「即席」の意味
「即席」には、以下の2通りの意味があります。
- その場ですぐにすること。即座。
- 手間ひまのかからないこと。
それぞれの意味ごとに使い方を見ていきましょう。
「即席」の使い方
1.「その場ですぐにすること」
「即席」を「その場ですぐにすること。」という意味で使う場合、「に」をつけて副詞的に使用されることが多くあります。
また「即席」とは、原則として「前もって準備をしていなかった」状態で何かを行うことを指します。あらかじめ用意をしてある場合や、予測していたことを遂行することは「即席」とは言いません。
例文:バイオリンで即席に演奏する。
2.「手間ひまのかからないこと」
「即席」を「手間ひまのかからないこと。」という意味で使う場合は、行動が完了するまでにかかる手順が簡潔であり、所要時間が短い物事に対して使いましょう。
行動完了までに複雑な手順やスキルが求められたり、長い時間をかける必要がある場合は「即席」とは言いません。「即席麺」や「即席料理」など他の単語と結合した言葉として使われることも多々あります。
例文:時間がないときに手軽に食べられる即席麺は店でも人気の商品の一つだ。
文学作品に登場する「即席」
ー夏目漱石『坊っちゃん』ー
ー夏目漱石『道楽と職業』ー
これらの「即席」は、「その場ですぐにすること。」の意味で使用されています。
「即席」の字義
「即席」という言葉の意味をより深く理解するために、それぞれの漢字について見ていきます。
「即」とは
「即」という漢字には以下の4つの意味があります。
- そのものにぴったりくっつく。つく。
- ただちに。すぐさま。その場で。
- すなわち。とりもなおさず。
- もし。万一。
「即席」の場合は2の意味で使われています。他に、「即決」「即日」「即売」などの言葉も2の意味です。
「席」とは
「席」には以下の5つの意味があります。
- すわる場所。
- むしろなどの敷物。
- 会合などの場。会場。
- 地位や順序。
- よせ。演芸場。
「即席」の場合は3の意味で使われており、「同席」「席上」「会席」などの言葉も3の意味で使われています。
名字としての「即席」
「即席(そくせき)」という字は、名字としても使われています。一説によると、主に山口県下関市にみられる珍しい名字です。
「即席」の類語
「即席」の類語には次のような言葉があります。いずれも「事前の準備なく物事を行うこと」を指した言葉です。
「即席」の英語表現
impromptu
"impromptu"は、「準備なしに、即座に、即興的に」という副詞としての意味や、「準備なしの、即席の、即興的な」という形容詞としての意味、さらに「即席演説」など名詞としての意味も持つ単語です。
フランス語のimpromptuを語源とする単語であり、音楽の即興曲のこともimpromptuと言います。例えば、ショパンの有名なピアノ曲「幻想即興曲」は「Fantaisie-Impromptu」と題されています。
improvised
"improvised"は、「即席に作った、即興の」という意味の形容詞です。これを名詞形にした「Improvisatore」は、デンマークの作家アンデルセンが恋と友情を描いた長編小説『即興詩人』の英題として知られています。
offhand
"offhand"は、「即座に、考えなしに」という意味の副詞です。
extempore
"extempore"は、「準備なしで、即席に」という副詞としての意味や、「準備なしで行なう、即席の、即興的な」という形容詞としての意味を持つ単語です。「一時的な、即座に」という意味を持つラテン語の「tempore」を語源としています。
off‐the‐cuff
"off-the-cuff"は、「ぶっつけ本番、準備なしの、即席の」という意味を持つ単語です。口語的な表現として使われます。
ad‐lib
"ad-lib"は、「即興的にしゃべる、即興的に演奏する」という動詞としての意味や、「即興的な、アドリブの」という形容詞としての意味を持つ単語です。
これをカタカナ語とした「アドリブ」は演劇や音楽、芸能などの業界でよく使われており、広く日本に浸透しています。
instant
"instant"は、「瞬間、瞬時」という名詞としての意味や、「即時の、即座の」という副詞としての意味を持つ単語です。
英語のinstantを語源とするカタカナ語の「インスタント」は、他の語の上について「即席の、手軽な」という意味をもたせる言葉です。「インスタントコーヒー」や「インスタントラーメン」、「インスタント食品」といった言葉は日常的にもよく使用されていますね。