「徐々に」の意味
「徐々に」の意味は、「ゆるやかに進むさま。少しずつ変化するさま。ゆっくり」です。「徐々に」の「々」は、踊り字と呼ばれる記号で、前の文字を繰り返す時に使われます。つまり、「徐」を重ねることで意味を強調した言葉になります。
「徐」は単独で「ゆっくり進むさま。しずか。ゆるやか」という意味を持ち、「徐行(ゆっくりと進むこと)」のような熟語で使用されます。また訓読みでは「徐(おもむろ)に」と読みます。
「徐(おもむろ)に」の場合は、「落ち着いて事を始めるさま。ゆるやかに」という意味になります。「徐」が、1つか2つかで少し意味が変わってくるので注意が必要です。
「徐々に」の使い方
「徐々に」は、「少しずつ変化していく」という意味合いが強い言葉です。例えば、「前の車が徐々に歩道に近づいている」という文章は、前の車が「時間をかけて少しずつ歩道の方へ位置を変えている」と解釈することが出来ます。
「徐々に」は、色々な場面で使うことができ、物や人・天気に至るまでその変化のスピードを表します。水が氷になったり、体温が下がったりなどゆっくりと少しずつ変化する様子が伺えます。
「徐々に」を使った例文
- 理科の宿題でアジサイの観察をしたところ、種から徐々に成長していく姿を見て生命の魅力を感じた。
- 最初は席替えで隣になった女の子というだけだったが、日が経つにつれて徐々に彼女に惹かれている自分に気が付いた。
- 絶好の洗濯日和だと思っていたのに、徐々に雲行きが怪しくなってきて、終いには雨が降り始めた。
- 骨折という大けがを負ったが、徐々に容体(ようだい)は良くなっていき、リハビリを始めるまで回復した。
- 彼は高速道路が空いていることに気を良くしたのか徐々に速度をあげ、鼻歌交じりに運転を始めた。
「徐々に」の類語
「次第に」
「次第に」は、副詞で「だんだんに。順次に。順を追って」という意味があります。「物事の程度や状態が少しずつ変化・進行していくさま」を表した言葉で「徐々に」と似た言葉です。
「次第に」にも「少しずつ」というニュアンスは含まれますが、より「ゆっくり」という意味を強調したいのであれば「徐々に」の方が適していると考えられます。
【例文】
- 学校に迷い込んだ猫は衰弱していたが、エサや水分を与えると次第に元気を取り戻しているようだった。
- 遠くで雷の音がしたと思ったら次第に雲が厚くなっていき辺りが暗くなった。
- 中学生までは勉強が好きで成績も上位を保っていたが、高校に入り次第に友達と遊ぶようになると成績はどんどん下がっていった。
「段々と」
「段々と」は、副詞で「順を追って。次第次第に」という意味があります。「物事の程度が少しずつ順を追って変化・進行していくさま」を表しています。
「段々と」は、「段々良くなる」「段々悪くなる」と良し悪しに関わらず使うことが可能で、その点においても「徐々に」と似た言葉になります。
【例文】
- 大学受験が段々と近づいてくるにつれて私の緊張の度合いも日に日に増している。
- 毎日食事を作るようになったせいか段々と料理のスキルがあがってきたようだ。
- 夜遅く後ろから近づく足音が段々と大きくなり、恐怖を感じた私は走って家に帰った。
「徐々に」の関連語
ここでは「徐々に」と反対の意味にある「急速」と「突然」を紹介します。
「急速」の意味
「急速」の意味は、「物事の進展がすみやかなこと」です。ゆったりと進む「徐々に」とは反対の意味を持ちます。「短時間で物事が大きく変化する」という意味合いで「街が急速に発展した」のように使います。
「急速」に近い言葉に「急激」という言葉がありますが、こちらは「変化の様子が激しいさま」を意味します。短時間でより大きな・劇的な変化を示す場合には「急激」を使いましょう。
【例文】
- 現代では急速冷凍や急速充電など速さにこだわった商品が多く開発されている。
- パソコンが誕生してからスマホが誕生するまでにはテクノロジーの急速な発展があった。
「突然」
「突然」の意味は「にわかなさま。出し抜け。不意に」です。「にわか」とは「急に変化が現れるさま」、「出し抜け」は「不意にことをすること。ことが起こること」、「不意に」は「思いもよらないこと。思いがけないこと。意外」という意味がそれぞれあります。
「突然」は、「急に思ってもいないことが起きる」と集約できますが、「徐々に」とは反対の言葉と言えるでしょう。「徐々に雨脚が強くなる⇔突然雨脚が強くなる」「徐々に成績があがる⇔突然成績があがる」のようになります。
【例文】
- 彼は壇上に上がったかと思うと突然全校生徒の前で歌い始めた。
- 夜中に突然隣の家から大きな物音がしたので驚いて飛び起きた。