「集める」とは
「集める(あつめる)」は、日常的によく使われる言葉で、次の二つの意味があります。
- 人や物を一か所にまとめること。
- 興味や関心などを引き付けること。
「集」は、「たくさんの鳥」を表す「雥(そう)」の略字「隹」と「木」からなる会意文字です。たくさんの鳥が木の上に止まっている様子を表しており、そこから、あつめる、あつまる、つどうといった意味が生じました。
「集める」の使い方
「集める」は、上記のように二つの意味がありますので、それぞれの意味に分けて使い方をご紹介します。
1.人や物を一か所にまとめること
何かの目的のために、点在している人や物を一箇所に寄せてくる場合に使うのが、1の意味の「集める」です。
【例文】
- 来月の歴史ウォークの参加者を集めるための告知をホームページにアップした。
- 作家のA氏のこれまでの作品を集めて、全集を刊行しようと企画している。
2.興味や関心などを引き付けること
多くの人が興味や関心を寄せている人や物事には、2の意味での「集める」が用いられます。
【例文】
- 最年少で二つのタイトルを取った若手棋士が人気を集めている。
- 彼は、授業は全神経を集めて先生の話を聞いているから、話しかけても気が付かない。
「集める」の類語
「募る」(募集する)
「募る(つのる)」とは、①一層激しくなること、②広く呼びかけて集めるという意味があります。「集める」に近いのは②ですね。また、「募る」+「集める」で構成された「募集」(世間に広く呼びかけて人や物を集めること)もほぼ同じ意味です。
【例文】
- 大量の社員が退職したため、急遽、ハローワークで社員を募った[募集した]。
- 町おこしのために、ゆるキャラのデザインを募った[募集した]ところ、予想以上に応募があった。
「呼び寄せる」(召集する・招集する)
「呼び寄せる」とは、呼んで集める、あるいは、招いて来させるという意味です。前者は、目上のものが目下の者を呼び集める「召集(しょうしゅう)」、後者は人を招いて集める「招集(しょうしゅう)」とも言い換えられます。
【例文】
- 殺人事件が発生したため、非番の警察官が呼び寄せられた[召集された]。
- 臨時取締役会を開くために、急遽、役員を呼び寄せた[招集した]。
「纏める」
「纏める(まとめる)」は多義語ですが、「集める」に類するのは、バラバラのものを寄せてきて一つにするという意味です。
【例文】
- 商品を求めて店頭にやって来た客を纏めて列を形成した。
- 飲み会の参加者から受け取った会費を纏めて支払いをした。
「収集する/蒐集する」
「収集/蒐集(しゅうしゅう)」は、①いろいろなところから寄せ集めること、②趣味や興味のあるもの、あるいは研究目的のために資料などを集めることです。②の意味では「蒐集」が使われることが多いのですが、「収集」が代用されることもよくあります。
①の意味では、ごみの収集や情報収集が日常的に使われていますし、②の意味では、切手の蒐集(収集)などがよく知られています。また、趣味などでは蒐集のことをコレクションとも言いますね。
【例文】
- 彼の異動情報収集能力は人事課を凌(しの)ぐほどで、営業部のCIAと呼ばれている。
- 祖父が蒐集していた日本刀には銃砲刀剣類登録証がなかったので、父が相続後、すぐに登録を行った。
「注目する」
「注目(ちゅうもく)」は、関心を持って見ること、見守ることで、「集める」の2の意味の類語です。また、物事を注意して見るという意味もあります。
【例文】
- 自動運転技術は、今後の自動車産業を支えるものとして注目されている。
- 新人展で大賞を受賞した若手画家の荒々しい筆づかいと躍動感のある画面構成が注目を浴びている。
「集める」の対義語
「集める」の対義語には、「散らす」と「配る」があります。「散らす」は多義語ですが、ここでは、集めた(集まっている)ものをバラバラにすることです。一方、「配る」には、物を分けて割り当てる、行きわたらせるという意味があります。
【例文】
- 幼い孫が、ブロックで作った自動車をバラバラにして、部品をあちこちに散らした。
- 求人広告で、ティッシュペーパーを配るアルバイトを募集していた。