「潤沢」の概要
「潤沢」の意味
「潤沢」は、資金や資源が豊富にあることを表した名詞です。その豊富さは、思う存分に使ってもまだ余りあるほどある、というイメージで差し支えありません。
あまり一般的ではありませんが、他にもつややうるおいという意味で用いられることもあります。また、「潤沢」は「だ」を付け加えることで形容動詞としても用いることが可能です。
「潤」の字義
「潤沢」を構成する漢字のひとつである「潤」には、うるおいや色つやなどさまざな意味があります。その中でも、今回の熟語で用いられているのは「豊かである」「ゆとりがある」という意味です。
本来は部首に「さんずい」が用いられていることからも分かるように、水分が十分にいきわたっている様子を表す言葉でした。それが転じて、資金や資源などに不自由していない様子を表すようになったとされます。
「沢」の字義
「潤沢」を構成するもうひとつの漢字である「沢」もまた、さまざまな意味を持つ多義語です。その中には「潤」と同様に「うるおい」や「めぐみ」といった意味があります。
「潤沢」のほかには、「沢山」で用いられている「沢」についても同様の意味です。つまり、物資にめぐまれていて数量が多いことを表していると考えることができますね。
「潤沢」を用いた例文
- 潤沢といえば、我が国の近海には大量のメタンハイドレートが埋蔵されているという。
- ライバルのA社は、その潤沢な資金を背景に地方都市にも次々と支店を出している。
- そのハーフの少女は潤沢な青い瞳が非常に印象的で、今でも姿を鮮明に記憶している。
使い方のポイント
「潤沢」を含む文の大意をつかみたいときは、別の平易な言い回しに置き換えてみるのがおすすめです。まずは、「豊富」という言葉と置き換えてみましょう。
すると、はじめの例文と二つめの例文は問題なく意味を取れるはずです。三つめの例文は、「豊富」では意味が通じないので、「うるおった」のようなもうひとつの言葉を試してみるとよいでしょう。
「潤沢」の類語・関連語
「潤沢」と似た意味を持つことば
- 豊富(ほうふ)
- 豊潤(ほうじゅん)
- 巨万(きょまん)
- 万斛(ばんこく)
- 有り余る(ありあまる)
- ふんだん
これらの表現はいずれも数量が多いことを表す言葉ですが、それぞれが持つニュアンスはさまざまです。「豊富」は豊かであることを表し、「豊潤」はさらに「うるおい」の意味が加わります。
「巨万」は非常に多いことを表しますが、「万斛」の場合はそこに「数えきれないほどの」という意味合いも加えなければなりません。また、「有り余る」や「ふんだん」からは、十分すぎたり不自由がなかったりする様子がうかがえます。
「潤沢」と「豊富」の違いについて
「潤沢」も「豊富」も、物資が大量にあることを表せるという点では共通しています。しかしながら、いくつか明らかに異なる点があるのも事実です。
まず、「豊富」は物資だけでなく人材に対しても使えますが、「潤沢」はそうもいきません。また、「豊富」は分量のみならず種類が多い場合にも使えるのが特徴です。
【例】
- 豊富な人材(〇)
- 潤沢な人材(×)
- 種類が豊富だ(〇)
- 種類が潤沢だ(×)
「潤沢」の反対語
- 些少(さしょう)
- 僅少(きんしょう)
- 希少(きしょう)
- 雀の涙(すずめのなみだ)
- 微々たる(びびたる)
- なけなし
いずれも分量がごく少ないことを表すことばですが、微妙な意味の違いもあります。たとえば、「希少」には少ないからこそ貴重であると含まれるといった具合です。
また、「雀の涙」はたとえであり、それくらいわずかしかないことを表現しています。
「潤沢」を英語で表すと?
「潤沢」を表す英単語にはいくつかありますが、その中でも代表的なのが"ample"と"abundant"です。前者は容量に対して十二分にあることを示し、後者はかなりの分量が存在していることを示します。
「潤沢」を含む英文の例
- They have ample funds to acquire the company.(彼らには、その会社を買収するための潤沢な資金がある。)
- You should invest your abundant capital in system development.(あなたがたは、システム開発に潤沢な資本を投下すべきだ。)