「黙認」の意味
「黙認」(もくにん)とは、規則で禁止されていたり、やってはいけない物事を暗黙のうちに許可すること、またははっきりと言葉には出さず見逃すことなどを意味します。
黙って認める、という字面から想像できるように、「黙認」には公然として許可されていることではないという意味が含まれており、ネガティブなニュアンスで使われることも多いです。
「黙認」の使い方
「黙認」は、会社や学校のような大きな組織から、家庭のような小さなコミュニティまで、さまざまな場所で行われる可能性があります。
前提として、その場所に決まり事やルールがあって、ある人がそれに沿わない行動をしたにも関わらず、あえて見逃すときに「黙認」という言葉が使われます。
日常会話では「●●を黙認する」や「●●は黙認されている」というような表現をすることが多いです。会社の規則や、学校の校則について話す時に聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
例文
- 当社の昼休みは1時間と定められているのに、地方支社では30分ほど多く取っているようだ。この事実が黙認されているのは納得がいかない。
- テレビの視聴時間は1日1時間までが我が家のルールだ。しかし、今日は息子が風邪で学校を休んだため、時間をオーバーしても黙認することにした。
- 私が高校生だった時は化粧は校則で厳しく禁止されていたが、現代は目立たない程度であれば黙認している学校もあるらしい。
「黙認」の英語表現
「黙認」は英単語で、「overlook(見過ごす)」や「tolerate(大目に見る)」などで表せます。その他には「give tacit approval(黙認する)」などの慣用句でも表現できます。
例文
- My colleague gave tacit approval to his boss bribes.(私の同僚は上司のわいろを黙認していた。)
- The police officers should not tolerate the crime how small it is.(警察官はどんな些細な犯罪も見過ごしてはいけない。)
「黙認」の関連語
暗黙の了解
「暗黙の了解」は、口には出さないものの、当事者間で、ある事柄について了解し合っている様子を表した言葉です。
はっきりと言わないけれど認めているという点は「黙認」と同じです。ただし、「暗黙の了解」は必ずしも規則やルール違反などを見過ごすという意味で用いられるわけではなく、そこまでネガティブなニュアンスを含まないこともあります。
【例文】
- 初めて取り組む内容の仕事だったので、関係者間の暗黙の了解を理解するのに手こずり、予想以上に時間がかかった。
- ビジネスマナーは暗黙の了解となっていることが多いので、新入社員は習得するのに場数と時間を要するのは仕方がないことだ。
スルー
「スルー」は、英語の「through」をカタカナ読みした言葉で、見過ごす・無視するなどの意味で使われています。見てみるふりをするという意味においては、「黙認」と同じようにも用いることができる言葉です。
【例文】
- 校則違反をした高学年の生徒に対して、先生たちはスルーしているので納得がいかない。
- 先日の会議は聞きなれない横文字が多く混乱したが、私以外にも多くの社員が意味を質問することをスルーしていたようだ。
容認
「容認」には、ある事柄や条件を認めて受け入れるという意味があります。「黙認」とは異なり、ある事柄についてネガティブなことを黙って見逃すのではなく、はっきりと良いと認めるニュアンスが強く含まれています。
【例文】
- 社内基幹システムの刷新案件はとても高額なプロジェクトだが、経営会議では容認されたようだ。
- 原価高騰に伴い取引先に価格見直しを提案したが、容認できないと返答が来てしまい頭が痛い。