「混乱」とは?
「混乱」とは、さまざまな物事が入り乱れ、秩序が消え去り、整理がつかず、訳がわからない状況になることです。もともとあった秩序が崩れて乱れる、という点に特徴があります。
「混乱」は、人の心などの精神的混乱、社会、組織、国家などの秩序的混乱、単純な事物や状況の混乱など、あらゆる事象に用いられます。その結果、きわめて多数の類語が存在します。
「混乱」の使い方
- 選挙演説の第一声を母校前で上げたA氏は、予期せぬヤジをあびて混乱した。
- 消費税の増税は経済の混乱と貧困層の窮乏をまねくのみ、という論は根強い。
- 独裁的な政権が誕生して以来、B国の内情は混乱をきわめている。
- 朝の新宿駅のホームで不審物が発見され、通勤客も電車のダイヤも混乱に陥った。
「混乱」の類語とその使い方
「混乱」の対象を、心、秩序、事物・状況の三項目にわけて、それぞれの類語と使い方を紹介いたしましょう。
心における混乱の類語と使い方
- 混迷:分別に迷うこと(文例:合コンの場で別れた彼と遭遇し、C子の心は混迷のきわみとなった)
- 当惑:途方に暮れること(文例:愛読する小説家の新作を読んだD男は、作風のあまりの変化に当惑した)
- 錯乱(さくらん):感情が混乱すること(文例:親に虐待されたすえに施設で暮らしているE美は、親の面会に錯乱した)
- 狼狽(ろうばい):慌て、うろたえること(文例:コンビニで万引きしたF男は、隠しカメラの存在を知って狼狽した)
- パニック:突発的な不安や怖れで混乱すること(文例:試験会場で筆記用具を忘れたことに気づき、私はパニックに陥った)
秩序における混乱の類語と使い方
- 無秩序:秩序がないこと(文例:アメリカのスラム街には、暴力と無秩序が蔓延している)
- 乱脈:秩序が乱れ、迷走、混乱すること(文例:G社では、創業家の社長に役員複数がクーデターをおこし、社内は乱脈の極みとなった)
- 波乱:もめごとや騒ぎが起きること(文例:良家の子女が多いH学園に、ヤンキー気質のI朗が入学し、波乱をまきおこした)
- 動乱:世の中や組織などが動揺し、乱れや騒動が起こること(文例:長期政権には、やがて必ず動乱が起こってくるものだ)
事物・状況の混乱の類語と使い方
- 散乱:散って乱れること(文例:台風が去ったあと、庭にはガーデニングの用具が散乱していた)
- 錯綜(さくそう):物事が入り交じり、混乱すること(文例:地球に小惑星が接近しているという情報が、国内で錯綜している)
- カオス:混沌とし、無秩序になった状態(文例:ハロウィーンの渋谷は、ありとあらゆる仮装をした人々でカオスの街と化してしまう)
- 混沌(こんとん):さまざまなものが入り混じり、はっきりと区別ができないさま(文例:天地は、宇宙の混沌の中から現れた、と信じる人々がいる)
「混乱」の対義語
「混乱」の対義語には、基本的に三つの言葉があります。さまざまな物事が乱れている、という意味においての対義語は「統一」です。
秩序を失っている、という意味においては「秩序」、散らばっている、という意味においては「整頓」が、それぞれに対応する対義語です。
「混乱」の英語は?
「混乱」の英語も、日本語と同様に、心の混乱、状況の混乱、事物の混乱など多義的です。代表的なものを三例挙げてみましょう。
- confusion(I had a confusion about the rule. 訳:私は、そのルールに混乱した)
- disorder (There is no social disorder in Japan as of now. 訳:今のところ、日本において社会的混乱は認められない)
- mess (what a mess! 訳:なんという混乱!)