「悔しい」とは
「悔しい(くやしい)」は、「口惜しい(くやしい/くちおしい)」とも書き、意味は以下の通りです。
「悔しい」は、諸説ありますが、動詞の「悔やむ」や「悔いる」、あるいは古語の動詞「悔ゆ」が形容詞化したもので、自分の言動に対して後悔する気持ちを表しています。
また、1の意味は、本来「口惜し(くちおし)」の意味であったものが、平安時代から鎌倉時代にかけて、1と2の意味の使い分けがなくなったと言われていて、現代では「悔しい」と「口惜しい」が同義の言葉として使われています。
「口惜し」とは
「口惜し(くちおし)」の語源には諸説あります。そのうちの一つは、「朽ち惜し(くちおし)」が本来のもので、朽ちていく(枯れ果てる。腐る)ことが惜しいということから、どうすることもできずに残念だ、不本意だということを意味すると言われています。
また、別の説では、「口にすることも惜しい」ということから、言葉にできないほど残念だ、情けないというのが語源だとされています。
「悔しい」と「口惜しい」の使い方
現在、「悔しい」と「口惜しい」の使い方に明確な違いはありませんが、一般的には、「悔しい」 は、口語(話し言葉)、 「口惜しい」 は、文語(書き言葉)で使われることが多いようです。
「例文」
- あと1球でノーヒットノーランだったが、最後にヒットを打たれて記録が達成できず、悔しい(口惜しい)です。
- 落ち着いて考えればおかしいとわかったのに、まんまと詐欺に騙されて悔しい(口惜しい)気持ちでいっぱいだ。
- 大学入試当日にインフルエンザで高熱を出し、受験できなくて悔しい(口惜しい)思いをした。
- ライバルに僅差(きんさ:わずかな違い)で負けてオリンピック代表選手に選ばれず、悔し(口惜し)涙を流した。
「悔しい」の類語
「残念」
「残念(ざんねん)」は、心残りであるさま、悔しい思いをするさまのことです。「念=おもい」が「残」ることから、悔しい気持ちを表しています。
「悔しい」には、強い気持ちがストレートに表れていますが、「残念」は、やや冷静な状態や内面に気持ちが籠ったような状態で悔しい思いを表現されることも多いようです。
【例文】
「無念」
「無念(むねん)」は、くやしく思うこと(または、そのさま)という形容動詞で、どちらかと言うと文語的な言葉です。口語では、時代劇などで武士が、悔しい思いをしたときや残念な場面で「無念でござる」と言うセリフに覚えのある人もおられるのではないでしょうか。
「無念」は、仏教用語で名詞としての意味もあります。この場合は、迷いの心を離れて無我の境地に入り、何事も思わないことという意味になります。
【例文】
- ビジネスで成功した姿を苦労して育ててくれた両親に見せられないのは、とても無念です。
- 主君の無念を果たせず、切腹してお詫びいたします。
「臍を噛む」
「臍を噛む(ほぞをかむ)」という慣用句があります。「臍」は、へそのことで、自分のへそを噛もうとしても噛めないことから、後悔してもどうにもならずに悔やむことを意味しています。
【例文】
- もっと早く告白していれば、あいつに彼女を盗られることはなかったのにと臍を噛む思いだった。
- 宝くじの1等当選番号が1番違いだった。連番でもっと買っておけばよかったと臍を噛んだ。