「昂ぶる」とは
「昂ぶる(たかぶる)」は、「昂る。高ぶる」とも書き、気分・感情などがたかまる、興奮する、偉そうな態度をとるといった意味があります。
「昂」という漢字は、音読みで「コウ。ゴウ」、訓読みで「あ-がる。たかぶ-る(たか-ぶる)。たか-い」などと読みます。
上に高くあがる(昂進:こうしん)、たかまる、たかぶる(激昂:げっこう)などの意味を持つ漢字です。
「昂」の下の部分は、人がひざまずいて上を仰(あお)ぎ見る様子を表し(「仰」の原字)、太陽(日)を見上げていることから、上記のような意味を持っています。
「昴(すばる:おうし座にあるプレアデス星団)」とよく似ており、しばしば書き間違われることがあるので、注意が必要です。
「昂ぶる」の使い方
「昂ぶる」は、人の感情が徐々に興奮していく様子や尊大な態度をとる様子の表現として使われる言葉です。
喜怒哀楽(きどあいらく)の感情が高まり、内面の感情が外面の表情や態度に表れるほどになっているさまを表します。
偉そうな態度をとるという意味の「昂ぶる」は、おごり昂ぶるという表現で使われることが一般的です。
例文
- いよいよ決勝戦。選手たちは昂ぶる気持ちを抑えながら試合開始を待っていた。
- 一目見て彼女を好きになった彼は、昂ぶる気持ちを抑えることができず告白した。
- 祖父の穏やかな死顔を見て、子供のころ遊んでもらった楽しい思い出に胸の昂ぶりを抑えることができず、涙があふれた。
- 子供たちは、明日ディズニーランドに行く喜びに気持ちが昂ぶり、なかなか寝付かなかった。
- 妻は、感情が昂ぶると手当たり次第に物を投げるという悪癖を持っていた。
- 東大卒を鼻にかけている上司は、おごり昂ぶった態度で私大卒の人間を見下す嫌な奴だ。
「昂ぶる」の類語
「興奮する」
「興奮(こうふん)」とは、昂奮とも書き、何かの刺激で気持ちが昂ぶった状態を表す言葉です。刺激には、アルコールなどの物理的なものもあれば、喜怒哀楽といった感情的なものもあります。
【例文】
- 試合終了5秒前に逆転ゴールを決めた瞬間、アリーナは興奮した観客でお祭り騒ぎになった。
- 彼には酒乱の傾向がある。酔っぱらうと興奮して周りの人たちと口論になって暴力を振うんだ。
「血沸き肉躍る」
「血沸き肉躍る(ちわきにくおどる)」は、勝負などの前に気持ちが昂ぶり、体中に活力がみなぎったようになることを表す慣用句です。
また、白熱する勝負などを見ていて、自分もそこで一緒にプレーしているかのような興奮状態になることも表します。
アクション映画や小説を読んでいて、主人公のハラハラドキドキの活躍に思わず血沸き肉躍る思いを抱いた経験のある人も多いことでしょう。
【例文】
- 宮本武蔵と吉岡一門数十人との決闘場面を血沸き肉躍る思いで見ていた。
- ラグビー決勝戦の激しい攻防に観客は血沸き肉躍らんばかりに熱狂し、スタジアムは興奮のるつぼとなった。
「テンションが上がる」
「テンション」という言葉は、本来は精神的な緊張や不安を指します。しかし、現代の日本語では、「テンションが上がる」という言葉で緊張状態から気持ちややる気などが強まることを表現することが多いです。
当初は、おもに若者言葉として使われていましたが、今では多くの人が日常的に使用している表現です。
【例文】
- ディスコなんて初めは嫌だったが、音楽を聴いて周りで踊っている人を見ているとだんだんテンションが上がってきて、いつの間にか踊りだしていた。
- 初めてのデートですっかりテンションが上がってしまい、失敗の連続だった。
「感極まる」
「感極まる(かんきわまる)」は、ひどく感動する、感動が抑えられないほど感情が昂ぶることです。
【例文】
- 両親への感謝の言葉の途中で、花嫁は感極まって涙が止まらなかった。
- スマホにあきらめていた大学合格のメールが届いたとき、一瞬絶句した後、感極まって飛び上がり大声で叫んでいた。