「風」の意味
「風」には、以下のような意味があります。
1は、自然現象の風(かぜ)です。2は、社会生活上の風習や慣習、生活様式などのことを表します。また、3は、人の様子や態度を表すものです。
自然現象の一つである「風」は、一定の方向に吹くことから、特定の方向性や傾向がみられる2や3のように転じて使われるようになっています。
「風」の使い方
1の意味の「風」
1の意味の「風」は、追い風・向かい風などでは「かぜ」、風上・風下などでは「かざ」、台風・偏西風などでは「ふう」と読みます。
また、特殊な読み方の「風」には、東風(こち)、南風(はえ)、順風(じゅんぷう)、春風(しゅんぷう。はるかぜ)、疾風(はやて。しっぷう)などがあります。
さらに、「風」を部首にして風の状態を表す、嵐(あらし)、颪(おろし)、飃・飄(つむじかぜ)、颱(たいふう)、颯(はやて)などの漢字もあります。
【例文】
2の意味の「風」
2の意味で使うときは、都会風とかヨーロッパ風などのように「風(ふう)」と読みます。このような使い方は、名詞の後に「風」をつけて使うことが多い用法です。
【例文】
- 新築した家の家具・調度品は北欧風で統一した。
- この浮世絵風の油彩画は、モネの作品です。
- 明治時代には、洋風のレンガ建築物がたくさん建てられている。
- このようなやり方は、我が家の家風に合わないと、祖父が怒っている。
3の意味の「風」
人の態度や様子などにも「風(ふう・かぜ)」を使います。また、人に対する世の中の雰囲気などでは「風(かぜ)」を使うことがあります。相手が怒っている時には、「風向きが悪い(よくない)」というような表現も使います。
【例文】
その他の「風」
上記以外にも、「風」の使い方があります。古い用法で、「風(かざ)」と読んで、風花(かざはな)、風見(かざみ)、風車(かざぐるま)、風下(かざしも)などのような熟語を作る時、前につけて「風(かぜ)」の意味を表す用法です。
「風」の字義
「風」は、音読み「フウ。フ」、訓読み「かぜ。かざ」と読みます。「風」は、元々、「鳳(おおとり)」が使われていました。古代中国では、「鳳」が、かぜの神と信じられており、後に中の「鳥」が「虫」に置き換えられて「風」という字が使われるようになったと言われています。
「風」の類語
「気流」
「気流(きりゅう)」は、自然現象としての「風」の類語で、気温や湿度、地形などの要因によって発生する空気の流れのことです。「風」のように普段感じることは少ない現象ですが、飛行機に乗った時などは気流の変化を体験することができます。
【例文】
- 乱気流で飛行機が大きく揺れて怖かった。
- 渡り鳥は、ジェット気流に乗って効率的に長距離を飛翔する。
「嵐」
暴風や暴風雨のことを「嵐(あらし)」と呼びます。日本は台風が多く、この「嵐」を体験することが多いですね。暴力的な風や雨を比喩的に使って、大きな事件や騒動、感情の激しい動きなども「嵐」で表現することがあります。
【例文】
- 嵐で海が荒れているのにサーフィンをするなんて無謀だ。
- アイドルグループのライブに集まった数万人の歓声が嵐のように周辺に響き渡った。
「因習」
「因習(いんしゅう)」は、昔からずっと伝わってきている習慣のことですが、特に悪い習慣という意味で使われています。「風」の2の意味の類語と言えます。
【例文】
- 横溝正史の作品には、因習をテーマにしたものが多い。
- いつまでも因習にとらわれていては、この町は発展しないと思う。
「風体」
「風体(ふうてい/ふうたい)」は、外見から見た人の身なりや様子のことです。身分や職業を見定めるようなニュアンスがあり、あまりいい意味で使われることはありません。「体」を省略したものが、3の意味の「風」です。
【例文】
- 人相風体の良くない男が家の周りをうろついていた。
- 娘が会社員らしい風体の男性と食事をしているところを見かけた。