「視察」とは?意味や使い方をご紹介

「視察」は、「視」という漢字からも「見る」に関係する言葉と推察できますね。日常会話ではあまり登場しませんが、社会生活、特にビジネスの場ではきわめて重要な言葉です。今回は「視察」の意味と使い方を、類語との比較も交えてご紹介します。

目次

  1. 「視察」とは?
  2. 「視察」の使い方
  3. 「視察」の類語

「視察」とは?

「視察」は、(しさつ)と読みます。実情を知るために、現地や現場を訪れて、そのありのままや実際の様子を確認したり見極めることを意味する言葉です。以下の字義からも、よく見て、詳しく調べ、明らかにするという意味だとわかります。

「視」は、音読みが(し)、訓読みが(み-る)。意味は、①「目で見る。じっと見つめる」、②「みなす。思う」です。「視察」の「視」には、①の意味が該当します。

「察」は、音読みが(さつ)、訓読みが(あき-らか、み-る、し-る)。意味は、①「明らかにする。よく見る。詳しく調べる。知る」、②「推量する。思いやる」です。「視察」の「察」は、①の意味が該当します。

「視察」の使い方

上述した意味から、「視察」が、現場や現地をただ見て回るのではなく、調べるという「職務上の行為」と理解できるでしょう。結果をフィードバックして、対策や計画を練るために「視察」をするのです。

災害などの発生に際し、災害対策を担う政治家や担当者が、現場の状況を把握するために「視察」します。時に、皇族も避難所などを訪問しますが、この場合は「視察」とは言わず、慰め励ます「慰問」と称します。

時々、国会議員や組織のトップなどが、税金や会社の経費を使って、海外や国内に視察へ行きながら、ほとんどを観光に費やしていたりすると、不正ではないかと騒動になります。これは、視察=仕事だからこそ批判されるのです。

「視察」の文例

  • 巨大台風で大きな被害を受けた地域を真っ先に視察したのは、ボランティア組織のリーダーたちだった。
  • 我が社の悲願だったアメリカでの販売網確立に向けて、社長と役員たちは候補地の視察に出かけた。
  • 修学旅行先の候補が二か所あり、担当教師たちは二手にわかれて視察旅行に出た。
  • 国会議員30名が、環境汚染の調査と銘打った視察団として欧州に出かけたが、実態は観光旅行だと批判されている。

「視察」の類語

「見学」の意味と使い方

「見学」(けんがく)は、多くの人に馴染みのある言葉です。小学生のときは「社会見学」で、消防署や食品工場などに出かけた記憶があるはずです。あるいは、体調が悪くてプールの授業などを「見学」したこともあるでしょう。

「見学」には、次の二つの意味があります。①現場や現状を見て、知識を身につけること。②なんらかの都合で、体育などの授業の実技には参加せず、見て学ぶこと。上述の社会見学は①の意味、プールの見学は②の意味で用いられています。

「視察」の類語は①の意味ですが、異なる点は、「視察」の目的は任務のための調査で、「見学」は知識・見識を深めるためのものであることです。

【文例】原爆記念日に広島を訪れた我が校の生徒たちは、原爆記念館を見学してあらためて衝撃を受けた様子だった。

「査察」の意味と使い方

「査察」は、(ささつ)と読みます。「状況や現場を視察すること。ものごとの状態を実地調査し、とどこおりなく進んでいるかを調べること」を意味する言葉です。

「視察」と「査察」は、仕事としての目的を持って行われる調査である点で共通するところが多い類語です。異なる部分については、「視」と「査」の意味を知ると理解しやすくなります。

「査」は、「捜査」などに用いられることからも、「察」と同じく「調べる、明らかにする」という意味を持ちます。「査察」は、「調べる」という意味の漢字が二つ重なっていることから、「視察」に比べ、調査やその結果の判定に重点がある言葉だとわかります。

【文例】A社は所得税の申告に不正があったらしく、税務署の査察を受けたそうだ。


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