「主観」とは?意味や使い方を対義語も含めてご紹介

「主観」と「客観」、あるいは「主観的」と「客観的」という言葉はよく見聞きします。でも、意味を説明するとなるとなかなか難しいものがあるのではないでしょうか。この記事では、「主観」について、対義語の「客観」と一緒に意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「主観」とは
  2. 「客観」とは
  3. 「主観」と「客観」の使い方

「主観」とは

「主観(しゅかん)」とは、人それぞれの立場や経験などから来る、その人だけの考え方、ものの見方、感じ方のことです。「主観」は、ギリシア語の「hypokeimenon(ヒュポケイメノン)」、ラテン語の「subjectum(スブイェクトゥム)」に由来します。

ギリシアの哲学者アリストテレスやスコラ哲学では、「hypokeimenon」や「subjectum」を「根底にあるもの」とか「基体(物の性質・状態・変化の基礎と考えられるもの)」の意味で捉えていましたが、それは、現在の「客体」の概念に近いものでした。

しかし、近世以降は、対象を認識したり、行為や評価を行う自我や意識のはたらきという意味で使われています。ここから、上記にように一般的に使われる「主観」の意味が生じています。

「客観」とは

「主観」の対義語である「客観(きゃっかん)」は、意識の外にあってそれ自体が実際に存在するもの、主観から独立して誰でもがその存在を認識することができるもののことです。言い換えれば、第三者の目で捉えたもののありようが「客観」ということになります。

哲学において「客観」は、ラテン語の「objectum(オブイェクトゥム)」に由来します。中世スコラ哲学では、現在とは逆の意識内容や表象の意味でしたが、その後、ドイツのカントによって、「主観」の対立概念として「客観」という言葉が明確に規定されました。

「主観」と「客観」の使い方

哲学をはじめ、心理学や美学などで、「主観」と「客観」は、それぞれの学問分野における捉え方があります。

特に哲学においては、アリストテレス以降、様々な学説が存在し、上記で少し触れたように意味や概念の転換などもあって、ここでそれらをご紹介することは妥当ではありません。

ここでは一般的な意味での「主観」と「客観」の使い方をご紹介します。簡単に言うと、物事に対する意見や感想は「主観」ですが、その物事がそこに存在するという事実は「客観」です。

「主観」の使い方

「主観」は、人がそれまでに経験したことや知識などに基づいて物事を考えたり、感じたりすることですから、当然、個人差があります。したがって、同じものを見聞きしても、そのものの捉え方は同じであることもあれば、まったく異なることもあります。

使い方としては、「客観」との対比や「○○の主観」「主観的に判断する」といった表現がよく使われています。

【例文】

  • 初めにあなたたちの主観でこの作品をよく観察してください。
  • 君はどうして主観的なものの見方しかできないんだ。もっと客観的に物事を捉えないと本質を見落とすよ。
  • あの先生は、生徒を主観で判断して評価するからみんな嫌がっている。

「客観」の使い方

「客観」は、「主観」の対象となって現実に存在するものですから、誰にでも認識することが可能です。しかし、人は見たり聞いたりした対象に対して、どうしても「主観」が働いてしまうことから、見聞きした人からの伝聞ではなく、自分自身でその存在を捉えることが重要です。

また、人に物事を伝える場合には、「客観的な事実」とか「客観的な判断」を示すことで、理解を促し、認識の共有化を図ることができます。ただし、認識の共有化といっても、ある一つの事実の認識を共有することであって、各人の主観を統一することではありません。

【例文】

  • 今度のリゾート開発プロジェクトでは、手元の資料の客観的な数字でも明らかなように、十分採算の見込みがあります。
  • このレポートは客観考察が足りないので書き直すよう教授に指摘された。
  • 株式取引などでは、個々の企業の業績だけでなく、社会や経済全体の状況を客観的に判断しないといけない。
  • 自分自身を客観視することは難しい。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ