「しゃっこい」とは
かき氷を食べたとき、あま~い、おいし~い、頭がキーンとする(アイスクリーム頭痛)、つめた~い、などさまざまな感想が出てくるでしょう。
かき氷のような冷たいものを食べり、氷や雪などを触ったりした時に感じる「冷たい」という感触、これが「しゃっこい」です。
「しゃっこい」は方言で、主に北海道や東北地方で使われています。中には、「しゃっこい」を「ひゃっこい」とか「ひやい」と発音する人もいるようです。
「冷たい」とは
「冷たい」という感触は誰もが体験して知っているものですが、意味は二つあります。一つは、「物の温度が低くて、ひんやりと感じること」、もう一つは「人情が薄く、愛情や思いやりがないこと。冷淡なこと」です。「しゃっこい」は前者の意味を表します。
「しゃっこい」の使い方
「しゃっこい」は、肌や舌が温度が低い物に触れたときに発する言葉です。
【例文】
- 仕事の後の冷たい生ビールは最高!そういえば、北海道出身の課長は、この間、ビヤガーデンで、キンキンに冷えたしゃっこいビールはうまいって言ってたなあ。
- 木枯らしがしゃっこくて、耳がちぎれそうだ。
- 春になって流れてくる雪解け水がしゃっこい。
- 猫が板の間でからだを伸ばして昼寝をしている。真似して床に顔をつけてみたら、しゃっこくて気持ちよかった。
「しゃっこいまつり」
北海道の羊蹄山(ようていざん:蝦夷(えぞ)富士)の麓にある京極町には、1985年に国の名水百選に選定された「ふきだし公園」があります。
ここでは毎夏、「名水の里きょうごくしゃっこいまつり」が開催されています。名水で作ったかき氷早食い競争、名水流しソーメン、名水野点(のだて)、氷の宝探しなどの「しゃっこい体験」が楽しめる、毎年大勢の人で賑わうイベントです。
「冷たい」を意味する別の方言
「冷たい」を意味する方言を以下にいくつかご紹介しましょう。ただ、これらの地域以外にも例示した言葉使われている場所もあります。
- ひじゅるさん:沖縄地方。「みじ(水)ぬ、ひじゅるさんよー(水が冷たいよ)」
- ちゅんてえ:宮崎。「川の水がちゅんてえね(冷たいね)」
- ひやこい:和歌山、奈良、徳島、大阪など。「手がひやこい」
- ひゃっこい:大阪、徳島、静岡など。(「ひやこい」が転じたもの)
- はっけ:岩手、新潟など。「はっけ手だな(冷たい手だな)」
- ちぶたい・ちびたい・ちぶてえ:石川、富山など。「ようひえてちぶたいわ(よく冷えいて、冷たいね)」
「しゃっこい」と「しばれる」の違い
「しゃっこい」と同じく、北海道や東北地方でよく使われる方言に「しばれる」があります。「しばれる」は厳しく冷え込む、凍るという意味です。漢字で書くと「凍れる」となります。
「しゃっこい」は、物質の温度が低いことを指すので、水などに触れたときの冷たさを表現します。一方、「しばれる」は、「今朝はしばれる」のように気温がとても低いことや、「バケツの水がしばれた」のように凍りつくことを指す言葉です。
「しばれる」が表す寒さは、「寒い」よりも「痛い」という感覚に近いと言われています。あまりの寒さに燃料用の柴が割れることから「しばれる」という言葉が生まれたという説があるくらいですから、「しばれる」が表す「寒さ」が想像できますね。