「修める」の意味とは?
「修める」(おさ-める)の意味は以下の2つです。
- (日頃の行いや振る舞いなどを)正しくする
- (学問・技能・芸事などを)身につける
これ以外に、現代ではあまり見られない、古語での意味や使用例がありますが、それについては後述します。
「修める」の使い方と例文
1.正しくする
「修める」は、日頃の自分の行動や心持ちが正しく過ごせるようにと、厳しく自戒を込めて使う場合があります。また、普段から気にかけている人の慢心や思いやりのない行動などが目に余った時に、注意したり、忠告したりする際にも使う場合がありますね。
また、「修まらない」と打ち消しの助動詞が付いた形で使うと、その人の心や振る舞いの乱れが全く直らないさまを表せます。
【例文】
- 常日頃、身を修めるように自身に言い聞かせている。
- 子供には、身持ちを正しく修めるように口を酸っぱくして言っているのだが、耳に届いていないようだ。
- Aは子供の頃から悪ガキで、素行が全く修まらない。
2.身につける
しっかりと学んで自分のものとした時に「修める」と表現できますね。例えば、学校で勉強してきたこと、習い事などをして熟練した腕前になることなどが挙げられます。
【例文】
- 新婦は〇〇大学で優秀な成績を修めました。
- 日本舞踊の技を修めて、師匠に認められた。
「修める」の類語:1.正しくする
品行方正
「品行方正」(ひんこうほうせい)とは、気持ちや行いが正しく、立派である様子をいう四字熟語です。「品行」は、日頃の行いや振る舞い方などのこと、「方正」は、(心や行いが)正しいことを言います。
【例文】
- Bさんのような品行方正な人が、盗み食いするなんて信じられない。
- 品行方正なCくんは、多くの人から尊敬の目で見られている。
慎む
「慎む」(つつし-む)は、行動などに間違いが無いように注意する、何事も度を越したことをしないように控えめにするなどのような意味で使われます。「修める」の1の意味とよく似ていますね。
【例文】
- 会社では、普段から礼儀をわきまえて慎んで対応できるように心がけている。
- 目上の方の前では特に慎み深く振る舞うようにしている。
「修める」の類語:2.身につける
習得する
「習得(しゅうとく)する」とは、物事を習い、しっかりと覚えて身につけることです。主に学問や技芸を身につける時に使います。
【例文】
- 語学学校でビジネス英語を習得した。
- 必要に迫られて、表計算ソフトの使い方を習得した。
「修める」古語で見られる例
現代語ではあまり見られませんが、古語での「修める」(古語の表記:をさ-める)は、修理する、ほころびを繕うといった意味でも使われています。
【原文】大殿(おとど)破(や)れ壊(こぼ)れて、ことごとに雨漏れ(あまも-れ)ども、かつてをさめつくることなく
【現代語訳】(仁徳天皇は)御殿がひどく壊れて、様々な場所で雨漏りをしようとも、全く修理することなく
この状況は、仁徳天皇が民衆の苦しい暮らしを思いやった政策を行い、自身も生活を切り詰めたエピソードに基づいています。ある日、天皇が山の上から周囲を見回すと、家々のかまどから煙が上がっていないことから、食事の支度ができないくらい民衆が困窮していることを知ります。
そこで、6年間、労役と税金を免除して民衆の暮らしの向上を図ります。一方、天皇は御殿の修理もできないほど不自由な生活を余儀なくされましたが、再び労役や税金を課しても不満を言う者はなく、むしろ、善政を称賛するように「聖帝(ひじりのみかど)」と呼ばれるようになりました。