ためつすがめつとは?ためつすがめつの意味
いろいろな角度から丹念に眺める様子、じっくりと観察することを表すことわざ
ためつすがめつの説明
「ためつすがめつ」は漢字で「矯めつ眇めつ」と書きます。「ためつ」は「矯める」の文語形から来ており、まっすぐに見つめることや形を整えることを意味します。一方「すがめつ」は「眇める」から派生しており、片目を細めてじっと見る動作を表しています。この二つが組み合わさることで、単に眺めるのではなく、あらゆる角度から注意深く観察する様子を表現しています。例えば、骨董品を買う前に欠陥がないか確かめるときや、美術館で名画の細部まで鑑賞するときなど、じっくりと時間をかけて見極めたい場面で使われることが多いです。
普段の会話ではなかなか使う機会が少ないかもしれませんが、知っていると表現の幅が広がりそうな素敵な言葉ですね。
ためつすがめつの由来・語源
「ためつすがめつ」の語源は、古語の「矯む(たむ)」と「眇む(すがむ)」に由来します。「矯む」はまっすぐに見つめることや形を整えることを意味し、「眇む」は片目を細めてじっと見る動作を表します。これらに完了の助動詞「つ」が付いた「ためつ」「すがめつ」が組み合わさり、様々な角度から注意深く観察する様子を表現する言葉として成立しました。元々は和歌や俳諧などの文芸作品で使われていたのが、次第に日常的な表現として広まったとされています。
古き良き日本語の表現が、現代でもしっかり息づいているのが素敵ですね。
ためつすがめつの豆知識
「ためつすがめつ」は、美術鑑賞や骨董品の鑑定などでよく使われる言葉です。実はこの言葉、将棋の世界でも重要で、プロ棋士の羽生善治さんは対局中に盤面を「ためつすがめつ」見つめることで有名です。また、意外なところでは宝石鑑定士や書画骨董の専門家がよく口にする言葉でもあります。現代ではSNSで写真をじっくり見るときの表現として若者にも使われ始めており、古典的な言葉が新しい使われ方で復活している面白い例と言えるでしょう。
ためつすがめつのエピソード・逸話
有名な陶芸家の魯山人(ろさんじん)は、作品を鑑賞する際に「ためつすがめつ」と何度も見返すことで知られていました。ある時、弟子が「なぜそんなにじっくり見るのですか」と尋ねると、魯山人は「本当に良いものは、角度を変えて見るたびに新たな発見がある。ためつすがめつ見なければ、その真価は分からない」と答えたという逸話が残っています。また、小説家の司馬遼太郎も取材で訪れた古寺で仏像を「ためつすがめつ」眺め、その時の感動を随筆に綴っています。
ためつすがめつの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「ためつすがめつ」は畳語(じょうご)の一種であり、類似した意味を持つ二つの語を重ねることで、意味を強調したりニュアンスを豊かにしたりする日本語特有の表現形式です。この言葉は、動詞の連用形に完了の助動詞「つ」が接続した形が固定化したもので、文法的にはやや古風な表現となっています。また、「矯める」と「眇める」という視覚行為を表す動詞の組み合わせから、日本語における「見る」行為の多様性と細やかな表現の豊かさを示す好例と言えます。
ためつすがめつの例文
- 1 ネットで気になる商品を見つけたとき、ためつすがめつ画像を拡大して細部まで確認してしまうこと、ありますよね。
- 2 久しぶりに会った友達の髪型が変わっていて、変化が気になりながらもためつすがめつ見てしまうあの感じ、共感できます。
- 3 美術館で有名な絵画の前に立つと、ついためつすがめつと眺めてしまい、後ろに並んでいる人に気まずい思いをさせた経験、あるあるです。
- 4 新しいスマホを買うとき、店頭で実機をためつすがめつ比較して、結局なかなか決められないあの悩み、よくわかります。
- 5 SNSにアップする前に自分の写真をためつすがめつチェックして、微妙な角度の違いで何度も撮り直すこと、みんなやってますよね。
「ためつすがめつ」の使い分けと注意点
「ためつすがめつ」を使う際には、いくつかのポイントを押さえておくとより自然な表現ができます。基本的には前向きな文脈で使われることが多いですが、状況によっては失礼に当たることもあるので注意が必要です。
- 適切な場面:美術品鑑賞、商品検討、資料確認など、じっくり観察することが求められる状況
- 不適切な場面:人をじろじろ見るような場合(失礼になる可能性があります)
- ビジネスでは:書類や製品のチェック時には使えますが、取引先を観察するような場面では避けましょう
- カジュアルな会話では:「じっくり見る」の代わりに使うと、会話が豊かになります
特に人に対して使う場合は、相手の気持ちを考えて使用することが大切です。観察することが目的ではなく、理解や鑑賞のために使うように心がけましょう。
関連用語と表現
「ためつすがめつ」と関連する言葉や表現を知っておくと、より豊かな日本語表現が可能になります。以下に主な関連語をまとめました。
| 用語 | 意味 | 使い方の違い |
|---|---|---|
| 仔細に眺める | 細かい部分まで注意深く見る | よりフォーマルで客観的な印象 |
| 凝視する | 一点をじっと見つめる | 集中して見るが、角度を変えて見るニュアンスは薄い |
| 観察を凝らす | 注意深く観察する | 科学的または研究的なニュアンスが強い |
| 鵜の目鷹の目 | 熱心に探し求める様子 | 探すことに重点があり、観賞するニュアンスは薄い |
これらの言葉は似ているようで、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。状況に応じて適切な表現を選ぶことで、より正確な意思伝達ができるようになります。
歴史的背景と文化的意義
「ためつすがめつ」は、日本の伝統的な美意識やものの見方と深く結びついています。この言葉が生まれた背景には、日本文化特有の「多角的なものの見方」を重視する考え方があります。
ものを見るという行為は、単に視覚的な情報を得るだけでなく、そのものの本質を理解するための重要な手段である
— 柳宗悦『民藝四十年』
茶道や華道、庭園鑑賞など、日本の伝統文化では「一つのものを様々な角度から鑑賞する」ことが重視されてきました。この文化的背景が「ためつすがめつ」という表現を生み出したと言えるでしょう。現代では、この言葉は伝統的な美術品鑑賞から、日常的な商品選択まで、幅広い場面で使われるようになっています。
デジタル時代の今日では、画像を拡大したり角度を変えて見たりすることが容易になり、「ためつすがめつ」の行為はより身近なものとなっています。この言葉は、古来からの日本のものの見方が、現代のテクノロジーと融合している好例と言えるかもしれません。
よくある質問(FAQ)
「ためつすがめつ」は日常会話で使えますか?
はい、使えますよ!特に物をじっくり観察する場面で自然に使えます。例えば、友達と一緒に美術品を見るときや、商品を選んでいるときに「これ、ためつすがめつ見ちゃうね」などと使うと、日本語らしい豊かな表現になります。
「ためつすがめつ」と「じっくり見る」の違いは何ですか?
「ためつすがめつ」は、様々な角度や視点から丹念に見るニュアンスが強く、単に時間をかける「じっくり見る」よりも積極的で詳細な観察を意味します。例えば、骨董品を鑑定するときのように、細部まで確認するイメージですね。
「ためつすがめつ」の漢字は難しいですが、どう書くのですか?
漢字では「矯めつ眇めつ」と書きます。「矯める」は形を整える意味、「眇める」は片目を細めて見る意味で、組み合わせて多角的に見る様子を表します。読み方が難しければ、ひらがなで書くこともよくありますよ。
ビジネスシーンで「ためつすがめつ」を使うのは適切ですか?
状況によりますが、フォーマルな場ではやや堅い印象を与えるかもしれません。しかし、丁寧な説明や詳細な確認が必要な場面、例えば資料の検討や製品チェック時には、「ためつすがめつ検討しました」のように使えて、知的な印象を与えることもできます。
「ためつすがめつ」に似た類語はありますか?
はい、例えば「仔細に眺める」や「凝視する」「観察を凝らす」などが近い表現です。また、「鵜の目鷹の目」は熱心に探す様子を表し、ニュアンスが少し異なりますが、関連する言葉として覚えておくと便利です。