「高ぶる」とは
「高ぶる(たかぶる)」とは、人間の精神状態や言動などを表現する言葉で、以下のような意味があります。また、1の意味では、精神状態を表すことから、「昂る/昂ぶる」と表記することもあります。
- 気分や感情などが興奮状態になる。
- 自慢したり、思い上がった態度をとる。尊大な振る舞いをする。
「高ぶる」の使い方
1の意味「興奮する」
1の意味では、例えば、物事が予想と違った結果になって嬉しかったり、がっかりしたり、驚いたりした時など、感情が大きく動くときに「高ぶる」を使います。
【例文】
2の意味「思いあがった態度」
世の中には、他人に対して尊大で横柄な態度をとる人がいます。また、調子に乗って軽率に振る舞い、まわりの人の顰蹙(ひんしゅく)を買うようなことをする人もいます。そのような人の言動に「高ぶる」を使います。
【例文】
- 彼は、社長の息子だが、おごり高ぶることのない穏やかな性格の持ち主です。
- 彼女は、嬉しさに気持ちが高ぶって思わず飛び跳ね、テーブルの料理をひっくり返してしまった。
- 上昇志向の強い課長は、上に対しては媚びへつらうくせに、部下に対しては高ぶる嫌な奴だ。
慢心(いい気になること)して偉そうに振舞うことを意味する「驕(傲)り高ぶる(おごりたかぶる)」という表現があります。「驕り」も「傲り」も、いい気になる・思いあがるという意味で、「高ぶる」と相まって、傲慢・尊大・横柄な態度を強調した表現です。
「高ぶる」の類語
「激高/激昂」
「激高/激昂(げきこう)」は、感情が高ぶって激しく怒ることで、強い怒り、激しい怒りを表しています。「高ぶる」のように怒り以外の感情の高まりを表すものではありませんが、1の意味の類語と言うことができます。
【例文】
- 与党の強行採決に激高(激昂)した野党議員が議長席に詰め寄った。
- 激高しやすい性格の兄に対し、両親は腫物(はれもの)に触るように接している。
「血迷う」
「血迷う(ちまよう)」は、激しい感情に駆られて逆上し、正常な判断力や理性を失うことです。人は感情が激すると頭に血が上って正常な判断ができなくなり、思いもよらぬ行動をすることがあります。そういう時に「血迷う」と言います。
また、「血迷う」には、「みちに迷う(道に迷ってどうしていいのかわからず、右往左往する)」の「み」が欠落して「ち迷う」となり、「血」が借字として当たられたとする説があります。「血迷う」も興奮状態の一種ですから、「高ぶる」の1の意味の類語と言えます。
【例文】
- 災害で通信障害が発生し、いろいろな情報が錯綜している中、血迷った一部の人が危険な場所へ向かって移動し始めた。
- 失恋の深い悲しみで血迷ったのか、両親の勧める相手と結婚したものの、あとで後悔した。
「高飛車」
「高飛車(たかびしゃ)」は、将棋の戦法(浮き飛車:飛車を自軍の前に高く進めて相手陣地を圧倒する戦法)のことで、そこから、相手に対して高圧的な態度をとることを意味します。尊大で横柄な態度と同じようなものですから、「高ぶる」の2の意味の類語と言えます。
【例文】
- 部長の部下に対する高飛車な態度は、パワハラと受け取られる可能性もあるほど激しいものだ。
- あのお客さんはいつも高飛車な調子で話をするので、ちょっと苦手だ。
「増長」
「増長(ぞうちょう)」は、物事の程度が徐々に甚だしくなること、次第に思い上がって、高慢になることです。また、四天王の一つ増長天の略でもあります。思い上がった高慢な態度が「高ぶる」の2の意味の類語と言えます。
【例文】
- 彼は、叱るとすぐに落ち込んで立ち直りが遅いし、ほめると増長して手が付けられなくなる厄介な奴だ。
- 地震の揺れは収まったが、まだ余震の恐れもあるところに町中が停電になって住民の不安を増長した。