「意表を突く」とは
「意表を突く」とは、「相手がまったく予想もしていないことをすること」または、「考えもつかないことを言って驚かせること」という意味です。「驚かす」や「びっくりさせる」という直接的なフレーズではなく、「意表を突く」という婉曲的な日本語独特の表現ですね。
「意表を突く」は、「意表」と「突く」から構成されています。それぞれの意味を見ていきましょう。
「意表」の意味
「意表」とは、「まったく予想もしなかったこと。思いも及ばなかったこと」または、「意外なこと」という意味です。「意」(自分が思っていることや考えていること)の「表」(物事の外側にあること)にあることです。つまり、「自分の思いや考え以外のこと」ということです。
「突く」の意味
「突く」には、たくさんの意味があります。主なものは次のとおりですが、「意表を突く」の「突く」は、1の意味です。
- 弱いところや予想しないところを選んで鋭く指摘したり攻めたりすること。(不意を突く)
- 鋭利なもので勢いよく刺したり当てたりすること。(槍でつく)
- 細長い棒状のものを地面について支えにすること。(杖をつく)
- 心を強く刺激すること。(胸をつく悲しみ)
「意表を突く」の使い方
[例文]
「意表を突く」が使われた記事
2020年11月17日 日本経済新聞
〃ブライトン主将ダンクが決めたリバプールの意表を突く急襲FK〃
2020年12月18日 超ワールドサッカー
「意表を突く」の類語
「不意を突く」
「不意を突く」とは、「相手が予想していないところをねらって仕掛ける」という意味です。「予想や予期しないことを行ってくる」ところは、「意表を突く」と同様であって類語と言えます。
しかし、「不意を突く」の方が明らかに相手を出し抜くような行為が強く、その点はニュアンスが異なっています。
[例文]
- 夜陰に乗じた攻撃に、相手は不意を突かれて混乱しました。
- 不意を突くようなことはせずに正々堂々と戦うつもりです。
「隙を突く」
「隙を突く」とは、「気持ちのゆるみに乗じてそこを攻め込む」という意味です。「隙」は、「物と物との間」や「人の間にできた気持ちの隔たり」または、「油断。つけ入る機会」という意味を持っています。
「油断や気のゆるみ」と「予想外」という違いがありますが、どちらも、「驚かせる」「びっくりさせる」という点で類語と言えます。
[例文]
- 泥棒が警備の隙を突いて侵入した形跡が残っています。
- 子どもたちは、母親の隙を突いて遊びに行ってしまいました。
「裏をかく」
「裏をかく」とは、「相手の予想とは逆のことを行ってだますこと」という意味です。また、「矢や槍などが鎧の裏まで突き通る」という意味も持っています。「予想外のことを行って、相手をだましたり、驚かす」ところは似通っています。
[例文]
- 相手の裏をかく作戦で強豪校に勝利することができました。
- 投手は相手の裏をかいて打者の内角に直球を投げ込みました。
「一杯食わす」
「一杯食わす」とは、「相手をうまくだます」という意味です。この言葉は、字句から推察できる通り、「おかしな物を一杯食べさせる」という意味から転じたものと言われています。
「相手をだますこと」、つまり、「相手が予想もしていないことを行う」ところが、「意表を突く」と同様であって類語に属するものと言えます。
[例文]
- 今日は悪友に一杯食わされて高い買い物をしてしまった。
- 一杯食わされたと思ったが、そのまま友だちを信じたふりをした。