「同情」とは?意味や使い方を英語表現を含めてご紹介

「同情」という言葉はとても身近なものですよね。「あいつには同情するわ」などのように言う一方で、「かわいそう」や「気の毒」などひとつの気持ちとしての意味ももっています。ここでは似た言葉の「共感」との違いや英語表現を含めて「同情」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「同情」の意味
  2. 「同情」の使い方
  3. 「同情」と「共感」の違い
  4. 「同情」を意味する英語

「同情」の意味

「同情」とは、苦しんだり悲しんだりしている人に対して、その人の気持ちになって思いやることをいいます。人間には、自分を優先する利己的な部分と、他者を思いやる利他的な部分がそれぞれありますが、「同情」は後者における感情です。

「情を同じくする」と書いて「同情」ですが、「情」とはそもそも「物事に対して起こる心の動き」であり、そこには喜びや悲しみなどさまざまな感情が含まれます。しかし「同情」の場合は、それら感情のなかでもとりわけ苦悩や不幸などに対して起こる心の動きをいうのです。

「人の不幸は蜜の味」とはよく言いますが、他人の苦しみや悲しみに寄せる感情が「同情」ですから、ときには見下すようなニュアンスを帯びることもあります

「同情」の使い方

「同情」はどのように使うでしょうか。例文で見てみましょう。

  • 今回の事件では被害者にはなんの落ち度もなかった。誰もが彼女の不運に同情した。
  • 彼の周りにはイエスマンしかいなかった。一文無しになってから気づくなんてまったく同情するね。

最初の例文では偶然事件に巻き込まれてしまった被害者の不幸に対して「かわいそうだ」という気持ちが湧きおこっています。彼女自身に責めるべき部分はないため純粋な惻隠(そくいん)の心であるといえます。

一方、下の文では友だちを失くした彼に対して「気の毒だ」と感じながらも、同時に金や権力で結びついていた関係に気づかなかった愚かさを嘲笑っているようにも受け取れます。

「同情」と「共感」の違い

「同情」と「共感」の違いについて見てみましょう。「共感」も「同情」と同じように他人との結びつきにおける利他的な感情のひとつですが、決定的に異なるのは「共感」は感情の負の側面だけでなく、他人のあらゆる心的状態を共有するという点です。

友だちが試験に合格したときには喜びを、落ちてしまったときには悲しみや悔しさを共有できます。つまり「共感」です。しかし、嬉しそうな友だちに「同情」はしませんよね。

さらに、「共感」は他人の感情を合わせ鏡のように自分のなかにそっくり映すのに対して、「同情」は他人の置かれた状況を自分なりに捉えた結果生じるという違いもあります。

例えば、事故で息子を亡くした母親がいるとします。嘆き悲しむ母親に寄り添って「辛いよなあ」と感じるとき、この「辛い」という感情は彼女のものなので「共感」といえます。一方で息子を失った立場にいる彼女を「かわいそう」と感じるとき、それは完全にこちらが投げかける感情なので「同情」です。

「同情」を意味する英語

「同情」を英語で表現するとどうなるのでしょう。大きく分けて「sympathy」「pity」「compassion」の3つがあります。

「sympathy」

「sympathy」は「同情」を表現する場合に最も広く用いられる言葉です。原義は共に(sym)苦しむ(path)ですが、相手を見下す含みはなく相手の気持ちや考えに同意する意味でも使います。そのため「共感」と訳されることもあります。

  • I have a lot of sympathy for the poor.(私は貧しい人々にとても同情する)
  • I have some sympathy for his view.(私は彼の考えにある程度賛成だ)

上記2つの例文では同じ「sympathy」でも一方は「同情」、もう一方では「賛同」の意で使われていますね。このことからわかるように、「sympathy」は「同情」を含む広義の「同感」をさします。

「pity」

「pity」は他人の不幸などを哀れに思う気持ちで、ときに軽蔑の意識を含むことがあります。「sympathy」が対等の立場での同情なのに対して、「pity」は相手を下に見た同情です。

  • I don't want any of your pity.(同情などしてほしくない)
  • I help them not out of pity but out of sympathy for their plight.(私は哀れみからではなく、彼らの苦境を思いやる気持ちから援助するのだ)

特に下の文では「sympathy」との違いがよくわかりますね。同じ「同情」でも相手との位置関係でニュアンスに差が出ます。上の文は「哀れんでなどほしくない」と訳してもよさそうです。

「compassion」

「compassion」は弱者に対するより深い同情、哀れみを表します。他者との位置関係では「pity」に近いですが、相手を思いやる意味合いが強いという面では「sympathy」と近いといえます。語感として「pity」より堅く、「sympathy」と比べ助けようとする気持ちの強さがあります。

  • She feel compassion for her patients.(彼女は患者に哀れみを感じている)
  • He had compassion the homeless.(彼はホームレスに同情した)

「同情」を寄せる相手が、病気の人やホームレスなど社会的に弱者とされている人々であるときによく使われ、そこには現状を良くしてあげたいという扶助の精神が伴います。


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