「常套句」の意味とは?
「常套句」(じょうとうく)とは、ある物事について表すのによく使われる語句や表現のことです。「常套」は決まりきったやり方をすること、ありふれていることを言います。「句」はこの場合、文章中に含まれるひとかたまりの言葉のことです。
「常套句」の使い方
「常套句」は、物語を耳慣れた言葉で表現しようとする時に、書き言葉や話し言葉で使います。ありふれている言葉ですので、人にすぐ理解してもらえるメリットがありますね。
しかし、文章などを創作する場合に「常套句」で表現すると、わかりやすい反面、独創性に欠けて目新しさがないような印象を与える場合もあるかもしれません。
また、決まりきった言葉ですので、挨拶などで使うと形式的で心がこもっていない、親しみを感じないように見られるケースもあります。
「常套句」を使った例文
【例文】
「常套句」の類語
決まり文句・極まり文句
「決まり文句・極まり文句」(きまりもんく)とは、型にはまった新鮮味のない言葉、ある決まったところでいつも使う文句のことを言います。「常套句」と似たような意味で使えます。
【例文】
- 「この紋所(もんどころ)が目に入らぬか!」は、格さんが水戸光圀公の印籠(いんろう)を取り出す際の決まり文句だ。
- 「綿菓子のような雪」という表現は、極まり文句かな?
定型句
「定型句」(ていけいく)は、特定の場面でよく使われる言い方や表現のことです。「常套句」と似た意味の語です。
また、パソコンのワープロソフトの機能のうち、ビジネス文書などでよく使われる文章や語句、図形などを登録して簡単に入力できる機能を「定型句」という場合もあります。
【例文】
- 「お待たせしました」とクッション言葉の定型句でお客に声をかけて、失礼にならないようにしている。
- 取引先にメールをする際には、「いつもお世話になっております」という定型句を入れるようにした。
- 「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」を定型句としてソフトに登録した。
手垢のついた文句・手垢にまみれた文句
「手垢(てあか)のついた文句」「手垢にまみれた文句」というのは、多くの人に使用されている文句という意味です。「手垢がついた表現」「手垢にまみれた文章」などの使い方もあります。決まった物事を表すのに使われる「常套句」の意味と似ています。
「手垢のついた」という表現は、物に人の手垢がついていること、「手垢にまみれた」は、多くの手垢が付いて汚れていることを表しています。かなり多くの人に使い古されていることを表す比喩的な表現です。
【例文】
- 「猿でもわかる」というのは、あまり慣れていない人でも理解できるという意味の手垢のついた文句だね。
- 手垢にまみれた文句を使ってばかりいると、文章を作る能力が衰えそうだ。
「口癖」と「常套句」の違い
「口癖」(くちぐせ)は、その人にとってある言葉を言うのがくせになっていること、またはその言葉のことです。他に、言い表し方や表現の仕方などの特徴を指す場合もあります。
「常套句」と「口癖」は一見似ているようですが、「常套句」は、ある程度人に知られている文句を意図的に会話や文中で使いますが、「口癖」の場合は、その人にある言葉を発するくせがあり、自然と口をついて出てくるという違いがあります。
【例文】
- 彼女は、他人の意見に対して「だって」と言って反論するのが口癖だ。
- 先生は発言の前に「えーと」と付ける口癖がある。