「哀愁」とは?意味や使い方をご紹介

「哀愁」は、日常会話ではあまり登場しませんが、映画のタイトル、小説、歌詞などにおいては頻繁に使われてきた言葉です。この「哀愁」とはどのような意味だかご存じですか。この記事では、「哀愁」の意味と使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「哀愁」とは?
  2. 「哀愁」の使い方
  3. 「哀愁」の類語
  4. 映画『哀愁』

「哀愁」とは?

「哀」という漢字はかなしい、心が痛むなどの意味を、「愁」はかなしさ、わびしさ、さびしさなどの意味を表します。この2字から成る「哀愁」(あいしゅう)が、文芸、音楽で用いられるのは、人の心に響くエモーショナルな意味を持つからかもしれません。

「哀愁」の意味

「哀愁」とは、寂しくもの悲しい気持ち、もの悲しさ、を意味する言葉です。寂しい、という感情はわかりやすいですね。では、「もの悲しさ」とはどのような気持ちでしょうか。そこに、文学や歌、ドラマに「哀愁」が頻繁に登場する秘密がありそうです。

「もの悲しい」とは

「もの悲しい」とは、シンプルにいえば、「なんとなく悲しいという感情を表す言葉です。あくまで「なんとなく」ですから、死別、失恋、大きな挫折といったとても辛いできごとに際して感じる直情的な強い悲しみとは異なります。

例えば、晩秋、舞い落ちる枯葉をひとり眺めるときに心にわく、ひたひたと切ないような悲しみが「もの悲しさ」です。また、乗り越えたはずの辛い体験が、なんらかのきっかけでうっすら蘇るような切なさも「もの悲しさ」です。

「哀愁」は、そんな「もの悲しさ」と「寂しさ」が混在した感情です。その繊細さや、直情ではないからこその、多少のロマンチックさも併せ持つことが、文芸に「哀愁」が好まれる要因のひとつといえましょう。

「哀愁」の使い方

「哀愁」は、多くの場合、哀愁を感じる哀愁を漂わせる(が漂う)哀愁に浸る、哀愁に満ちる、哀愁を帯びる、などの言い回しで用いられます。

「哀愁」は、何かを見聞きしたときにその対象から受けた感じを表すときに使う言葉です。例えば、「哀愁を漂わせる街(哀愁が漂う街)」は、さびれた町並みやなどが哀愁を感じさせる傾向を持っていることを描写しています。

「哀愁」の例文

  • 逝去した母が途中まで編んでいたセーターをみつけ、なんともいえない哀愁を感じた。
  • 昔恋人と別れた公園の前を偶然通りかかり、以前と変わらぬ景色に哀愁に浸った。
  • 天涯孤独だという中村氏は、いつも哀愁に満ちている。
  • 哀愁を帯びたメロディに耳を傾けているうちに、切ない気持ちになってきた。
  • 廃校になった母校の小学校の校舎は、山奥でそのまま寂れ、哀愁を漂わせていた。

「哀愁」の類語

「哀感」

「哀感」(あいかん)は、もの悲しい感じ、哀れや悲しみを誘う感じを意味する言葉です。哀感に浸るなどの言い回しで用いられます。

【例文】

  • 中村氏は祖父が戦死したサイパンを訪れ、いまは観光地となっているその島で哀感に浸った。
  • ケージのなかからこちらを見つめる保護犬たちに哀感が湧いて、一匹を迎えることにした。

「ペーソス」

「ペーソス」は、哀愁哀感と同義です。悲哀、情念、悲痛などの意味をもつ英語pathosに由来しています。

この英語のpathosの語源はギリシャ語のpathos(パトス)です。パトスは、喜怒哀楽全般の一時的な感情、情念を表しますので、英語のpathosやカタカナ語の「ペーソス」とは異なります。

【例文】

  • 友人が出演する舞台を観に行ったが、ペーソスに満ちた内容で思わず涙した。
  • 彼が書く小説のペーソス漂う文章を、とても気に入っている。

映画『哀愁』

「哀愁」という言葉から、ずばりこの言葉をタイトルに使った映画を思い出す人もいるかもしれませんね。1940年のアメリカ映画『哀愁』(原題:Waterloo Bridge)は、第一次世界大戦中のロンドンを舞台にした作品です。

戦争に翻弄される恋人達を描いており、踊り子のマイラをビビアン・リーが、将校のロイをロバート・テイラーが演じました。


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