「送る」とは
日常的によく使う「送る」という言葉には、以下のような意味があります。
- いろいろなものを相手に届くようにする。
- 一緒に行く。
- 別れる。別れを告げる。
- 時間を過ごす。
- 物を移動させる。
- 漢字に送り仮名をつける。
上記の意味のうち、1や2はすぐにわかっても、3以下はなかなか思い浮かばないのではないでしょうか。以下では、1から5について、意味ごとに使い方をご紹介します。
「送る」の使い方
1の意味「いろいろなものを相手に届くようにする」
いろいろなものには、人・物・情報・気持ち・考えなどがあります。こういうものが相手に届くようにすることが「送る」ということです。人や物は、物理的方法でしか送ることができませんが、情報は物理的方法でも、メールなどのように非物理的な方法でも送ることができます。
また、気持ちや考えは、手紙に書けば物理的、メールなら非物理的方法で送ることができます。特に気持ちは、プレゼントや中元・歳暮などのように物を届けるという行為でも送ることができます。
さらに、気持ちは「秋波を送る」という言葉があるように、目(視線)で送ったり、何かしらの態度で送ることもあります。
【例文】
- 今度の異動で君のところへ優秀な新人を送るから、鍛えてやってくれ。
- 田舎の母から、新米や秋の果物を送ると電話があった。
- メールで特許情報を送ったので、くれぐれも取り扱いには注意してください。パスワードは別送します。
- 向こうの席の男性がずっとあなたのことを見つめているわよ。これって秋波を送るっていうことかしら。
- 大勢のファンが、スタジアムの選手たちに大声援を送っている。
2の意味「一緒に行く」
「送る」は、誰かと一緒に目的地に行くときや途中まで同行するときなどに使います。また、道案内などでも使います。
【例文】
- 若い女性が夜道を一人で歩くのは危険だから、バス停まで送るよ。
- 新しいカフェの場所を聞かれたけど、うまく説明できないので店の近くまで送ってあげることにした。
3の意味「別れる/別れを告げる」
自分のもとから遠くへ離れていく人などに別れを告げたり、一時的に別れるときにも「送る」を使います。また、死者との別れにも使います。
【例文】
- 父の定年退職を祝って、海外旅行に出かける両親を空港で見送ることにした。
- 転職することになった同僚を送るために送別会を開いた。
- 先祖の霊を送るために子供と一緒に灯篭を作った。
4の意味「時間を過ごす」
生活の仕方や人の生き方などを表現する言葉として、時間の流れを「送る」という言葉で表現します。
【例文】
5の意味「物を移動させる」
物を移動させるとは、人から人へ物を手渡したり、機械を使って運んだりすることです。そのような場合に「送る」を使います。
【例文】
- 三遊間のライナーをワンバウンドでキャッチして、すぐさまボールを一塁手へ送る練習を何度もした。
- 回転寿司で寿司を送る機械が故障した。
「送る」の類語
「送信」
「送信」は、信号を送ることです。これは情報を電気信号に変換して、無線または有線で送ることで、メール、ファックス、テレビやラジオの放送などがあります。
【例文】
- 夕べ喧嘩した彼女から、「ごめんね」と一言メールが送信されてきた。
- 電話が壊れたので、ファックス送信できる多機能電話に変えることにした。
「送付」
「送付(そうふ)」は、書類や品物を送り届けることです。事務的な言葉なので、主にビジネスの場面で使います。「送付」に「送り付ける」と送り仮名をつけると、相手のことは考えずに一方的に物を送って届けるという意味になります。
【例文】
「派遣」
「派遣(はけん)」は、一定の目的を持って人を送ることです。ビジネスでは、出張や応援などで人を派遣しますし、災害地へ自衛隊員や警察官を送ることも派遣と言います。なお、派遣労働者のことを「派遣」と言うこともあります。
【例文】
- 国連平和維持軍に派遣されることになった夫を子供と一緒に空港で見送った。
- フランシスコ・ザビエルは、インドに派遣されたあと、日本に初めてキリスト教を伝えた宣教師です。
「贈る」
「贈る(おくる)」は、「送る」と同音ですが、意味も共通するものがあります。「送る」は、相手に届くようにすること全般を意味しますが、「贈る」は、感謝の気持ちを込めて物を送ったり、功績などを褒めたたえて称号などを与えるときに使います。
【例文】
- 恩師の米寿のお祝いに、卒業生一同で記念品を贈ることになった。
- 真言宗の開祖・空海は、「弘法大師」という諡号(しごう:生前の行いを尊び死後に贈られる称号)を贈られている。