「節穴」の意味とは?
「節穴」(ふしあな)は、以下の2つの意味があります。
- (木の板などにある)節が取れた後に空いた穴
- (人の目を1の意味に例えて)物事の本質を見抜くことができない
「節」はこの場合、木の幹から枝が出ていた所のことです。幹を板状に加工する時、枝があった場所には痕跡が残ります。この跡が隙間や穴となったのが「節穴」です。
2の意味では、「ただ空いている節穴」を「ただ単に見開いているだけの目」に例えて、見ているのに気付かない、洞察力がないことを表しています。
「節穴」の使い方
1.板にできた穴
1の意味での「節穴」は、木製の板に自然と空いた穴に対して用います。工作やDIYなどで木材を使う人は、穴が空いた板を見たことがあるでしょう。その穴は枝の痕跡である可能性があります。
また、伝統的な日本家屋では木製の雨戸を使用していることも。夜が明けると細かい節穴から光が差し込んできて朝だと気づくこともありました。現在は、金属製の雨戸やシャッターを使う家が多く、このような経験がある人は少なくなっているかもしれませんね。
【例文】
- この板は節穴がたくさんあるので、ヤギの小屋を作るには向かないかもしれない。
- 鬼ごっこで隠れた物置の壁の節穴から、鬼が来ていないかのぞいて確認した。
2.物事の本質を見抜くことができない
2の意味では、「その人の目が十分な機能を果たさず、見る(もしくは理解する)能力がない」ことを1の「節穴」に例えています。これは、嘲りの表現、あるいは、自虐の表現です。
【例文:嘲って言う場合】
- Aくん、きみの目は節穴か?チェックの見落しが多すぎるぞ。
- Bさんはまた口の上手い男性に騙されたみたい。彼女の男を見る目は節穴ね。
【例文:自虐的に言う場合】
- 彼に会社の金を持ち逃げされるなんて…。そんな人を今まで信頼していた私の目は節穴だった。
- あんな会社に投資したとは、自分の目が節穴だったと悔やんでも悔やみきれない。
「節穴」の関連語
ここでは、上記の「2.物事の本質を見抜くことができない」という意味で使う「節穴」の関連語を紹介します。
類語:「見当違い」
「見当違い」(けんとうちがい)には、「方向を見誤る」や「物事の推測や良し悪しの判断を誤る」という意味があります。後者は、「節穴」の意味に近いですね。
この場合の「見当」は、はっきりとしない物事についておおよそのことを予測すること。「違い」はまちがうことです。
【例文】
- 私を犯人だと疑うとは、見当違いも甚だしい。
- しっかり調査していれば、見当違いな対応で時間を無駄にすることもなかっただろう。
反対の意味に近い語:「慧眼/炯眼」
「慧眼/炯眼」は、どちらもはっきりと物事の本質を鋭く見極める力があるという意味があり、「節穴」とは反対の性質を表しています。ただし、この2つの言葉は意味が同じでも成り立ちが違います。
「慧眼」(けいがん・えげん)は、もともと、仏教用語の五眼(ごげん)の1つ。仏道の二乗(にじょう)の修行者である菩薩や仏が持つ真理を悟る能力という意味です。他方、「炯眼」(けいがん)は、きらきらと鋭く光る目つきや眼力を表していました。
そして、それぞれの言葉が、物事の本質を見極める力や鋭い洞察力があることという意味に転じたのです。
【例文】
- 彼は慧眼の持ち主だ。目をかけた人物は皆、大成しているよ。
- あの評論家は、言い方はきついが、炯眼で理にかなったことを言っている。