「柔らかい」とは?
「柔らかい」(やわらかい)の意味は、以下の通りです。
- 堅さがなく、ふんわりしている。しなやか。力を加えると変形するが、すぐに元に戻る。
- (人や物の性質が)落ち着いていて、穏やかである。
- (人の性格について)融通が利く、堅苦しくない。
「柔らかい」は、形容動詞「柔らか」が形容詞化した語です。「柔」は、もともとは矛に用いるしなやかな木のことを指し、「柔らかい」意になったとされています。
「柔らかい」と「軟らかい」の使い分け
「柔らかい」と同じ訓読みをする漢字に「軟らかい」があります。どちらも、物が堅くないことを表しますが、使い分けに迷った経験はありませんか。
大きく分けると、「柔らかい」は「力を加えても元に戻る、弾力のあるもの」に、「軟らかい」は「力を加えると元の形には戻らないもの」に対して使う傾向があります。
文化庁の文化審議会国語分科会の例では、「柔」はしなやかなもの、ふんわりしたもの、穏やかなものに、「軟」は手応えがない、緊張感や硬さがないものに使うと示しています。たとえば、「軟らかく炊いたお粥」「軟らかい文章」「軟らかい地盤」などが挙げられます。
ただし、「柔」と「軟」の使い分けは明確に線引きされているものではなく、辞書によっても解釈に違いがあります。また、メディアでは一部の表現に「やわらかい」とかな書きをする場合もあります。テストなどでなければ、漢字表記にこだわらなくてもよいかもしれません。
「柔らかい」の使い方と例文
1.堅さがない、しなやか、形が元に戻るもの
1の意味は、堅さが感じられない、しなやかなものに対して用います。たとえば、「スポンジ」「クッション」「毛布やセーターなどの毛織物」が挙げられるでしょう。(人の)体が柔らかい、といった場合でも使えますね。
【例文】
- 赤ちゃんの肌着には、肌当たりが柔らかい素材がふさわしい。
- お手入れの際は、柔らかい布で優しく拭き上げてください。
- 運動の前にひざを柔らかくして、怪我をしないようにしましょう。
2.落ち着いている、穏やか
性質に対して「柔らかい」を用いる場合は、派手さがなく落ち着いている、穏やかで優しいといったイメージです。「柔らかい木漏れ日」「柔らかい対応」「人当たりが柔らかい」「色合いが柔らかい」などが挙げられます。
【例文】
- 彼には、柔らかいトーンのパステルカラーが似合う。
- 彼女は白いパラソルの下、柔らかい光の中で昼寝をしている。
- A社の担当者は、柔らかい物腰で笑顔が素敵な女性です。
3.融通が利く、堅苦しくない性質
3の意味は、柔軟性があって融通が利く、堅苦しいところがないことを表します。「頭が柔らかい」「柔らかい話ができる」などの例があります。
【例文】
- 祖父は頭が柔らかく、デイサービスでもクイズや謎解きを楽しんでいる。
- 新人は、仕事のことしか頭にない真面目なやつだと思っていたが、意外と柔らかい話もできるみたいだ。
「柔らかい」の類語
1.しなやか
「しなやか」は、柔らかく弾力性に富んでよく撓う(しなう:折れずにたわむように曲がる様子)こと、動作や表情が堅苦しくならず優美な様子などをいいます。
「しなやか」は「人の優美な様子」についても言及することがありますが、「柔らかい」にはこの意味がありません。
【例文】しなやかなラタンを使って、かごを作ってみた。
2.温和
「温和」(おんわ)には、二つの意味があります。
- 寒暖差が少なく、暖かで過ごしやすい気候。
- 気持ちの浮き沈みがなく落ち着いた性質、人付き合いが上手な様子。
上記2の意味において、落ち着いて穏やかな性質を表す「柔らかい」の類語と言えるでしょう。
【例文】彼女は温和な性格で、周囲の人に信頼されている。
3.臨機応変
「臨機応変」は、その場にいて状況に合った応対ができることをいいます。「臨機」はその機(状況)に臨む(目の前にする)ということ、「応変」それに応じるように変化させることです。
「柔らかい」における、柔軟な態度で相手に合わせて対応する、という意味に近いでしょう。
【例文】イレギュラーが起きた際は、これまでの経験を活かして臨機応変に対応しよう。