「驚き」とは?
「驚き」(おどろき)は、誰しもが共有する心の動きですが、端的に言うと、驚くこと、また、驚くべき事柄や事件、予想しない事柄や状況の突然の出現にともなう、強い一時的な情緒などという意味です。
「驚き」には、本能的なもの以外に、さまざまな種類がありますので、区別してそれぞれの意味を後述します。
本能的な驚き
小動物であっても、天敵と出くわしたりする時のビクッとする身体の動きなどは、「驚き」によります。人間の新生児でも、突然の音などに身を震わせて「驚き」、泣いたりしますね。このような、突発的な強い刺激、出来事による「驚き」は、本能的なものです。
これは、あらゆる動物に共有される驚愕反応(驚き反応)です。原始的、本能的な「驚き」であり、無意識に身を守るような姿勢や行動が伴います。人間であれば、例えば突然頭上で雷がとどろき光った場合、多くの人が目を閉じたり、かがみこむような姿勢をとります。
また、驚いた時には、目を見開いたり、からだをのけ反るような身体反応もあり、その反応には経験や個性、習慣などによる差もあるとは言え、誰しもが経験する本能的で単純な「驚き」です。
偶然や発見による驚き
偶然による「驚き」は、人間特有のものです。突然の物理的刺激などによる本能的驚きとは異なり、なんらかの偶然に気づいたり、新たななにかを発見することで引き起こされる「驚き」です。
例えば、思いもしない場所で昔の知人にばったり出会ったりすると、ハッと「驚き」ますね。また、失くしてしまったと長年諦めていた大切な指輪を古いバッグの底に発見した瞬間も、まずは「驚き」があります。
これらも、言葉では説明しがたい心的反応である「驚き」の情動です。「えっ?」「あっ!」「あれっ!」「まあ!」「うわあ!」などとしか表現できませんね。驚きには緊張、興奮、怖れなどが代表的な情動として伴うという実験結果もあるそうです。
知的な驚き
知的な驚きは、さまざまな体験や知識などを背景として、何かを発見したり、ある状況を確認した際の、(このような背景において~であることは、驚きだ)などの情動です。ある理解や知識からは想定外であるなにかによってもたらされる「驚き」と言えます。
突然の物理的刺激による驚きや、偶然の出会いなどでもたらされる驚きとは異なり、時間をかけて検証し、その結果に対して驚くという類の知的感情をともなう「驚き」とも言えましょう。
例えば、ある小説家の作品をたくさん読み、ストーリーの粗さなどいくつかの稚拙さを感じていたとします。その作家の小説が大きな賞を受賞したとすると、(なぜあの作品で受賞できるのだろう?)というような感じの「驚き」です。
「驚き」の使い方
「驚き」は、動詞「驚く」の連用形「驚き」であり、またそれが名詞化した言葉ですから、~に驚き、~は驚きだのように使います。
【例文】
- 猫が驚きを感じたときのジャンプ力には、こっちが驚かされる。
- 20年ぶりに故郷を訪れた時に幼馴染とばったり道で出会った驚きを今でも思い出す。
- 地球が時速1700㎞で回転しているという事実には、驚きだ。
「驚き」の定型的言い回し
驚き桃の木山椒の木(おどろきもものきさんしょのき):「驚き」の「き」に「木」をかけた語呂合わせ。これは驚きだ、たいそうたまげたという意味で使います。
驚きを禁じ得ない:「驚きの感情を抑えることができない」という意味で用います。非常に驚くべきことだ、驚嘆に値するということを、強調して言うときに使います。
「驚き」の類語
「驚愕」
「驚愕(きょうがく)」は、突然の出来事などに接して、非常に驚くこと。「驚き」にくらべると、そのレベルがきわめて大きな時に用います。
【例文】
役員のクーデターで社長が突然解任されたと知り、社員一同驚愕した。
「吃驚」
「吃驚(びっくり)」は、突然のことや意外なことに驚くさま。「驚き」とほぼ同じレベルで用いられる言葉ですが、ニュアンスとしては軽い感じの「驚き」として使われる口語的な言葉です。
【例文】
由美ちゃんが20才で結婚するとは、吃驚だよ。
「仰天」
「仰天(ぎょうてん)」は、予想外のことに、ひどくびっくりすること。非常に驚くことです。「仰天」は、天を仰ぐほどに驚くという意を表す言葉です。「びっくり仰天」などの定型的言い回しもあります。
【例文】
腕白坊主だった健太君が東大に合格したと聞いて仰天したよ。