「情けない」の意味
「情けない(なさけない)」は、「情け無い」と書かれることもある形容詞で、以下のように複数の意味があります。
- 情け心がない。思いやりがない。
- 同情の余地がない。あまりのふがいなさにがっかりする。
- みじめである。みすぼらしい。
- 風流でない。風情がない。
現在主に用いられているのは1~3の意味で、4は古典などでみられる使い方です。よって、今回は1~3の意味について詳しく解説します。
「情けない」の使い方
1.思いやりがない
1の意味で使う場合の「情けない」は、無情で、相手の立場や気持ちを考えていないさまを表します。「許すこと・手加減すること」を指す「容赦(ようしゃ)」という言葉を伴って、「情け容赦がない」と使われることもしばしばあります。
【例文】
- 子ども相手にそのような情けない態度をとるなんて信じられない。
- 彼は上司から情けない扱いを受けて深く傷ついている。
- 規則を破った生徒は、情け容赦なく罰せられた。
2.同情の余地がない
2の意味で使う「情けない」は、残念に思う、がっかりする、嘆かわしい、といった気持ちを表します。「何かしらの期待を持っていたのに」それが実現しなかった、という場合に使うことが多いでしょう。自分自身について用いることもできます。
【例文】
- 「今度こそ変わる」と言っていたのに、まったく変わっていないなんて情けない奴だ。
- 毎回毎回、新しいことを始めるたびに三日坊主で終わってしまう自分自身が情けない。
3.みじめである・みすぼらしい
3の意味の「情けない」は、ひどい状態で見るにしのびないさま、みっともないさまを表します。視覚として入ってくる情報だけでなく、「声」などにも使うことができます。
【例文】
- ボロボロの情けない姿をした男が、こちらに向かって歩いてきた。
- 普段の彼からは想像できないほどの情けない声で私に話しかけてきた。
「情けない」の関連語
「情けない」は、さまざまなシーンで使うことができますが、意味の幅が広いことによって、意図が伝わりづらいことがあるかもしれません。ここでは、1~3それぞれの意味によりフォーカスした関連語を紹介します。
1.思いやりがない
【無情(むじょう)】
「無情」は、他を思いやる心がないことを意味します。「無情な言葉で彼女を突き放した」のように使います。また、「雨が無情にも咲いたばかりの花を散らしている」のように、人以外のものに対しても使うことができます。
【つれない】
「つれない」とは、「思いやりがなくこちらの気持ちに応えない・薄情だ」という意味です。「彼はいつもつれない態度をとる」のように使います。他に「他人行儀でよそよそしい」ことも表します。
2.同情の余地がない
【嘆かわしい(なげかわしい)】
「嘆かわしい」は、あまりのひどさに嘆かずにはいられないさまという意味です。ひどく悲しんだり残念に思うことを表し、「情けない」よりも強い表現です。(例:嘆かわしい結果に終わった)
【残念(ざんねん)】
「残念」には、期待とは異なる結果や状態になったことにがっかりして、心残りに思ったり腹立たしく思うことという意味があります。(例:この試合に負けたことが残念でならない)
3.みじめである・みすぼらしい
【悲惨(ひさん)】
「悲惨」は、あまりにもひどく、目を背けたくなるほど心が痛むことという意味です。「かわいそうで見ていられない」といった気持ちを表します。(例:悲惨な光景に目を背ける)
【みっともない】
「みっともない」は、見た目が悪い・人に見られたり聞かれたりしたくないようなさまという意味を表します。(例:みっともないことをするな)