「昂る」とは?
「昂る」(たかぶ-る)の意味は、次の二つです。
- 高くなる、高まる、亢進(こうしん)する
- ほこる、自慢する、高慢な態度をとる
どちらの意味においても、気持ち・感情・態度などが「高くなる」(強くなる、大きくなる、ある基準よりも高くなる)という意味は共通です。
このうち2番目の意味は今日ではあまり使われていませんが、「驕り昂る」(おごりたかぶる)などの言い回しに用例を見ることができます。
「昂」の字義
「昂」(コウ)という字は、「日」がのぼるさまを「卬」=「あおぐ」さまを表しています。「卬」のつくりは、「仰ぐ」(あおぐ)という字にも見ることができますね。
日をあおぐさまから、「昂 」は「日がのぼる」「値があがる」「たかぶる、意気があがる」「たかい」「あきらか」などの意味を持ちます。太陽がのぼるご利益にあやかって、人名にも使われることがあります。
「昂」の字を含む熟語としては、「激昂」(げっこう)、「軒昂」(けんこう)などがあります。さらに、「高」や「興」の字にも通じており、「高揚」を「昂揚」、「興奮」を「昂奮」と書くこともできます。
「昂る」の使い方
「昂る」の主語となるものは「気持ち」「感情」などの精神的なものが多く、そうでない場合でも「神経」「脈拍」など、原則としては精神面に強く作用する身体的作用について用いられます。
例えば、怒りが抑えきれずにワナワナと身体が震えている人がいたら、その人は「気持ち(感情)が昂っている」「神経が昂っている」といえるでしょう。簡単に「興奮する」と言い換えてもよいですね。
位置的・距離的な「高さ」や、「高い名声」などのような評判の「高まり」には使えませんのでご注意ください。
例文
- 寝る前にカフェインをとりすぎたせいか、気が昂ってなかなか眠れない。
- 一流のアスリートともなると、決勝前に気持ちが昂ることもないらしく、のんきにリラックスして鼻歌を歌っていた。
- 最愛の娘との別れに際して、母親は感情の昂りをおさえきれず、人目をはばからず号泣した。
- 社長の驕り昂った態度に、多くの者が反感を抱いている。
「昂る」の類語
「昂る」の類語としては、以下のような言葉が挙げられます。
- 燃える
- 沸く(わく)
- 滾る(たぎる)
- 激つ(たぎつ)
- 激する(げきする)
- 気が立つ
- エキサイトする
- 熱狂する
- 熱り(ほとぼり)
- 高鳴る
- ときめく
感情に関する言葉はたくさんありますので、類語表現もたくさん挙げることができますね。身体的刺激はもとより、喜怒哀楽、あらゆる感情で人間は「昂る」ことができるといえます。
「昂る」の対義語
「昂る」の対義語としては、以下のような言葉が挙げられます。
- 鎮静する
- 落ち着く
- 静まる
- 冷める
- リラックスする
まさに「昂る」とは反対に、気持ちや感情がフラットに戻っていくことを表す言葉が並んでいるのがおわかりでしょうか。
「昂る」の英語表現
「昂る」を英語で表現する際には、以下のような表現が良いでしょう。
- get/be exicited(興奮する)
- get/be nervous(緊張する)
また、「気持ちを」「人を」という文脈が必要ではありますが、「elevate」「lift」など、位置的に何かを「持ち上げる」という単語でも、「気持ちが高まる」=「昂る」という意味を表すことができます。
例文
- The last 5 minutes of the match excited all the spectators.(試合の最後の5分間に観客はみな昂った)
- That sad news make soldiers a lift.(その悲しいニュースは兵士たち[の気持ち]を昂らせる)