「様式」の意味
「様式」(ようしき)は、建築や芸術作品を鑑賞するさい、あるいは書類にかかわる説明などでも見聞きすることが多い言葉です。ちょっと堅苦しい印象がありますが、この機会にしっかりと理解しましょう。
「様式」は、大きくわけて3つの意味をもちます。
- ある種類の事物や事柄に共通する一定の形式、やり方、スタイルなどのこと。かたち、様子。
- 芸術、建築物などにおける、ある時代や民族、流派などの特徴的、類型的な表現形式。
- 習慣や約束などで定められたやり方。
どの項目においても共通する意味をとしてまとめれば、同類のものに共有される、他のものとは異なる流儀や型です。多くの場合「やり方、スタイル」と言い換えることも可能です。
「様」と「式」の字義
「様」は多義的な字ですが、「様式」においては、決まった形式、かた、手本、という意味で使われています。
「式」も多義的ですが、「様式」では、決まり、やり方、一定の型、という意味で用いられます。「様式」は、ほぼ同じ意味の字が重ねられたものであることがわかります。
「様式」の使い方
1.事物や事柄に共通する一定の形式
意味1の「様式」の場合は、書類の様式、建築の様式、などが代表的な使い方ですが、それぞれ書き方、建て方、などと置き換えることができます。同じように、生産方法を生産様式、などのように使うことができます。
【例文】
- ご提出頂いた書類は五年前の様式ですので、新しい用紙に再記入をお願い致します。
- 当社の生産様式に興味を示す海外メーカーの技術者が、多数訪問してくる。
2.特徴的・類型的な表現形式
意味2の「様式」は、学術的なものの分類で用いることが多いです。建築においてのコリント様式のような使い方は代表的な例です。絵画では、印象派の様式による~などの使い方。時代区分によるものは、飛鳥様式、流派の使い方では、草月流の様式による活け方、など。
【例文】
- パルテノン宮殿は、古代ギリシャ建築のドーリア様式の最高峰といわれている。
- この絵画は写実派の様式で描かれてはいるが、じつは現代アートの最先端なんだ。
3.習慣や約束などで定められたやり方
意味3の「様式」は、生活様式(ある社会において共通するような生活の仕方、ライフスタイル)、行動様式(人々が行動する形態のなかでも、反復して行われるようなもののこと)などが代表的な使い方として挙げられます。
【例文】
- 屋内でも靴のまま過ごすという海外の国々の生活様式は、日本人には驚きとなる。
- 料理を多く注文してあえて残す中国の行動様式が、食糧難で見直されている。
「様式」の類語
「形式」
形式(けいしき)は多義的な言葉ですが、「様式」の類語としては、物事を行うときの、一定の手続きや方法、様式のこと。また、その一群を特徴づける共通のかたちや形式、という意味が該当します。
様式がどちらかというと抽象的、一般的な類型を意味しているのにくらべ、「形式」は、具体的(目に見える物事、書類や作品などの外形)な部分に焦点があるニュアンスをもちます。そこから(見た目だけ)という意味の「形式的」という言葉も派生しています。
文例:とにかく、形式を整えて提出さえしてくれれば大丈夫ですので。
「書式」
書式(しょしき)の意味は、①書類の定まった書き方。②文書を作成するときの設定。文書や書類記入上の「様式」の類語たりえます。ほとんど同じ意味で使われますが、企業による独自ルールなどによって、微妙な異なりが生じる場合もあります。
「様式」「書式」ともに、定められた書き方を意味する点は同様ですが、異なりとしては、「様式」は「雛型」「スタイル(書き方)」、「書式」は「枠組み」「テンプレート」という、レイアウトの変更が不可能なイメージをもちます。とはいえ、定義ではありません。
文例:ご応募はこちらの書式以外では受け付けられませんので、ご注意くださいませ。