「興奮」とは?
「興奮」の意味は、大きく分けて三つの種類に分かれます。まず、それぞれの定義を簡略にここに示し、各項目に添って詳細を後述してゆきます。
- (一般的感情の動き)感情が高ぶること。
- (生物学上)生体や器官・臓器などが、何らかの刺激によって静止状態から活動状態となること。
- (精神医学上)病的な気分の高揚状態。
「興奮」という漢字以外に、「昂奮」「亢奮」という二種類の漢字が存在しますが、どれも意味は同じです。
一般的感情としての「興奮」
最も頻繁に見聞きし、自ら口にするであろう「興奮」は、一般的な感情の動きとしての「興奮」です。
定義通りの「感情が高ぶる」状態のみならず、楽しい、面白そうだ、ちょっとワクワクする…程度の心の動きにも、用いられることがあります。
使い方
(A男)
昨日の「Z・BOYS」のライブは、最高だったよ。観客は興奮して、ずっと総立ちだった。
(B子)
昨日の飲み会で、課長にセクハラされたの!怒りのあまり興奮しちゃって、思わず怒鳴って突き飛ばしたわ。
(C子)
昨晩、智子が、恋人にふられたといって、泣きながら私の部屋に飛び込んできたの。興奮して震えだしたあげく、うずくまってしまって、どうやって慰めていいか途方に暮れたわ。
(D男)
高校の謝恩会で、担任にクラスで「どっきり」を仕掛けたんだ。突然全員でクラッカーを鳴らし、秘密で用意した思い出映像を流したら、担任は呆然として、笑いだしたり泣き出したり、その興奮ぶりは今でも語り草だよ。
興奮と感情
基本的な感情の高ぶりとしての「興奮」は、やはり、通常の心の状態よりもはるかに高揚した様相を示すものです。喜び、怒り、悲しみ、驚き、なんであれ、感情をコントロールした状態をはずれます。
喜びであれば、声をあげたり、目はおのずから輝き、身体も自然と動いたりします。飛び上がって喜ぶ、などはまさにその状態です。
怒りであれば、怒声をあげたり、顔に血がのぼったり、身体が震えたりもするでしょう。怒りに身を震わせる、という状態は、まさに怒りの興奮状態といえます。
悲しみに際しても、泣き叫んだり、うずくまったりと、身体表現を伴うことが多くなります。悲しみを静かに受け止め、涙を流す状況を越え、悲しみに圧倒されている心の状態です。
驚きの場合は、さらにリアクションが大きくなりがちです。昔から、サプライズの仕掛けに驚く人々の興奮ぶりを観て楽しむ「どっきり」云々のテレビ番組は、世界でなくなることがありません。
生物学上の「興奮」
生物学上の「興奮」は、内外からの刺激によって、生体や組織が反応することです。静止状態から活動状態に移る要因は、体内の電気の流れにあります。
おもに神経線維や筋繊維は、その細胞膜に電気的な変化がみられ、その興奮が次々と繊維を伝わてゆくという特徴があります。
精神医学上の「興奮」
精神医学上の「興奮」は、おもに統合失調調や躁病、アルコール中毒などで出現する、病的に高揚した心の状態を指します。
「興奮」の類語
激昂(激高):激しく怒ること・感情が高ぶること。(文例:役員会で、自分の方針を全否定された鈴木専務は、激昂してテーブルを叩くや、退席してしまった)
逆上:怒りや悲しみの激しさで頭に血が上り、取り乱すこと。(文例:夫から離婚を切り出された優子は、逆上したあげく、差し出された離婚届を破り捨てた)
熱狂:激しく興奮し、熱中すること。(文例:サッカーのワールドカップでは、たいてい熱狂した観客が騒ぎを引き起こす)
「興奮」が用いられる頻出表現
興奮冷めやらぬ
「やらぬ」は、「状況がおさまらない状態」を指します。したがって、「興奮冷めやらぬ」とは、なにかのきっかけで起こった興奮が、ずっと尾を引いておさまらない状態を意味します。
【文例】
- 昨日、母校が甲子園で優勝したんだ。あまりの感動に、今日になっても興奮冷めやらぬ、だよ。
興奮のるつぼ
「興奮のるつぼ」は熱狂のさなかにある、とう意味です。
【文例】
- 東京オリンピックの開会式でファンファーレが鳴り響く瞬間は、おそらくスタジアムが興奮のるつぼと化すだろう。