「吃驚」の意味
「吃驚」(びっくり・きっきょう)の意味は以下の2つです。「喫驚」とも表記します。
- おどろくこと、またはおどろく様子
- おどろかされてほんの少しだけ体が動くこと
「吃」は「~を受ける、こうむる」や「言葉を出せずに喉につかえる」などの意味があります。”驚きをこうむる”と解釈すると、目の前で起こったことに驚かされる様子を表します。
また「吃る(どもる)」とも読むことから、「吃驚」であまりにも驚き、声も出ない状態になっている状態を表すこともできます。どちらの解釈であっても、ひどく驚いていることには変わりないでしょう。
「吃驚」を「びっくり」と読むのはなぜ?
「吃驚」の「きっきょう」という読みは、漢字の音読みを当てはめていますが、一般的には「びっくり」と読む傾向にあります。しかしながら、なぜ「びっくり」と読むのか不思議に思うかもしれません。
由来ははっきりとせず、俗説に「急に驚かされた人の様子から来ている」と言われています。いきなり驚かされた時、無意識に体が動くことがありますね。
その動きを「びく」と表現したことから「びっくり」に変化して読まれるようになったそうです。2の意味の「体が少しだけ動く」にも関連しています。
「びく」という言葉は「びくともしない」(意味:少しも動かない)、「びくびくする」(意味:恐れなどで体が小刻みに震える様子)でも使われています。
「吃驚」の使い方
現代語において「吃驚」は、ほとんどの場合1の「おどろく」の意味で使われています。2の「少しだけ体が動く」という使い方は古文に見られますが、現代ではあまり使われないため割愛します。
おどろく
「吃驚」は、予期せぬ出来事が起こった時や、不意打ちされて驚いた時に使います。例えば、人混みの中で突然肩を叩かれたり、急に「わっ!」と大声をかけられたりした時に、驚いて言葉を発せられないような状態のことをいいます。
【例文】
- 前の車が覆面パトカーで、突然サイレンを鳴らし始めて吃驚した。
- 意外な所で元カレに出くわし、吃驚して声をかけることもできなかった。
「吃驚」の類語
吃驚仰天
「吃驚仰天」(びっくりぎょうてん・きっきょうぎょうてん)は、非常に驚くことです。「仰天」も「吃驚」と同様に驚くことを意味し、突然のことで驚いた時に天を仰いで呆然とする動作から来ています。
似た意味の熟語が重なることで意味が強められ、「吃驚」よりも驚きの度合いが大きいことがうかがえますね。
【例文】
- 餃子を1人で50人前食べるなんて、吃驚仰天だよ!
- くじでハワイ旅行が当たって吃驚仰天、ほっぺたをつねってみた。
意表を突く
「意表を突く」(いひょうをつく)とは、思いがけないことをして(相手や他人を)驚かせることです。「意表」は相手や他人が予想し得ないこと、「突く」は相手に対して鋭く攻めるといったニュアンスです。「(相手を)吃驚させる」に近い意味合いですね。
【例文】
- 敵チームの意表を突く作戦に出た。
- 多くの参加者にとって、意表を突く結果となった。
腰を抜かす
「腰を抜かす」(こしをぬかす)は、目の前の物事に驚く様子を表した慣用句です。あまりにも驚いたために、腰の力が抜けて立ち上がれなくなっている様子から生まれた表現です。
【例文】
- 外の大きな物音に驚いて腰を抜かした。
- 街中で突然始まったフラッシュモブに、腰を抜かすほど驚いた。
驚愕
「驚愕」(きょうがく)は、非常に驚くことを意味します。「愕」は驚き慌てることを指し、同じような意味を重ねることで、驚きの度合いが高められています。「驚愕の事実」などといったフレーズで使われることも多いでしょう。
他にハイドンの名曲「交響曲第94番ト長調」の愛称で、「驚愕」(原題:"The surprise")と呼ばれるものがあります。CMにも用いられたことがあるので、聞き覚えのある方もいるかもしれません。
この題名の元となる第2楽章は、穏やかなメロディーの中に突然大きな音が響く構成で、聴衆を驚かせたことに由来しています。ティンパニを入れて吃驚するような音量にしたのは、演奏中に居眠りをする客をたたき起こすためだそうです。
【例文】
- 世間を驚愕させた恐ろしい事件が解決した。
- 「驚愕」を聞いて、弦楽器の柔らかい音色の後に突然ティンパニが鳴り出したら、聴衆達はさぞかし驚愕するだろうと感じた。