「鵜の目鷹の目」とは
興味深そうに好奇心をもって人や物を見つめている人に対して、「鵜の目鷹の目(うのめたかのめ)でじろじろと見ている」と言ったりすることはありませんか?
また、羨望の眼差し(せんぼうのまなざし)で物事を見つめるさまを捉えて、「まるで鵜の目鷹の目だね」というフレーズを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
「鵜の目鷹の目」とは、鵜や鷹が獲物を狙う時に鋭い目つきを例えとした表現です。つまり、「注意深くひとつも見逃さずに探り出そうとする鋭い目つきのこと」です。どちらかというと、欠点や欠落しているところを探そうとする時に使う場合が多いです。
「鵜の目鷹の目」の使い方
- 父親は家に連れてきた娘の彼氏を鵜の目鷹の目で見つめていた。
- 試験官は鵜の目鷹の目で私の一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)を観察しています。
- 彼女のデートの様子を友だちは鵜の目鷹の目でそっと隠れて見ています。
- 訴追(そつい)された政治家が家から出てくる場面を報道関係者は鵜の目鷹の目で狙っています。
「鵜の目鷹の目」の類語
「血眼になる」
「血眼になる」とは、「すっかり興奮して、目が血走り真っ赤になること」、またはそれを例えとして「すべてのことを忘れひとつのことに熱中すること」という意味です。
ひとつの物事に熱中し注意深くなることが、「鵜の目鷹の目」の注意深く探り出そうとするさまに似通っていますね。
[例文]
- 警察は昨日逃げた犯人を血眼になって探しています。
- 母親は迷子になった子どもを血眼になって探しています。
「目の色を変える」
「目の色を変える」とは、「目つきが変わる」または、「何かに熱中するさま」を表現する時に使われます。この言葉は字句の通り「目の色が変わるほど熱中するさま」を目の色を例えとした表現です。
わき目もふらずに熱中するさまが「鵜の目鷹の目」のニュアンスに似通っており類語に属するものです。
[例文]
- この家が犯行現場であるため皆目の色を変えて証拠物品を探しています。
- 試験までわずかとなり目の色を変えて勉強しています。
「粗探し(あらさがし)」
「粗探し」とは、「人の欠点や欠陥をとりたてて探し出しさらけ出すこと」です。「粗」、つまり、「粗雑(そざつ)なところを探し出すさま」は「鵜の目鷹の目」の欠点を探り出そうとするところに似通っていて類語といえます。
[例文]
- 今度の上司は部下の粗探しばかりする嫌な人です。
- 人の粗探しをするよりも良い点を見つけることが大切です。
生き物の「目」を用いたことわざ
生き物の「目」を用いたことわざには、以下のようなものがあります。
- 「生き馬の目を抜く」…生きている馬の目を抜き取るほど素早く物事を行うこと。また、ずるがしこくて油断できないことも表します。
- 「目白押し」…大勢の人が混み合って並ぶこと。または、いろいろなことが集中していること。鳥のメジロが押し合って樹にとまっているさまを例えとしています。
- 「猫の目」…物事が非常に激しく変化すること。猫の目は明るさによって変化することを例えとしています。
- 「女の心は猫の目」…女心は気まぐれで変わりやすいこと。猫の目が光の濃淡(のうたん)によって変化することを例えとした表現です。
- 「魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)」…近くにあるものはかえってあまり目に入らないこと。魚には水があまりに身近すぎて見えないことを例えとした表現です。
- 「春は蛙が目を借りる」(「蛙の目借時」)…春は眠くなる時期であるということ。蛙に目を借りられるという意ですが、俗説とも言われています。
- 「目高も魚のうち(めだかもととのうち)」…小さくてとるに足りないものでも仲間に間違いないこと。小さなメダカを例えとした表現です。