「落胆」の意味
「落胆」(らくたん)とは、気力をなくして落ち込む様子や、そのような気持ちをいいます。「落」は、おちるや奪われるなどの字義があり、「胆」は胆嚢(たんのう)などの内臓をいいますが、この場合は気力や心の内のことです。
「落胆」はもともと、びっくりする、肝をつぶすなどの意味でしたが、現代語ではあまりこのような使い方は見られません。
「落胆」の使い方と例文
「落胆」という言葉は、自分の望みが叶わなかったり、願いや期待が実現しなかったりして、強く気落ちするさまを表す時に使います。
例えば、自分にとって良いと考えた物事とはかけ離れたことが現実となったり、見込み違いであったりして、強い失望を感じる場合などです。
「落胆」を使った例文
- かねてから希望していたポストに就けず、非常に落胆した。
- 第一志望の面接に落ちて、落胆の気持ちでいっぱいだ。
- ささやかな願いが叶わず、もうだめだと落胆した。
- 良い人が社長になったと思ったのに、凡庸(ぼんよう)な改善策しか提案できず皆を落胆させた。
- 現職の大統領が再選されると期待した支持者は、選挙結果を見て強い落胆ぶりを見せた。
「落胆」を使った表現の例
【落胆の色を隠せない】(らくたんのいろをかくせない)
この言い回しの意味は、気落ちした表情を隠しきれないさまです。「色」は「表情」のことで、心の内でがっかりしていたのが、思わず顔に出てしまった様子を表しています。
【例文】
- 彼がAさんと婚約したことで、元カノのBさんは落胆の色を隠せない様子だった。
- 教え子が選考から漏れたことで、C先生の落胆の色は隠せなかった。
【失望落胆】(しつぼうらくたん)
この四字熟語は、望みが失われて非常に気落ちしているという意味です。「失望」は自分が描いていた夢や希望を失うことです。
【例文】
- 現実に直面すると目指した職種を断念するほかなく、失望落胆している。
- 彼女は留学の夢が絶たれて、失望落胆しているそうだ。
「落胆」の類語
気落ち
「気落ち(きお-ち)」とは、望みが叶わずに力を落とす(気力がなくなる)、がっかりして張り合い(物事へのやりがいや手応え)をなくすことをいいます。
【例文】
- 娘は大学受験に失敗して気落ちしている。
- 格下だと考えていた相手に負けた強豪校の選手は、すっかり気落ちしている様子です。
挫折感を味わう
「挫折感を味わう」(ざせつかんをあじわう)とは、何らかの物事に失敗して途中でやめる羽目になったり、期待通りの結果が出なかったりして失望する気持ちを強く感じることを表す言い回しです。
「挫折感」は物事が期待通りにならずに気持ちが落ち込むこと、「味わう」は身にしみて感じることをいいます。
【例文】
- 担当していたプロジェクトが白紙撤回されて、挫折感を味わうこととなった。
- 順調に来ていたのに思わぬ壁にぶち当たり、挫折感でいっぱいだ。
凹む
俗用表現ですが、「凹む」(へこ-む)にも、何らかのことが原因で気持ちが落ち込む、気が滅入るなどの意味があります。ただし、「落胆」は望みが叶わないことが原因で使われる例が多いのに対し、「凹む」は他の原因で落ち込んだ時にも使います。
本来「凹む」は、物などの表面の一部が周囲の場所よりも低くなることを表し、そこから転じて、人の気持ちの落ち込みについても使われるようになりました。
【例文】
- 彼は先生に叱られて、すっかり凹んでいた。
- 教育熱心な彼女は、子供が思い通りに勉学に励まず凹んでいる。
絶望感
「絶望感」(ぜつぼうかん)は、持っていた望みが絶たれてしまったという気持ち、期待や希望が全く無い状態でどうにもならないやるせない感情のことをいいます。「落胆」よりも「失望」した程度が強いです。どちらかといえば「失望落胆」に近い感情を表しています。
【例文】
- 人生に対する絶望感にとらわれて、どうでもなれという心境だ。
- 手ひどい裏切りを受け、職場での人間関係の絶望感が強くなり退社を考えている。