「慌てる乞食は貰いが少ない」とは？意味や使い方をご紹介

「慌てる乞食は貰いが少ない」（あわてるこじきはもらいがすくない）とは、むやみに焦って行動するとかえって上手くいかないという意味のことわざです。

このことわざは、早く多くの金品をもらおうと欲張って慌てている乞食は、多くの人からそのよこしまな思いを見透かされてかえってもらう物が少なくなるという状況に例えられています。

「慌てる乞食は貰いが少ない」の使い方を、「行動を諌（いさ）める場面」と「遅れを取った人を励ます場面」に分けて紹介します。

「慌てる乞食は貰いが少ない」という語句を、焦るあまりよく考えもせずにすぐに行動に移すことを諌める時、相手への教訓としてだけでなく、自戒を込める場合にも使います。また、ガツガツと得をしようとしている人に冗談めかして注意することもありますね。

【例文】

• 手持ちの株価が下がったからってすぐに売ろうとすると、慌てる乞食は貰いが少ないということにもなりかねないよ。
• 自分は他の人が上手くいったことを真に受けて焦って真似をしようとする。慌てる乞食は貰いが少ないというから、注意しないといけないね。
• いち早くお菓子に手を出そうとするんじゃないよ。慌てる乞食は貰いが少ないって言うだろう。

人によっては、事情があったりタイミングが合わなかったりして、物事をやろうとした時に他よりも遅れを取ってしまうこともありますね。

そんな時に落ち込んでいる相手を目の前にして、「慌てないように。遅れても心配することはない」と励ます、もしくは深刻になりすぎないよう軽い感じで慰める時に使うこともできます。

【例文】

• 体調が悪くて参加できなかったのは仕方ない。慌てる乞食は貰いが少ないと言うよ。十分な準備をして次の申し込みに備えよう。
• 迷いがあったのは、それだけ一生懸命考えて選択しようとしたんだ。慌てる乞食は貰いが少ないのだから、くよくよしない方がいい。

「急がば回れ」（いそがばまわれ）とは、急いでいる状況であっても、焦って物事を行うよりは着実な方法を取った方がかえって早くできることを表す言い回しです。

この言葉は、近道である難所を通るよりも、遠回りでも安全とされる道を通った方が楽に早く到着できることに例えています。「慌てる乞食は貰いが少ない」の、焦るとかえって上手くいかないさまが、よく似た意味を持つ言葉ですね。

【例文】

• 高速道路が事故で渋滞しているね。このまま高速に乗るよりも、急がば回れというように迂回路を通って行った方が家に早く帰れるかも。
• いきなり応用問題を解こうとしてもだめだよ。急がば回れというじゃないか。まず、基礎問題から挑戦してみよう。

「急いては事を仕損じる」（せいてはことをしそんじる）とは、気が急いて仕方がない時ほど、落ち着いて慎重に考えて行動すべきであるという意味のことわざです。

物事を行う時に焦ってしようとすると、雑なやり方になったり注意力がなくなったりして失敗しやすいということです。焦ると失敗しやすいと言い聞かせる意味では、「慌てる乞食は貰いが少ない」ということわざとよく似ています。

【例文】

• Aさん、急いては事を仕損じるだよ。焦らずに手順を確認しながら進めてね。
• 締切が1週間後だが、慌ててしまい落ち着かない。急いては事を仕損じると言うから、1つずつ着実にやって、仕事に穴を開けないようにしたい。

「善は急げ」（ぜんはいそげ）とは、良いと思ったことはためらうことなく即座に実行しなさいという意味のことわざです。「慌てる乞食は貰いが少ない」の焦らずに慎重に行うべきとは真逆の意味ですね。

「善は急げ」のもともとの形は「善は急げ、悪は延べよ（あくはのべよ）」で、縮約されています。「悪は延べよ」とは、悪いと思ったことは後に延期せよということです。

【例文】

• 善は急げだ。Aさんに良い知らせを教えてあげよう。
• Bさんに協力しよう。善は急げと言うから、今からでも手伝うつもり。