「不足」の意味とは?
「不足」(ふそく)は以下の2つの意味で使われます。
- 十分でなく足りない
- 不満であるさま
「不」は否定を表し、字義は「~ではない」「~しない」ということ。「足」はこの場合は、「十分である」「たりる」ということなどを表しています。
「不足」の使い方と例文
1.足りない
「不足」は完全な状態と比べて不十分であることや、必要な所に対して満たない部分がある様子を表す言葉です。「目標の金額よりも不足している」「備品が不足している」などのように使います。
また、名詞の後について「〇〇不足」と使うことも。「人手不足」「品不足」「認識不足」「力不足」などのような例もみられます。
俗用ではありますが、仲の良い友人や恋人同士の間では「〇〇(友人や恋人の名前)不足」という使い方をする場合も。「〇〇不足で寂しい」なら「〇〇と会えなくて(会う時間が足りなくて)寂しい」といった意味を表すようです。
【例文】
- 現金出納帳と実際の額を照らし合わせてみると、現金が1万円も不足していた。
- 美容カウンターで肌の水分量を計測してもらったら、潤いが不足していて肌年齢が高かった。
- 昨日は遅くまで起きていたので睡眠不足だ。
- 彼に「Aくん不足でツライ。会いたいな」とメッセージを送ったら、「こっちはBちゃん不足だよ」と返事が来た。
2.不満である
「不足」は、自分の思い通りにならずに、物事や人に対して不満の気持ちを抱くこと、とうてい納得できない気持ちを表現する際に使います。
逆に「~に不足はない」と否定の形で使う場合は、満足する気持ちを表せます。対戦などの場で「相手に不足はない」という形で見かけることもしばしば。これは「実力や格などの面で、互いに満足に戦える相手である」ということです。
【例文】
- 監督は、自分の考え通りの人選ができずに不足を言っていた。
- Cさんは何の不足があって、この職場を辞めるんだろうね?
- 「明智小五郎は好敵手だ。相手にとって不足はない。」と、怪人二十面相は考えているのではないか。
「不足」の対義語・反対の表現に近い語:1の意味
過剰
「過剰」(かじょう)は、程度および数量などが必要な分以上に多くあること、有り余っている状態をいいます。足りないところがある「不足」とは真逆の状態を指す言葉です。
【例文】
- 商品の生産過剰のため、数を調整するように頼まれた。
- Dさんは大した能力もないくせに自信過剰で扱いに困っている。
超過
「超過」(ちょうか)とは(時間や数量などについて)一定の限度を超えることです。「不足」は一定のところに満たない部分があることを表すため、反対の意味に近い表現となります。
【例文】
- レンタル品の返却が予定の時間よりも遅くなってしまったので、超過料金を取られた。
- 予期せぬ出費があり予算を超過したので、今月は資金繰りがうまくいかなかった。
なお、「超過」には他に、他のものよりも優れていること、あるものよりも先に出てくることなどの意味もあります。
余剰
「余剰」(よじょう)は、あるものから必要な部分を差し引いた時に出る残り、つまり、余りのことです。あるものから必要な部分を差し引いた時のマイナス部分を指す「不足」とは反対の意味を示します。
【例文】
- 求職者を多めに採用したら、辞退する人が思いの外少なくて余剰人員が出てしまった。
- 余剰在庫の保管費用がかかり、経費を圧迫している。
潤沢
「潤沢」(じゅんたく)は物が豊富にあることをいいます。「不足」のように物事が足りていない状態とは真逆の状態ですね。「潤沢」には、他に、潤いのあるさまやつややかな様子という意味もあります。
【例文】
- 国内に潤沢な水資源があるからといって、無駄遣いはよくないよ。
- うちには資金が潤沢にあるから、FA宣言した優秀な選手を集めて最強の野球チームを作れる。
「不足」の対義語・反対の表現に近い語:2の意味
満足
「満足」(まんぞく)は、物事の条件や規定が満たされて足りない所がないこと、望みが叶っている状態で何の不平を言う必要もない状態のことをいいます。
【例文】
- 社長は自社の現状に満足している。
- うちの子はご褒美に美味しいケーキを食べて、満足げな顔をしている。
充足感
「充足」は、ものを十分に補って満たされた状態になることです。したがって、「充足感」(じゅうそくかん)とは、自分の思い通りになり十分に満ち足りた気持ちになる様子を表します。
「不足」のように不満を言うような状況とは真逆の様相です。
【例文】
- 表彰されたEくんは充足感に満ちた表情で、辺りを見回した。
- 自分の意見が通って、充足感を得たような気持ちになった。
申し分ない
「申し分」は「言い分」の謙譲語に当たります。言いたい事、または不満に思っていること、文句、苦情という意味です。
「申し分ない」(もうしぶんない)は、「申し分」に打ち消しの助動詞「ない」が付いた形で、非難するところがない、不満を感じるところがない、完璧だという褒め言葉のように使われます。
【例文】
- Fさんの論文は申し分なく、非常に素晴らしい内容だ。
- コンクールの上位に選ばれた菓子は、どれも申し分ない素晴らしい出来だ。