「失礼」の意味とは?
「失礼」(しつれい)の意味は以下の通りです。
- 礼儀に反すること。礼儀を欠くさま。
- 人と居る場所を立ち去ることの丁寧表現。別れの時の挨拶。
- (相手へ話しかける際に)軽い謝罪や許しを願う時などの言葉。
「失礼」の使い方と例文
1.礼儀に反する・礼儀を欠く
人の振る舞いや言動が礼儀を欠いた状態・マナーをわきまえていない様子を表すときに使うのが、1の意味の「失礼」です。
【例文】
- あの人、大勢の前で女性の年齢を聞くなんて失礼だよね。
- 来賓を30分もお待たせするなんて、失礼な主催者ね。
- お宅の担当者は非常に失礼だ。客に対する口の聞き方がなっていない。
- 先般は酒席で失礼な物言いをいたしまして、申し訳ございませんでした。
また、誘いを断ったり会合を欠席したりする場合にも1の「失礼」が用いられます。
【例文】
- 残念ながら予定が入っておりまして…。せっかくのお誘いですが今回は失礼いたします。
- 実は、親知らずが痛みだしましてね。突然で申し訳ありませんが、本日の勉強会は失礼させていただきます。皆様によろしくお伝えください。
2.立ち去ること・別れる時の挨拶
手紙の文末に書いたり、目上や職場の人への別れの挨拶として「さようなら」の代わりに使うのが2の意味の「失礼」です。
【例文】
- おっと、もうこんな時間だ。そろそろ失礼しようかな。
- (手紙で)これにて失礼しますね。また近いうちに会いましょう。
- (帰り際相手に挨拶)「今日はありがとうございました。それでは失礼いたします。」
- (職場で挨拶)「お先に失礼します!」「お疲れさまです」
上記のようにその場を立ち去って戻ってこない場合だけでなく、会議や飲み会などを中座する際の挨拶として、2の「失礼」を使うこともあります。
【例文】
- 失礼して資料を確認して参ります。少々お待ちいただけますか。
- 先方に電話しますので、少し失礼してもよろしいでしょうか。
3.謝罪・許しを願う時の言葉
相手にぶつかる、部屋に入る、相手の作業を中断させるといった場合、「ごめんなさい」に近い気軽な感じで使うのが、3の意味の「失礼」です。付き合いが浅い人に「不躾に話しかけてすまないのですが」と言った意味で、「失礼ですが」と会話を切り出すこともあります。
【例文】
- 失礼、荷物が当たってしまった。お怪我はございませんか?
- (電話で)お忙しいところを失礼いたしました。また改めてご連絡いたします。
- (入室する際にノックをして)「失礼いたします。」「どうぞ、お入りください。」
- 失礼ですが、Bさんでいらっしゃいますか。業務を引き継ぎました担当のCでございます。
- お嬢さん、お話中に失礼します。こちらのイヤリングを落としていませんか?
「失礼」の類語
無作法
「無作法」(ぶさほう)とは、礼儀作法が身についていないことです。「作法」とは、マナーなどの人が守るべき規範、しきたりで、「無」で存在していないことをいいます。相手に謝罪や許しを得る際に自分に対して「無作法」を使うのは、へりくだりの表現です。
「無作法」は「失礼」に近い言葉ですが、その場を立ち去ることという意味はありません。
【例文】
- 〇〇くん、返事くらいできないのか。君は無作法な人間だな。
- 突然メールを差し上げる無作法をお許しください。
不躾/不仕付け
「不躾/不仕付け」(ぶしつけ)とは、礼儀を欠くことです。「躾/仕付け」は動詞「しつける」の連用形で、礼儀作法が身につくように教え込むことを、「不」は打ち消しを表す語で、こちらでは全く身についていない様子をいいます。
「不躾/不仕付けではありますが」などの言い回しは、相手に非礼を承知で依頼をしたい・立ち入ったことを質問して申し訳ないという意味合いのクッション言葉(言葉を和らげるために添える一言)です。
「不躾/不仕付け」も「失礼」に似ていますが、その場を立ち去ることという意味はありません。
【例文】
- どういう育ち方をしているのだろう。今どきの子は不躾な者が多いな。
- 不躾ですが、これからそちらにうかがってもよろしいでしょうか。
- 不仕付けではございますが、家族構成について詳しくお聞かせ願えますか。
「失敬」と「失礼」
「失敬」の意味
「失敬」の意味は以下の通りです。
- 敬意を欠いていること。礼儀を失していること。
- 別れること。先に席を立って別れの言葉を告げること。
- (主に男性が親しい相手に使う)謝罪や暇乞いをする時などに気軽にかける挨拶。
- (俗用表現)勝手に相手の物を持ってきてしまうこと。
【例文】
- 目上の人間を軽んじるなんて、失敬な奴だな。
- 家人が心配するので、そろそろ失敬するつもりだ。
- ああ、失敬!水をこぼしてしまった。
- じゃ、諸君そろそろ失敬するよ。また会おう!
- 借りたペンを返しそびれて失敬してしまった。
「失礼」と「失敬」の違い
「失敬」は「失礼」とよく似ています。「失礼」と異なる点は、挨拶などの声がけなどで使われる場合は男性が使う例が多いということ、また、相手の物を勝手に持ってくるという意味を持つ点です。
ただし、相手の物をちょっと借りるとき、「ボールペンを失礼しても良いかな?」と許しを請うケースはあるかもしれません。