルに冠した書籍も2010年代に相次いで刊行されていて、その事実からも2010年以前から「上から目線」という言葉が社会に広まっていったことが伺われます。
なお、文化庁の平成29年度「国語に関する世論調査」の中で「目線」が取り上げられ、「上から目線の言い方をされた」という項目で、「聞いたことがあるが使うことはない」が、4割弱、「使ったことがある」が、6割弱という結果が出ています。
「上から目線」の類語
「高圧的」
「高圧的(こうあつてき)」は、相手を無理やり従わせようとする言動のことです。地位や立場を笠に着て、下の者を従わせようとする場合や、性格的に強引で横柄な場合にも「高圧的」を使います。「上から目線」と同様に、「高圧的」は、偉そうで見下した態度と言うことができます。
【例文】
「高飛車」
「高飛車(たかびしゃ)」は、将棋の浮き飛車(飛車を自分の陣の前方に高く進めて、相手に強い圧力をかける戦法)のことで、そこから転じて、相手を威圧したり、押さえつけようとする態度のことを指し、「高圧的」とほぼ同義の言葉でもあります。
【例文】
- 彼は、自分を軽く見られるのが嫌で、いつも高飛車な態度で物を言う。
- この交渉は、先方の担当者の性格から考えて、高飛車に出たほうがうまくまとめられるような気がする。
「高慢」
「高慢(こうまん)」は、思い上がって、相手を見下したり、侮ったりすることです。思い上がる原因としては、地位や才能、容姿、経済力など様々です。いずれにしても、自分のほうが上という「上から目線」的な態度で相手に接することが「高慢」と言われます。
【例文】
- 彼は、人を顎で指図する高慢な奴だ。
- 彼女は、周りからどんなに疎(うと)まれても、決して高慢な態度を改めようとしない。