思わしくないとは?思わしくないの意味
望んでいる状態や期待通りではないこと、好ましい状況にないことを表す表現
思わしくないの説明
「思わしくない」は、形容詞「思わしい」の連用形に否定の「ない」が組み合わさった表現です。元々の「思わしい」には「好ましい」「気に入る」「思い通り」といったポジティブな意味がありますが、実際の会話ではほとんど否定形で使われるのが特徴。体調不良や仕事の進捗、人間関係など、様々な物事が期待通りに進んでいない状況を、やわらかく表現したいときにぴったりの言葉です。特にビジネスシーンでは、「良くない」と直接言うよりも「思わしくない」を使うことで、相手への配慮を示しながら現状を伝えることができます。
状況を和らげて伝えたいときの、日本語らしい繊細な表現ですね
思わしくないの由来・語源
「思わしくない」の語源は古語の「思ほし」に遡ります。「思ほし」は「思う」に接尾語の「ほし」が付いた形で、「〜のように思われる」という意味を持っていました。これが転じて「好ましく思われる」という肯定的な意味の「思わしい」となり、さらに否定形の「思わしくない」として定着しました。江戸時代頃から一般に使われるようになり、特に病気の状態を婉曲的に表現する際に好んで用いられるようになったとされています。
日本語らしい奥ゆかしさが詰まった、とても便利な表現ですね
思わしくないの豆知識
面白いことに、「思わしくない」はほとんど否定形でしか使われません。肯定形の「思わしい」は現代ではほとんど耳にすることがなく、むしろ文学作品や古い表現の中でしか見かけない珍しい言葉となっています。また、医療現場では患者への説明でよく使われる言葉で、医師が「経過が思わしくない」と言った場合、それは「かなり深刻な状態」を意味することが多いです。さらに、ビジネスシーンでは「成績が思わしくない」などと使われ、直接的な批判を和らげる効果があります。
思わしくないのエピソード・逸話
有名な野球監督の長嶋茂雄氏が現役時代、スランプに陥った際に「調子が思わしくなくてね」とコメントしたことがありました。また、小説家の太宰治は『人間失格』の中で主人公の健康状態を「体調が思わしくなかった」と表現し、読者に主人公の苦悩を印象づけています。近年では、ある人気アイドルがコンサート中に体調不良を訴え、「今日は声の調子が思わしくありませんが、精一杯歌います」とファンに伝えたエピソードも話題になりました。
思わしくないの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「思わしくない」は日本語特有の婉曲表現の典型例です。否定形の「ない」が形容詞の連用形「思わしく」に接続する文法構造を持ち、日本語の形容詞の活用体系を反映しています。また、この表現は「遠回しな否定」という日本語のコミュニケーション特徴をよく表しており、直接的な表現を避ける日本文化の価値観が言語に現れた例と言えます。心理言語学的には、聞き手に否定的な情報を伝えつつも、直接的な衝撃を和らげる緩衝材的な機能を果たしています。
思わしくないの例文
- 1 週末に予定していたピクニック、天気予報が思わしくなくて延期せざるを得なかったんです。せっかく準備していたのに残念ですよね。
- 2 新しい職場での人間関係がなかなか思わしくなくて、毎日が少し憂鬱です。もっと打ち解けたいのにうまくいかないこと、ありますよね。
- 3 ダイエットを始めたのに、体重の減りが思わしくなくてモチベーションが下がり気味です。なかなか結果が出ないと挫けそうになります。
- 4 子供の成績が最近思わしくなくて、どうやって勉強を促したらいいか悩んでいます。親としてどう接するべきか、いつも考えてしまいます。
- 5 せっかく旅行に来たのに、体調が思わしくなくて観光を満喫できていません。楽しみにしていたのに、こんなことってありますよね。
「思わしくない」の適切な使い分けと注意点
「思わしくない」は便利な表現ですが、使用する場面によっては注意が必要です。特に、深刻な状況では婉曲表現が逆に誤解を招く可能性があります。
- 医療現場では「経過が思わしくない」=「予後不良」を意味することが多い
- ビジネスでは「業績が思わしくない」は「赤字」よりも柔らかい表現
- 個人的な会話では「体調が思わしくない」で「かなり調子が悪い」ことを暗示
- 重要な報告では、より明確な表現と組み合わせるのが効果的
特に、緊急性の高い医療情報などでは、患者や家族が状況の深刻さを正しく理解できるよう、必要に応じてより直接的な表現も併用することが大切です。
関連用語とのニュアンスの違い
| 表現 | ニュアンス | 使用場面 |
|---|---|---|
| 思わしくない | 婉曲的で丁寧 | 公式な場、医療、ビジネス |
| 芳しくない | やや改まった | 結果や評判について |
| 好ましくない | 一般的で中立 | 広く一般的な場面 |
| 良くない | 直接的で率直 | カジュアルな会話 |
| 悪い | 最も直接的 | 緊急性の高い状況 |
これらの表現は、話し手と聞き手の関係性や、伝える内容の重大さによって使い分けることが重要です。特に「思わしくない」は、相手への配慮を示しながらも、ある程度の深刻さを伝えたい場合に最適な表現です。
文学作品での使用例
「患者の容態が思わしくなく、今夜が山だと医師は言っていた。」
— 志賀直哉『暗夜行路』
文学作品では、「思わしくない」が人物の心理状態や状況の深刻さを暗示するために効果的に使われています。志賀直哉をはじめとする多くの作家が、この表現を使って登場人物の苦悩や困難な状況を描写しています。
この表現の持つ婉曲性が、読者に状況の深刻さを想像させる余地を与え、文学作品の深みを増す効果を持っていると言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「思わしくない」と「良くない」はどう違いますか?
「思わしくない」は「良くない」よりも婉曲的で柔らかい表現です。特に相手に配慮が必要な場面や、直接的な表現を避けたいときに使われます。例えば、医師が患者の病状を説明する際などによく用いられます。
「思わしくない」をビジネスシーンで使うのは適切ですか?
はい、ビジネスシーンでも適切に使えます。プロジェクトの進捗が期待通りでないときや、業績が芳しくないときなど、直接的な表現を和らげたい場合に有効です。ただし、深刻な問題では明確な表現が必要な場合もあります。
「思わしくない」の肯定形「思わしい」は使わないのですか?
現代では「思わしい」はほとんど使われません。肯定形では「好ましい」「望ましい」「良好である」などの表現が一般的です。「思わしくない」は否定形で定型句のように定着している特殊な例です。
「思わしくない」と「芳しくない」は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味ですが、「芳しくない」の方がやや改まった印象があります。また「芳しくない」は結果や評判などに使われることが多く、「思わしくない」は状態や経過について使われる傾向があります。
日常生活で「思わしくない」を使う具体的な場面は?
体調が優れないとき、天気が崩れそうなとき、子供の成績が振るわないとき、料理の出来がイマイチなときなど、様々な日常シーンで使えます。どちらかというと、やや改まった会話で使われる傾向があります。