奪うとは?奪うの意味
他人のものを無理に取り上げる、何かを失わせる、人の注意を強く引く、競技で勝利や得点を獲得する
奪うの説明
「奪う」は多様な意味を持つ言葉で、基本的には「力ずくで取る」というニュアンスがあります。漢字の「奪」は、人がわきに挟んでいた鳥を手で抜き取る様子から生まれたと言われ、本来の意味から派生して様々な場面で使われるようになりました。例えば、犯罪行為のように物理的に物を取る場合だけでなく、時間や自由を失わせる状況、さらにはスポーツでタイトルを獲得するようなポジティブな場面でも使用されます。また、美しい光景や素晴らしいパフォーマンスに心を動かされるようなときにも「心を奪われる」といった表現で用いられ、日本語の豊かな表現力を感じさせます。
一言で「奪う」と言っても、ネガティブな意味だけじゃないんだね!スポーツや感動シーンでも使えるなんて意外でした。
奪うの由来・語源
「奪う」の語源は古代中国の漢字に遡ります。「奪」という漢字は、「大」(人間)、「隹」(鳥)、「寸」(手)の三つの部分から構成されています。これは「人がわきに挟んで持っていた鳥を手で無理やり取り上げる」様子を表した象形文字で、そこから「力ずくで取る」「無理に取り上げる」という本来の意味が生まれました。この漢字が日本に伝来し、和語の「うばう」に当てられるようになったことで、現在の「奪う」という表現が定着しました。
一言で「奪う」と言っても、ネガティブな犯罪行為からスポーツの勝利、感動的な場面まで、実に幅広い使われ方をするんですね!
奪うの豆知識
「奪う」には面白い使い分けがあります。例えばスポーツの世界では「タイトルを奪う」と言いますが、これは単に「取る」ではなく、従来の王者から力を尽くして勝利を掸い取るというニュアンスを含みます。また、芸術の分野では「観客の心を奪う」という表現が使われ、これは物理的な奪取ではなく、感動や魅了といった心理的な作用を表しています。さらに、ビジネスシーンでは「時間を奪う」という表現で、相手の貴重なリソースを消費する意味合いでも用いられるなど、多様な文脈で活用される言葉です。
奪うのエピソード・逸話
プロ野球の長嶋茂雄氏は現役時代、1963年の日本シリーズで王貞治選手からサヨナラ本塁打を放ち、優勝を「奪った」ことで有名です。この試合後、長嶋氏は「王さんからあんな形で勝ちを奪うことになるとは思わなかった」とコメントし、ライバルでありながら互いに敬意を払う関係性を示しました。また、歌手の美空ひばりは、その圧倒的な歌唱力で「観客の心を奪う」と呼ばれ、コンサートでは聴衆が皆、時を忘れて聞き入ったというエピソードが数多く残されています。
奪うの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「奪う」は他動詞として機能し、対象物を必要とする点が特徴です。日本語では「を」格を伴って「○○を奪う」という形で使用されます。また、受身形として「奪われる」、使役形として「奪わせる」など、豊かな語形変化を持ちます。意味論的には、本来の「物理的奪取」から転じて、「注意・関心を引く」「勝利を得る」といった比喩的用法まで発展しており、これはメタファー拡張の典型例と言えます。さらに、「略奪」「奪取」などの派生語も多く、語彙体系の中で重要な位置を占めている言葉です。
奪うの例文
- 1 スマホを見ているだけで、いつの間にか貴重な時間を奪われていた…という経験、誰にでもありますよね。
- 2 仕事の締切に追われて、ゆっくりする余裕すら奪われる日常に、思わずため息が出てしまいます。
- 3 美味しそうなデザートを見た瞬間、理性が欲望に奪われてつい注文してしまったあの瞬間、共感できます!
- 4 子供にスマホを奪われて、自分が使えなくなるというあるある、子育て中の親ならみんな経験あるはず。
- 5 映画のラストシーンで主人公の運命に心を奪われ、しばらく現実に戻れなかったあの感覚、たまりませんね。
「奪う」の類語との使い分けポイント
「奪う」には多くの類語がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。
| 言葉 | 意味 | 使用例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 奪う | 無理に取り上げる | 財布を奪われる | 最も一般的で広い意味 |
| 略奪 | 暴力的に奪い取る | 村を略奪する | 組織的・大規模な奪取 |
| 強奪 | 力ずくで奪う | 現金を強奪する | 物理的な力による奪取 |
| 横取り | 先に取ろうとしたものを奪う | チャンスを横取りする | 機会や順番を奪う |
| かすめ取る | 素早く奪う | ポケットからかすめ取る | 気付かれないように奪う |
特に「略奪」は戦争や災害時の組織的な行為に、「強奪」は銀行強盗などの重大犯罪に使われる傾向があります。日常会話では「横取り」や「取る」の方が適切な場合が多いです。
使用時の注意点とタブー表現
「奪う」は強い表現のため、使用時には注意が必要です。特にビジネスシーンや対人関係では、誤解を生む可能性があります。
- 目上の人に対して「時間を奪って申し訳ありません」はOKですが、「チャンスを奪う」などは失礼に当たる
- 取引先に対しては「シェアを奪う」ではなく「獲得する」を使う
- 「恋人を奪う」などの表現は人間関係のトラブルを招く可能性が高い
- スポーツやゲームなど競技の文脈ではポジティブに使えるが、現実の人間関係では注意が必要
言葉は刃物のようなもの。『奪う』という言葉は特に切れ味が鋭いので、扱いには細心の注意を払わなければならない
— 国語学者 金田一春彦
歴史的な変遷と現代的な用法
「奪う」という言葉は時代とともにその用法を変化させてきました。古代から中世にかけては主に戦争や犯罪に関する物理的な奪取を意味していましたが、近代以降は比喩的な用法が大幅に増加しました。
- 平安時代:貴族間の権力闘争で「地位を奪う」などの政治的意味合いが強かった
- 戦国時代:領地や城を「奪う」という軍事的意味が主流に
- 江戸時代:商業の発達に伴い「客を奪う」などの経済的用法が登場
- 現代:メディアの発達で「注目を奪う」「心を奪われる」などの心理的用法が急増
特にインターネット時代以降は、「視線を奪うWebデザイン」や「話題を奪うSNS投稿」など、デジタルコンテンツに関する用法が新たに生まれ、言葉としての応用範囲がさらに広がっています。
よくある質問(FAQ)
「奪う」と「取る」の違いは何ですか?
「奪う」は相手の意思に反して無理やり取得するニュアンスが強く、対象物が本来誰かの所有物である場合に使われます。一方「取る」はより中立的で、単に物を手に入れる行為全般を指します。例えば「勝利を奪う」は相手から勝ちを引きはがす印象ですが、「勝利を取る」はより一般的な表現です。
「心を奪われる」という表現はポジティブな意味で使えますか?
はい、非常にポジティブな意味で使われます。美しい景色や素晴らしいパフォーマンス、感動的な作品などに深く感動し、他のことが考えられなくなる状態を表現します。例えば「あの演奏に心を奪われた」は最高の賛辞の一つと言えるでしょう。
ビジネスシーンで「奪う」を使うのは失礼ではありませんか?
文脈によりますが、基本的には注意が必要です。「シェアを奪う」「顧客を奪う」などは競合他社を意識した表現になるため、社内では使えても対外的には「獲得する」などより中立的な表現が無難です。ただし「注目を奪う」などはプレゼンなどで好意的に使われることもあります。
「時間を奪う」という表現は適切ですか?
適切ですが、ややネガティブなニュアンスを含みます。例えば「お時間を奪って申し訳ありません」は丁寧な表現ですが、相手の貴重な時間を消費してしまったという謝罪の気持ちが込められています。ポジティブな場面では「お時間をいただき」など別の表現が好まれる傾向があります。
スポーツで「勝利を奪う」と言うのはなぜですか?
これは相手チームが持っていた「勝利」という成果を、力ずくで自分のものにするという比喩表現です。特に接戦や逆転勝利の場合、相手から勝ちを「奪い取った」というドラマチックな印象を与えるため、スポーツ報道で好んで使われる表現となっています。