「邪智」とは?意味や使い方をご紹介

「邪智(じゃち)」という言葉をご存じでしょうか。「邪知」とも書きますが、邪悪の「邪」と智恵(ちえ)や知識の「智/知」に分解してみると意味が見えてくるかもしれません。この記事では、「邪智」の意味や使い方を類語や四字熟語などを交えて、詳しくご紹介します。

目次

  1. 「邪智」とは
  2. 「邪智」の使い方
  3. 「邪智」のつく四字熟語
  4. 「邪智」の類語

「邪智」とは

「邪智」は一言で言うと、悪知恵のことです。「智」は、常用漢字ではないため、一般的には「邪知」が使われています。「邪」も「智」もよく見かける漢字ですが、まず、それぞれについて見ていきます。

「邪」の字義

「邪」は、音読み「ジャ」、訓読み「よこしま」と読み、①よこしま、正しくない、心がねじれているに外れている、人に害を及ぼすものという意味があります。①では、邪悪、邪道、②では、邪魔、風邪などの言葉があります。

「智」の字義

「智」は、音読み「チ」、訓読み「ちえ。さと-い」と読み、①ちえ、物事を考えて理解する能力、②かしこいというものです。①では、才智、智慧、②では、智者、智弁などがあります。なお、「知」は、「智」の書き換え文字です。

「邪智」の使い方

上記のそれぞれの漢字の字義を考えると、知恵のある賢い人間が、その知恵を悪いことに使う場合やその悪い考えが「邪智」ということになります。具体的には、人をだましたり、陥れたりするような企みや、そういった企みをする人間に対して「邪智」を使います。

【例文】

  • 私は今まで、彼のように狡猾邪智に長(た)けた人間に出会ったことがない。
  • 彼は邪智に富んでいるから、言うことを真に受けると痛い目に会うよ。
  • 彼女は、邪智や僻み(ひがみ)といった人から嫌われるところがない人だ。

「邪智」のつく四字熟語

「邪智暴虐/邪知暴虐」

 「邪智暴虐/邪知暴虐(じゃちぼうぎゃく)」は、悪賢いことに頭がよく働いて、その知恵を使って残酷なことをして人々を苦しめることです。権力や財力のある人間が、その力を使って弱いものを苦しめ、虐げるような場合に使います。

「暴虐」は、乱暴で残酷な振る舞いをして人々を苦しめること、または、そのような振る舞いのことです。

【例文】

  • 知恵や力のある者は、邪知暴虐な振る舞いをすることのないように、常に自分を戒めなければならない。
  • 歴史を紐解くと、邪知暴虐な権力者が大勢いたことがわかる。

「奸佞邪智/奸佞邪知」

「奸佞邪智/奸佞邪知(かんねいじゃち)」は、歪んだ心で悪知恵を働かせて、人に媚(こび)を売り、ずるがしこく立ち回ること、または、そのような人間のことを言います。

「奸」は、心が歪んで曲がっていること、「佞」は、へつらい、媚びることを意味するところから、「奸佞」は、ねじれて歪んだ心でへつらうことです。「奸」は「姦」とも書きます。また、「邪智奸佞」とも言います。

【例文】

  • 課長は、いつも部長や専務に媚びへつらい、引き立ててもらおうと奸佞邪智を働かせているが、あそこまでして出世したいとは思わないな。
  • 太宰治の『走れメロス』には、奸佞邪智の王が登場する。

「邪智」の類語

「奸智/奸知/姦智(知)」

「奸智(かんち)」は、悪知恵、悪いことを考え出す知恵のことです。「奸」は「姦」とも書きます。「奸智に長ける」という言い方がよく使われています。

同様の意味の四字熟語に「奸智術数(かんちじゅつすう)」があります。「術数」は、はかりごと、企てという意味です。

【例文】

  • 彼は思った以上に奸智に長けていて、油断できない。
  • 反主流派を切り崩す主流派の奸智術数の前には、成すすべもなかった。

「狡知/狡智」

「狡智/狡智(こうち)」は、ずる賢い考え、悪知恵という意味で、「邪智」や「奸智」とほぼ同義の言葉です。「狡」には、ずるい、悪賢いという意味があります。

【例文】

  • 今度のミステリーは、狡智に長けた犯人と追いつめる刑事の頭脳戦が面白かった。
  • 彼女は天真爛漫に振舞っているが、時々見せる狡智で抜け目なく人と付き合っている。

「狡猾」

「狡猾(こうかつ)」は、悪賢いこと、ずる賢いことです。ずるい、悪賢いという意味の「狡」と「猾」を並べて意味を強調しています。悪知恵を働かせる点で、「邪智」の類語と言えます。

【例文】

  • 外国の童話には、よく狡猾なキツネが登場する。
  • あいつは親切そうに見えるが、狡猾そうな目をしている。


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