「容認」の意味
「容認」の意味は、「許し認めること」です。ただ認めるだけではなく、相手の考え方を理解し受け入れるという意味合いが含まれます。主に自分の考えと相手の考えが異なる場合に使われる言葉です。
「認めること」に変わりはないのですが、自分の意見より相手の意見を尊重している部分があるため、「快諾」などに比べると認める度合いが弱いです。
「容認しましょう」と言われた時は、ギリギリ認めてもらった、仕方なく認めてもらったくらいの感覚で受け取った方が良いでしょう。
「容」の字義
様々な熟語に使われる「容」の字ですが、以下のような意味があります。「容認」の場合、3の意味合いが強く反映されています。
- 入れること。盛ること(例:収容、内容など)
- かたち。すがた(例:容貌、美容など)
- 受け入れること。許すこと(例:容認、寛容など)
- ゆとりがあるさま(例:従容(しょうよう)など)
- たやすいこと(例:容易など)
「認」の字義
「認」の意味は、以下の通りです。
- 認めること。許すこと(例:認可、公認など)
- かっきり見極め、わきまえること(例:認識、確認など)
このように見ると「容」と「認」、それぞれ1文字にも「許して受け入れる(認める)」という意味があることがわかります。「容認」は、似た意味の漢字を重ねて強調する熟語と言えます。
「容認」の使い方
「容認」は認めることですから「容認できない」とすれば否定語として使えます。ビジネスシーンにおいては「容認」する・しないは良く使われる言葉です。
例文
- 小学生の娘がスマホを欲しがったので、まだ早いと思いつつも、防犯のためにと持つことを容認した。
- 電車の遅延が原因で遅刻した学生を出席扱いにするかどうか迷ったが、遅延証明書もあったので容認することにした。
- いくら課題に関する文字数制限がないとはいえ、数行で済ませて提出されたものについては容認できない。
- 友人の子供でも自分の子供に怪我を負わせたことはとても容認できない。
「容認」の類語
「許可」
「許可(きょか)」には以下のような意味があります。
- 許すこと。願いを聞き届けること
- (法律用語)一般に禁止されている行為に対して、法律の範囲内で許すこと
許可には「容認」と同じく、「(相手を)許し、受け入れる(認める)」というニュアンスがあります。「許可」という言葉は、本来、目上の者が下の者の願いを許すことに使います。
【例文】
- 放課後に運動場を使用する許可を先生に申請し、OKサインを頂いた。
- 友人のアパートの前に車を停める際には駐車許可証が必要になるらしい。
「許容」
「許容(きょよう)」には、「(一定の限度までは)許し入れること・許すこと」という意味があります。「許容範囲」という言葉で覚えている人も多いのではないでしょうか。「許される範囲」を表すこの言葉は日常的にも使用される言葉です。
「許容範囲を超える」もよく聞く表現ですが、最近では「キャパを超える」の方が好んで使われます。キャパとは「キャパシティー」のことで「取り込む能力」などを意味します。しかし、本来の「許容範囲」は「相手の行為や物事の程度をどこまで許せるかの基準」を表したものです。
【例文】
- 会議という重要な場での彼女の行動は到底許容されるものではない。
- 彼の生活態度は許容範囲を超えているため指導が必要になるだろう。
- 塩辛い物が好きな彼の塩分摂取量は、医学上の許容範囲を超えている。
「是認」
「是認(ぜにん)」は「よしと認めること」という意味です。「認める」という点では「容認」と同じですが、前提が異なります。「容認」が、自分の意見とは異なるが渋々認めるというニュアンスであるのに対し、「是認」には前提はありません。
自分の意見が同じであろうが、異なっていようが、ただ「認める」という行為を「是認」と言います。ちなみに「是認」の対義語を「否認(ひにん)」と言います。
【例文】
- 私は彼女の意見を肯定も否定もしないが、是認することに決めている。
- ゼミでの彼の熱心な姿勢を教授は是認しており、高評価は間違いないだろう。