「後ろ髪を引かれる」とは
「後ろ髪を引かれる」とは、「未練が残ってしまって、きっぱりと思いきれないこと」という意味です。「心残りの心境から、なかなか思い切って進めないこと」を後頭部の髪の毛をつかまれて、なかなか前に進めない状態を例えた言葉です。
「後ろ髪」とは
「後ろ髪」とは、字句のとおり、後頭部の髪の毛のことをいいます。後ろに生えている髪の毛という単純な意味だけではなく、「後ろ髪」そのものが「後に心が残って去りがたい」という意味ももっています。
「後ろ髪を引かれる」の使い方・例文
- 出産のため里帰りした長女は、後ろ髪を引かれる思いで帰っていった。
- 思い出のつまった学校を卒業することは、後ろ髪を引かれるようです。
- 駅のホームから手を振っている彼女の姿を見て後ろ髪を引かれる。
- 転校する担任の先生と別れることは、後ろ髪を引かれる思いです。
「後ろ髪を引かれる」の類語
「未練がある」
「未練がある」とは、「あきらめきれないこと。思い切りの悪いこと」、「熟練していない。未熟」という両方の意味をもっています。主には、「心に残ってあきらめきれない」という意味で使われています。
【例文】
- 私は過去に未練がある。
- 別れた彼女に対して未練がある。
「踏ん切りがつかない」
「踏ん切りがつかない」とは、「思い切って決心することができない」ということです。「心残りがある」という意味合いはありませんが、前に進むことができないでいる様子は、「後ろ髪を引かれる」に近いといえるでしょう。
【例文】
- 進むべきか退くべきか踏ん切りがつかない。
- どちらの学校に進学するのか踏ん切りがつかない。
「割り切れない」
「割り切れない」とは、「ものごとがすっきりしない」、「割り算で余りがでる」という意味です。納得がいかないというニュアンスを含んで使われることが多いでしょう。
【例文】
- この事件は割り切れないことばかりだ。
- 謝罪はしたものの割り切れない気持ちです。
「髪」を使った熟語やことわざ
「危機一髪」
「危機一髪」とは、「一つ間違えば重大な危機にさらされる瀬戸際のこと」という意味です。「髪の毛一本ほどの近くまで危機がせまっている状況の中で、最悪の事態を逃れて踏みとどまっている」ということです。
【例文】
- 危機一髪で交通事故から逃れることができた。
- 緊急警報により危機一髪で避難し助かりました。
「間髪を容れず(かんはつをいれず)」
「間髪を容れず」とは、「少しの時間もおかないようす」ということです。「間に髪の毛の一本も入れる余地がない」という意から由来しています。
【例文】
- 難しい質問であったが間髪を容れず答えが返ってきた。
- 間髪を容れないインタビューには戸惑った。
「髪の長きは七難隠す」
「髪の長きは七難隠す」とは、「女性の長い髪は多くの欠点を隠してしまう」ということです。髪の長いことが美女の条件であったことからいわれています。「七難」とは、「仏語で火難、水難などの7種類の災難のこと。多くの欠点のこと」です。
「女の髪の毛には大象も繋がる」
「女の髪の毛には大象も繋がる」とは、「女性は男性をひきつける強い力をもっている」という例えです。
大きな象に女性の髪をつないだところ、動けなくなったことを、煩悩にとらわれて悟れない人に例えたことわざです。仏教の経典から由来しているといわれています。
「後ろ髪を引かれる」の英語表現
「後ろ髪を引かれる」に近い意味の英語表現としては、「しぶしぶ」と訳される「with painful reluctance」や「with strong reluctane」などが挙げられます。
【例文】
- He left the scene with painful reluctance.(彼は後ろ髪を引かれる思いでその場を立ち去った)
- I go home with strong reluctance.(後ろ髪を引かれる思いで家に帰る)