「感心」の読み方
まず「感心」は、「かんしん」と読みます。「心」は訓読みで、「こころ」と読みます。「心」の字に関しては、よく名前にも使われていますね。
「感心」の意味
「感心」には大きく分けて、二つの意味があります。まず一つ目は、優れたものや立派なもの、人の心を打つものによって、心が動かされたり、心に深く感じることです。また心が動かされるほど立派な他人の行動、褒められるべき態度を表します。
二つ目は上述の意味を逆説的に用いて、呆れたり驚いたり、くだらないことを表します。含むニュアンスは反対ですが、どちらの意味も、心が動かされる点が共通していますね。
「感心」の使い方
共通している意味から要約すると、「感心」は心が動かされたとき、それくらい立派だと感じたときに使われます。そして同じ発言でも状況や言い方によって、意味するところが変わります。
一つ目の意味で使う「感心」
一つ目の意味で使う場合は、感動や褒める、評価するなどのニュアンスを含みます。たとえば映画を鑑賞して、「感心するラストだった」と一つ目の意味で使えば、「ラストは心が打たれた、深く感じるものがあった」と伝わります。
学校で自主的に掃除する生徒を見て、教師が「感心な生徒ですね」と一つ目の意味で使えば、「あの生徒の行動は立派だ、褒めるべきだ」と伝わります。
二つ目の意味で使う「感心」
二つ目の意味で使う場合は、皮肉や嫌味のニュアンスを含みます。たとえば掃除をサボっている生徒を見て、教師が「感心な生徒ですね」と使った場合、大抵は二つ目の意味を示します。上述の例文の発言と同じでも、こちらは呆れていることが伝わります。
「感心」の注意点
これらの使い方から、誰かに「感心」を使われたときは、言い方や状況からある程度、相手の感情を汲み取る必要があります。いわゆる空気を読むことが大切なのです。
そして「感心」は少なからず評価するニュアンスを含むので、一つ目の意味でも目上の人間に対して使えば、失礼と受け取られるかもしれません。そういうときは「心に深く感じ入りました」と意味するところを厳密に伝えたり、「感動」などで言い換える手もあります。
「感心」と「関心」の違い
「感心」と読み方が同じで混同しがちな言葉に、「関心」があります。「関心」とは何かを気に掛けたり、興味を持ったり、注意を払ったりすることです。
この言葉は興味のニュアンスが強く、たとえば「彼は野球に関心があるようだ」と使えば、「彼は野球に興味があるようだ」と伝わります。
また「彼の関心は彼女に向いているようだが、彼女の方は彼に関心がない」とする場合、「彼は彼女に興味を持っているが、彼女は彼を気にかけていない」というニュアンスです。
気持ちという部分では「感心」に通じるところもありますが、別の意味の言葉なので、混同しないよう気をつけましょう。
「感心」に関連する言葉
「感心」に関連する言葉には、「絶賛」、「見事」、「殊勝」などがあります。
「絶賛」について
「絶賛」は「ぜっさん」と読み、このうえなく褒めることを表します。この言葉は「絶讃」とも書きますが、どちらも同じ意味です。
たとえば「映画を絶賛する」と使えば、「その映画を褒めちぎる」というようなニュアンスです。心を打たれたから褒めるという意味で、「作品の展開に感心し、絶賛する」と使われたりもします。
「見事」について
「見事」は「みごと」と読み、この言葉は三つの意味を持っています。また「美事」と書く場合もありますが、どちらも同じ意味です。
- 結果などが素晴らしい様子、立派な様子のこと
- 手際がいいこと
- すっかりや完全に、という意味
「殊勝」について
「殊勝」は「しゅしょう」と読み、この言葉も複数の意味を持っています。その中に健気なことや感心なこと、その様子という意味があります。
「殊勝な態度」や「殊勝な発言」などの形でよく使われますが、これは「感心に値する、健気で褒められる態度、発言」というニュアンスです。