「プライバシー」とは
「プライバシー(privacy)」とは、(第三者の干渉を受けたり、知られたりすることのない)個人の私生活や秘密、または、そのような私生活などを知られない権利のことです。また、最近では、自己の情報をコントロールできる権利という意味でも使われています。
元々、英語の「privacy」元来の意味は、一人で放っておいてもらう権利(right to be let alone)のことです。英和辞書には、私生活(他人に干渉されないこと)・秘密のほかに、プライバシーという訳語もあり、日本語化した外来語として定着しています。
「プライバシー」の使い方
「プライバシー」は、他人から侵害された(侵害されたと本人が感じた)時に問題となります。そのような行為を受けたり、行為をした時、あるいは、自己防衛策を講じるような時に「プライバシー」を使います。
【例文】
「プライバシー」と「個人情報」の違い
「プライバシー」と「個人情報」は、密接に関係していることもあり、区別せずに使われていることがよくあります。しかし、厳密に言うとこの二つは異なります。
「個人情報」は、個人情報保護法で明確に定義されていますが、「プライバシー」には法的な定義はありません。
プライバシー概念の一つである上記「自己の情報をコントロールできる権利(自己情報コントロール権)」が、積極的プライバシー権と位置付けられ、この権利を具体化・成文化したものが、個人情報保護法です。
「個人情報」とは
個人情報保護法第2条では、生存している個人に関する情報の中で、特定の個人であると分かるもの及び、他の情報と紐づけて容易に特定の個人であると分かるものと「個人情報」を定義しています。
具体的には、本人の氏名、生年月日、その他下記の「プライバシー権」の項で例示した情報などの記述等から特定の個人を識別できる情報のことです。したがって、「個人情報」は、「プライバシー」よりも広い概念なのです。
また、この個人情報に、マイナンバーが含まれると「特定個人情報」という扱いになって、より厳格な保護を受けることになります。
「プライバシー権」
上記の意味からも分かるように、「プライバシー」は、保護すべき重要な権利ですが、法律上「プライバシー権」という規定はなく、社会の発展・変化に伴って判例で「権利」として認められています。
判例によると、「プライバシー権」は、私生活上の事柄をみだりに公開されない法的保障・権利とされています。そして、「プライバシー権」の侵害となる「公開」の内容には、以下のような情報があります。
- 前科、過去の犯罪行為
- 持病や病歴
- 身体的特徴
- 指紋
- 日常生活(家の中を覗かれたり、家庭の内情や会話、本人や家族の写真など)・行動範囲や内容・住所
- 結婚歴や離婚歴
- 犯罪捜査としての情報
特に、有名人やその家族のこういった情報がメディアなどで報じられると、国民の知る権利と表現の自由の問題が絡み合って、「プライバシー」の問題がクローズアップされます。裁判例としては、三島由紀夫の小説『宴のあと』が、プライバシー侵害として訴訟になった例が有名です。
「プライバシー権」の拡大
「プライバシー権」が、社会の発展・変化とともに判例で認められた権利であることから、その範囲や内容は拡大することがあります。「積極的プライバシー権」は、「プライバシー権」が拡大した例ですが、現在は、さらに新しい形の「プライバシー権」が登場しています。
その一つが、「忘れられる権利」や「削除を求める権利」です。これは、インターネットなどで拡散した過去のネガティブ情報などについて、積極的に「忘れられる」ことや、「削除を求める」ことを権利とするもので、この考え方がすでに裁判例でも表れています。
このようなことから、「プライバシー」の意味や「プライバシー権」は、今後も拡大していくのではないでしょうか。