「善は急げ」とは?
「善は急げ(ぜんはいそげ)」とは、良いと思ったことは躊躇せず、すぐに実行するべきだ、という意味のことわざです。元々は、「善は急げ、悪は延べよ」と続けられていたものが、短くなったものだとされています。
「悪は延べよ(あくはのべよ)」とは、悪いことはすぐに実行せず、しばらく延期すれば、周囲の状況が変化して、それを実行しないでもよくなることもある、という意味です。
「善は急げ」使い方
- 健康診断で、体重の増え過ぎを指摘された。「善は急げ」だ、さっそく今日からダイエットを始めよう。
- 受験生の息子が、珍しくやる気になっている。「善は急げ」とも言うし、すぐに塾の講習会の申し込みをすることにしよう。
- 年老いた親が、運転免許を返納する決心をしたようだ。「善は急げ」だから、明日にでも手続きにつれて行こう。
「善は急げ」由来
「善は急げ」ということわざは、『ダンマパダ』という経典の次の教えに由来しています。
人は、そもそも悪いものに惹かれがちなので、良いことをしようと思ったらすぐに行動に移さないと悪いことに負けてしまう、ということを教えています。
『ダンマパダ』とは?
『ダンマパダ(Dhammapada)』は、パーリ語で書かれた原始仏典の一つで、日本では、『法句経(ほっくきょう)』と呼び、釈迦の教えを、語録、詩の形で伝えています。
「ダンマ」は、「法」や「真理」を意味し、「パダ」は「言葉」という意味で、合わせて「真理の言葉」と訳されています。
「善は急げ」類義語
思い立ったが吉日
「思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ)」は、何か物事を始めることを決めたら、思い立った日を吉日として、ためらわずにすぐに実行するのが良い、という意味のことわざです。
「吉日」は、「大安」「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」などの、暦で縁起の良い日のことを指します。「きちにち」と読むこともありますが、一般的には「きちじつ」と読みます。
「思い立ったら吉日」「思い立つ日が吉日」とも言いますが、「思いついたが吉日」という言い方は間違いです。
好機逃すべからず
「好機逃すべからず(こうきのがすべからず)」は、物事を行う機会が訪れたら、それを逃さないで行動を起こすべきである、という意味のことわざです。努力や才能だけでは成功することはできないのだから、好機を逃してはいけない、ということを表しています。
旨い物は宵に食え
「旨い物は宵に食え(うまいものはよいにくえ)」は、良いことはためらわずに、すぐにやることが良い、という意味のことわざです。「宵」は、日暮れからまもないくらいの時間を指します。
美味しいものでも明日まで残しておくと美味しさが落ちてしまうから、今夜のうちに食べてしまったほうがよい、ということから、良いことはすぐに進めよ、という意味で使われます。
「善は急げ」対義語
急いては事を仕損じる
「急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる)」は、何か物事を行うとき、焦りがあると落ち着いて取り組むことができずに失敗してしまいがちなので、焦っているときほどしっかり落ち着いて物事に当たるべきである、という意味のことわざです。
「急いては事を仕損ずる」「急いては事を過つ」とも言います。
待てば海路の日和あり
「待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり)」は、今は状況が良くなくても、じっくり待っていれば必ず良い機会がやってくる、という意味のことわざです。海が荒れていて船の出航ができなくても、待っているうちに出航できる日が訪れる、と言うところからきています。
このことわざは、中国の「待てば甘露の日和あり(まてばかんろのひよりあり)」ということわざが変化したもので、今は良い状況でなくても、待っていれば甘露が降ってくるような良い機会がやってくる、という意味を表しています。
「甘露」は、中国の伝説で、天子(中国の皇帝や日本の天皇の呼称)が良い政治を行うと天が降らせてくれる甘い露のことです。
「善は急げ」英語での表現
「善は急げ」の英訳及び英語の類似表現を次に例示します。
- Good deeds should be done quickly(善は急げ)
- Strike while the iron is hot./Strike the iron while it is hot.(鉄は熱いうちに打て)
- Make hay while the sun shines.(日の当たっているうちに干し草を作れ)
- There is no time like the present.(現在に勝るタイミングはない→今日できることは今日のうちに)