「一環」とは?意味や使い方を類語も含めてご紹介

「一環」という単語だけではイメージが浮かばなくても、「~の一環として」という言い回しになれば、意味がわかる人は多いことでしょう。会話でも使われますが、わけてもビジネスシーンで頻繁に登場する言葉です。今回は、「一環」の意味と使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「一環」の意味とは?
  2. 「一環」の使い方
  3. 「一環」の類語
  4. 「一環して」は誤り

「一環」の意味とは?

「一環」は、(いっかん)と読みます。「一」は、ひとつという意味で用いられていますので、「環」がわかれば「一環」がなにを表現しているか推察できます。

「環」は、音読みが(かん)訓読みが(たまき、わ、めぐ-る)で、意味は下記の三つですが、どれも「輪」に関係するものです。

  1. 輪の形状の玉。
  2. 輪の形。輪。
  3. まわる。かこむ。めぐらす。めぐる。

このような意味を持つ「環」に、「一」で構成されている「一環」は、鎖などの一つの輪という漢字そのものの意味を持ちます。ですが、最も頻繁に使われているのは、そこから派生した、互いに密接なつながりを持つものの一部分、全体の一部分という意味です。

「一環」の使い方

「全体の一部分」という意味での「一環」は、ビジネスの場などで頻繁に登場します。その多くが、(~の一環、~の一環として)という言い回しで用いられています。使い方の注意点は、物に対して用いないということです。

以下では、一般的な「全体の一部分」としての「一環」の例文を挙げていきます。上記で示したように、その「全体」の対象が、物ではなく、行事・業務・教育・政策などの「ひとくくり」の「全体の一部分」に「一環」を使います。

「一環」の例文

  • 当校設立50周年の記念行事の一環として、図書館、資料館を統合・新設いたします。
  • 今回、業務の一環として地方支店への視察旅行を行います。
  • 新入社員には、社員教育の一環で販売店での営業を三か月課すこととなっている。
  • 新政権の政策の一環は、なんといっても経済の立て直しにある。

「一環」の類語

「一端」

「一端」(いったん)は、物の一方の端という意味がありますが、もうひとつ、事柄の全体の一部分という意味があり、これが「一環」の類語に当たります。

「一環」は、その部分の規模の大小の区別なく用いますが、「一端」には、ほんの一部分というニュアンスがあります。「一環」と同様に、類語としての「一端」が含まれる全体は、物ではなく、事柄を対象としています。

【例文】

  • 当社の海外進出計画の一端は、韓国での支店設立だ。
  • 就職活動の一端として、簿記の資格を取ることにした。

「一部」「一部分」

「一部」(いちぶ)、一部分(いちぶぶん)は、「一環」や「一端」に比べると非常に一般的な言葉です。どちらも「一環」の類語足りえます。

事柄や事象を対象として用いる「一環」とは異なり、「一部」「一部分」は、物においても用いることができます

【例文】

  • 当社の研究開発の一部は、バイオテクノロジー分野が占めている。
  • 今回募る寄付の一部分は、保護犬の飼育費用に充てられます。
  • バッグが増えすぎたので、一部を妹に譲ることにした。

「一環して」は誤り

「一環して」という誤った使い方を時々見かけますが、正しくは「一貫して」です。「一貫して」は、最初から最後までつねに、様々な場合を通じてずっとなどの意味を表す言い回しです。

この二つの言い回しを混同してしまう理由として考えられるのは、まず、発音が同じこと、そして、どちらにも「全体」という意味が含まれているためではないでしょうか。この違いを例文で見てみます。

【例文】

  • 趣味の音楽活動の一環として、養護施設への出張コンサートを毎月1回行っています。
  • 当社の商品は、創業以来一貫して「高品質低価格」を目指しています。


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