「気に入る」の意味とは?
「気に入る」(きにいる)とは、ある物や人などが自分の好みと合う、希望や理想にかなっている、心から満足しているといった意味です。古語では「人の機嫌を取る」という意味がありましたが、現代語では使われていません。
「気」はこの場合、心の働き、意識という意味、「入る」は次第にある状態に達する、深く入っていくこと。「気に入る」で、自身の心が対象の人や物を深く意識して、好む状態になることを表しているようです。
「気に入る」の使い方
「気に入る」は、対象になった人や物に対し、「好む」「思った通り」「不満がない」など、ポジティブな感情を抱いている時に使う言葉です。自身の気質や趣味に合って、気持ちが強く引かれ好ましい気持ちになるといった意味で使えます。
逆に「気に入らない」と、打ち消しの助動詞を付けて否定的な言い回しをした場合、「嫌い」「不満」な気持ちが強い様子がうかがえます。
「気に入る」の例文
- この服はスッキリ着痩せして見えるので、とても気に入っている。
- 今日面接に来た人は、積極性が感じられて気に入った。すぐに採用通知を出そう。
- あのネット銀行に口座を作ったのは、金利が高く、手数料が安いのが気に入ったからなんだよ。
- 気に入るパソコンがないので、別の店にも足を運ぶつもりだ。
- 彼の不遜(ふそん)な言い草が気に入らないね。
- お客様は店舗の様子について、ごちゃごちゃして汚らしく気に入らないとアンケートに書いていた。
「気に入る」の類語
愛好
「愛好」(あいこう)とは物や状態を対象として、その物を好ましいと考え楽しむこと、その物やその状態を好み、積極的に受け入れることを言います。「気に入る」の対象の物を好む点に似た意味の言葉です。趣味などで好んでいる場合に「~愛好家」という使い方をします。
【例文】
- 平和な世を愛好する。
- モーツァルト愛好家が集まって、『きらきら星変奏曲』を鑑賞した。
- プッチーニのオペラの中で、特に『蝶々夫人』を愛好しているよ。
ちなみに俗用に近いですが、「ご愛好/御愛好」のように丁寧を表す接頭語の「御(ご)」を付けた場合、敬語よりも嗜好品及び趣味の物を愛して大事にしている意味で使うこともあります。「〇〇さんご愛好の品」「祖父ご愛好のパイプ」などのような使い方が見られます。
御の字
「御の字」(おんのじ)には様々な意味がありますが、「非常に結構で満足している」ということを表すのであれば、「気に入る」の類語として使えます。
本来「御の字」は遊廓(ゆうかく)で使われた言葉で、丁寧や尊敬の気持ちを表す「御」の字を頭に付けるくらいありがたいといった意味でした。そこから「念願がかなって満足」などの意味が派生しました。
【例文】
- 彼女が業務を担当してくれれば御の字だよ。
- ミニテストで80点以上取れれば御の字です。
御眼鏡に適う・お眼鏡に適う
「御眼鏡に適う/お眼鏡に適う」(おめがねにかなう)とは、目上の人から実力を評価されたり、認められて好まれたりすることを表す言い回しです。
また、俗用ではありますが、「御眼鏡に適う品」という言い回しは「顧客が満足した品物」を表し、店舗などで数々の商品の中から選ぶ際に店員からの声がけで使われる場合もあります。
【例文】
- 社長の御眼鏡に適い、プロジェクトに抜擢された。
- お客様、お眼鏡に適う品はございましたか?
愛用
「愛用」(あいよう)とは、ある品を好んでいつも使用する、長年使い続けているという意味です。「気に入る」と少し異なるようにとらえられるかもしれません。
しかし、自分の好みと合った物を満足して使う、また、使い心地が自分の理想と合って好んでいるという点で、「気に入る」と通じるのではないでしょうか。
【例文】
- このお弁当箱は故人が長らく愛用してきた品です。
- ボールペンを愛用してきたが、替え芯が製造終了となり、在庫もなかったので、心ならずも処分しなくてはいけなくなった。