「貧すれば鈍する」の意味とは?
「貧(ひん)すれば鈍(どん)する」の意味は、貧しくなると頭の働きが鈍ってくる、もしくは、生活に窮するようになると心まで余裕がなくなってくるということです。
人は、生活に困るようになると、日々お金のやり繰りに追われて余裕がなくなるところから来ています。「貧すれば鈍する」の「貧する」は貧乏な状態にあること、「鈍する」は判断力や道理をわきまえる感覚が衰えることです。
「貧すれば鈍する」の使い方
「貧すれば鈍する」は、以前勢いが盛んだったのに落ちぶれてなりふり構わなくなった人の様子を描写するネガティブな意味で使われることわざです。相手の印象や様子を淡々と述べるだけではなく、相手に対して同情や憐れみ、嘲りの気持ちを込める場合もあります。
「貧すれば鈍する」の例文
- 余裕があった時にはそんなことはなかったのに、今の彼女はお金の話ばかりして品がなくなった。貧すれば鈍するとはこのようなことを言うのだな。
- 会社が倒産してAさんは変わった。貧すれば鈍するの如く、1円単位の端数まで割り勘にしようとこだわり、みみっちいと印象が悪くなったそうだ。
- まさに彼は貧すれば鈍するだな、傍から見ればすぐ詐欺だと分かる儲け話を見抜けないなんて。
「貧すれば鈍する」に似た意味のことわざ
馬痩せて毛長し
「馬痩せて毛長し」(うまやせてけながし)とは、「馬に十分な餌を与えないと痩せてしまい、毛ばかりが長く伸びるように見える」ことに例え、人も貧乏になると十分な知恵が回らないことを言います。
出典は禅宗の灯史(意味:仏教関連の歴史書)『五灯会元』(ごとうえげん)です。
人貧しければ智(ち)短く、馬痩せて毛長し
【訳】
人が貧しければ知恵の働きが悪く、馬は栄養が悪いと痩せて毛が長く見える
【例文】
人からは貧しいと思われようと、「馬痩せて毛長し」とは言われたくないものだ。
「貧すれば鈍する」反対に近い意味のことわざ
衣食足りて礼節を知る
「衣食足りて礼節を知る」(いしょくたりてれいせつをしる)とは、衣服と食物が十分であるくらいに生活に余裕ができると、他の人に対する礼儀作法や節度ある態度を理解できるようになるという意味です。「貧すれば鈍する」とは、反対の意味に近い感じがすることわざです。
【例文】
彼は責任のある立場に付き、マナーを守ることを心がけるようになったということだ。衣食足りて礼節を知るを地で行っている。