「したっけ」とは?
「したっけ」は、北海道の方言です。北海道民にとっては非常に馴染み深い言葉のひとつであり、観光客なども耳にする機会があるのではないでしょうか。発音のアクセントは「た」にあります。
「したっけ」は、二つの意味をもちます。一つは、別れ際の挨拶です。じゃあね、またね、バイバイ、さようなら、という、軽い感じで若者がよく使う言葉です。この場合「したっけね」と「ね」をつけて使うことも多いです。
もうひとつは接続詞で、そうしたら、そうすると、などの意味で使われます。茨城県、山形県でも、接続詞としての「したっけ」は使われているようです。
「したっけ」の使い方
「したっけ」は、気の置けない人間関係のなかで気軽に使われる言葉です。もともとが方言ですから、あらたまったビジネスの場などで用いられることはまずありません。下記の例文の太字も北海道の方言です。(括弧内の太字は標準語訳)
【例文】
- 明日はしばれるっしょ、時間に遅れるんでないよ。したっけね。(明日はすごく冷え込むらしいね、時間に遅れるんじゃないよ、じゃあね。)
- ちゃんと集積場にゴミは投げたのさ。したっけ、カラスにつつかれて、もうわやさ。(ちゃんと集積場にゴミは捨てたんだよ。そうしたら、カラスにつつかれて、もうぐちゃぐちゃだよ)
- 昨日のスキーのコース、上級用だったもねー。したっけ、今日なら身体じゅう痛-くて痛くて。(昨日のスキーのコース、上級湯だったんだ。そうしたら、今日は身体じゅう痛くて痛くてさ)
参考までに、語尾に「さ」をつけること、語尾の「ね」にアクセントを置いて伸ばすことや、痛ーくて痛くて、寒ーくて寒くて、のように言葉を2つ重ね、最初のほうを伸ばすことなども北海道弁の特徴です。
「したっけ」は道民に人気
「したっけ」は、その発語の切れのよさからか、商品や店名などのネーミングに使われることがあります。それだけ、道民に親しまれている人気ある方言のひとつと言えるでしょう。
販売は終了していますが、かつては大手食品メーカーが、北海道限定で提供するインスタント袋麺の名に「したっけ」を冠し、評判を呼びました。ユーモラスなシロクマが愉快な歌をうたうCMで、「したっけ」はさらに人気の方言になったとも言えましょう。
2017年には、札幌のメインストリート沿いにSitatte sapporo(シタッテ サッポロ)という総合商業施設がオープンしました。「座る」sitに「会って」のatteを掛けつつ、「したっけ」の響きも生かしたネーミング。「したっけ」が愛されているゆえの名称です。
「したっけ」の類似方言
北海道の方言には、「したっけ」と似通った表現が多数あります。「したっけ」の語尾が変化しただけで意味が同じものもありますが、語感は似ていても意味が微妙に違うものもあります。
「したっけ」と同じ意味のもの、似てはいても意味が異なるものにわけて、それぞれを文例も添えて後述します。
「したっけさ」「したら」
接続詞としての「したっけ」(そうしたら、そうすると)と同じ意味をもつのが「したっけさ」と「したら」です。特に「したら」は、登場頻度が高く、「したらね」のかたちでも多用されます。
ともに、(そうしたらさ)(そしたらね)(それなら)という軽いニュアンスがあります。上記同様に、例文の太字北海道の方言、括弧内の太字は標準語訳です。
【例文】
- スマホ忘れて家に取りに戻ったんだわ。したっけさ、充電切れでなんも役にたたずさ。(スマホを忘れて家に取りに戻ったんだ。そうしたらさあ、充電切れてまったく役にたたずでね)
- したら、スマホなしでデートしたんかい、なーにはんかくさいことやってんのさ。(それなら、スマホなしでデートしたのか。なんてあほらしいことやってんだよ)
「したから」「したって」
「したから」は、(だから)という意味で使われる方言です。「したら」と紛らわしいですが、意味は異なります。
「したって」は、(そんなこと言ったって、だって)という意味で使われます。
【例文】
- したから言ったっしょ、こんな時間に行ってもなんも残ってないってさ。(だから言ったじゃないか、こんな時間に行ってもなにも残ってないぞ、って)
- 食べすぎってかい?したって、なまらうまいんだもん。(食べすぎだって?そんなこと言ったって、ものすごくうまいんだもん)