「おこしやす」とは?意味や使い方をご紹介

「おこしやす」と聞いて、京都を旅行したときのことを思い出す人がいるのではないでしょうか。コミック好きの人なら京都を舞台にした4コマ漫画やコミックの題名が浮かぶかもしれませんね。この記事では「おこしやす」について、意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「おこしやす」とは
  2. 「おこしやす」と「おいでやす」の使い方
  3. 「おこしやす」を冠したコミックなど
  4. 京ことばの挨拶

「おこしやす」とは

京都を訪れて、古い店などに入ると「おいでやす(=いらっしゃいませ)」と店の人から声をかけられます。一方、事前に予約した料亭や旅館に到着すると、「おこしやす」とか「ようおこしやす」と言って迎えられます。

「おいでやす」も「おこしやす」も、「いらっしゃいませ」という意味の京ことばですが、「おこしやす」は、「わざわざ(遠いところを)来ていただいて、ありがとうございます」と、相手に対して丁寧に迎える気持ちを含んでいます。

「おこしやす」は、京ことばですが、関西地方で広く使われている言葉でもあることから、京都だけでなく関西方面へ旅行や出張で出かけられた際に耳にする機会がよくあります。

京ことばの敬意の表現

「おこしやす」のように、「お○○やす」は、京ことばでもっとも敬意を表す表現と言われています。「○○」に動詞を入れて、お食べやす(お食べください)、お書きやす(ご記入ください)、おしやす(~なさってください)などのように使います。

「おこしやす」と「おいでやす」の違い

「おこしやす」と「おいでやす」を漢字で書くと、「お越しやす」「お出でやす」となります。「出」には、出向く、現れるという意味がありますが、「越」には、乗り越えるという意味があり、ただ「出かける」よりもハードルが高いというニュアンスがあります。

京都は、古くからの政治・文化の中心地であり、人や物が全国から集まる地でした。今のように交通機関が発達していない時代から、遠くはるばると京都へやってきたということに対して、「お出でやす」ではなく「お越しやす」という言葉が生まれたと考えられています。

そういった背景があるため、予約して店(料亭や旅館など)を訪れた時には「おこしやす」と迎えられるわけです。ただし、初めて訪れた時には「おいでやす」と言っている店でも、度々訪れてお馴染みの客として認知された場合には「おこしやす」が使われることもあります。

「おこしやす」と「おいでやす」の使い方

  • (初めての客)…おいでやす。何かご入用(いりよう)ですか。
  • (常連客)…おこしやす。ちょうどよろしおしたわ。昨日、お好みの柄のええ帯が入りましたんや。
  • (土産物屋をフラッと覗いたとき)…おいでやす。お土産やったら、うちにしかおいてへんええもんがありますえ。
  • (予約客の到着)…おこしやす。お待ちしておりました。すぐお部屋へご案内いたします。

おおむねこのような使い分けがされますが、現在は、世代交代が進み、京ことばを使う人たちも少なくなっています。

「おこしやす」を冠したコミックなど

4コマ漫画「おこしやす」

『おこしやす』は、京都府出身・在住の漫画家・久保田順子(くぼたじゅんこ)氏の4コマ漫画です。2004年から5年間コミック雑誌に連載され、単行本も発行されています。

京都独特のさまざまな文化が、大学生を中心とした登場人物たちによって、日常コメディタッチで紹介されています。久保田順子氏は、『おこしやす』だけでなく、京都物を中心に執筆活動を続けています。

コミック「おこしやす、ちとせちゃん」

『おこしやす、ちとせちゃん』は、京都生まれ京都市在住の漫画家・夏目靫子(なつめゆきこ)氏のコミック作品で、2016年からコミック誌に連載中です。

京都に住んでいるコウテイペンギン(ひな鳥)の「ちとせちゃん」が、京都の町中で友人の中学生と小学生の姉弟や他のコウテイペンギンたちと交流する様子を描いています。

単行本も発売され、2018年から2019年にかけて半年間、京都のテレビ局でショートアニメも放映されていました。

おこしやす京都AC

「おこしやす京都AC」は、京都市に本拠地を置く社会人サッカークラブチームです。Jリーグ加盟を目指して活動し、2019年には関西リーグで3度目の優勝、また、第55回全国社会人サッカー選手権大会で準優勝するなどしています。

京ことばの挨拶

ここでは、挨拶に使われている京ことばをご紹介します。それほど難しいものはなく、京都にゆかりがなくても耳にすればなんとなくわかる言葉もあるのではないでしょうか。

  • おはようさん:おはようございます。
  • おおきに:ありがとう。
  • ごめんやす:おじゃまします。
  • さいなら。ほなさいなら:さようなら。
  • すんまへん。堪忍(かんにん)しとくれやすな:すみません。ごめんなさい。
  • さよですか:そうですか。
  • おきばり。おきばりやす:頑張ってください。
  • きぃつけよしや。きぃつけてなぁ:気をつけてください。

これらの言葉の中にも、京都だけでなく、関西の広い地域で使われている言葉があります。

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