「直近」とは?
「直近」は、(ちょっきん)と読みます。意味は、端的にいえば、一番近いさまです。その近さの種類は次の三つです。①時間的な近さ:一番最近の、一番最後の。現時点・当該事項から最も近い。②距離的な近さ:最も近い、すぐそば。③人間関係の近さ:最も近い関係。
「直」は、すぐに、じかにという意味で、「近」は、近いという意味で用いられています。この漢字2字の字義どおりに、どの場面でこの言葉を使われても、「すぐ近く」について問われているのだと理解し、文脈で時間か空間か人間関係かがわかれば、慌てずにすみますね。
「直近」の使い方
「直近」が使われる場合は、仕事の場、ルール説明、株取引、場所の説明など、重要な場面が多く、意味を誤って覚えていると、様々な失敗や混乱を引き起こすことになります。時間、空間、人間関係の3項目にわけて、別々に使い方や文例を後述します。
時間における「直近」
「直近」を時間において用いる時、最も大切なポイントは、「現時点」「今」をまず認識すること。そのうえで、過去と未来のどちらを対象とするかを決めて用いる、もしくは理解します。
「直近1か月のデータを提出してください」という依頼を例としましょう。「現時点」が8月8日であった場合は、1か月過去にさかのぼり、7月8日までの1か月のデータを提出します。
「直近1か月なら、どの日が空いていますか?」という問いかけを例としましょう。「現時点」が8月8日なら、1か月後まで、つまり9月8日までの間で、予定のない日を伝えます。
空間(場所)における「直近」
空間・場所において「直近」を使うことは、日常会話ではそれほど多くありません。仕事における場所の説明や、交通ルールの説明などで用いられます。ポイントは、中心、起点となる「場」を認識し、そこから最も近いなにかという理解をすることです。
不動産屋が、部屋を下見する人から、最も近い病院を尋ねられたとします。起点の場所は下見する部屋として、「部屋から直近の病院は徒歩5分ほどのA病院です」などのように使います。
人間関係における「直近」
人間関係における「すぐ近くの関係」といっても、親しさという意味での「近さ」ではないことに留意しましょう。ほとんどの場合、組織や会社などにおける、上司、部下などの関係性で用います。
例えば、直属の上司、統括する部署の部下などを「直近の上司」「直近の部下」のように表現することが可能です。
「直近」の文例
- 直近1週間の売り上げを至急経理部に報告してください。
- 区役所直近の区民センターの場所を教えてください。
- このごろ、直近の上司と折り合いが悪くて、ストレスがたまる。
「直近」の類語
「近々」
「近々(近近)」(きんきん・ちかぢか)
①時間的に、ある物事が、ごく近い将来に実現される予定であること、未来のごく近いうち。仕事上などでは(きんきん)と読むことが多くなります。日常会話では(ちかぢか)が多いようです。未来の時間のみを対象とします。
②距離的にごく近いさま。ごく近くに。この意味で使われるときは、(ちかぢか)と読み、かつ、~を近々と見るなどのように「と」を補います。
【文例】
- 近近(きんきん)貴社に伺いますので、よろしくお願いいたします。
- 近々(ちかぢか)そっちに遊びに行くね。
- スカイツリーを近々(ちかぢか)と見上げて、祖母は感激しきりだった。
「最近」
「最近」(さいきん)
①現在より少し前にさかのぼったある時。もしくは、少し前から現在までの間。現在に最も近い過去、ちょっと前、近頃。「直近」と異なり、対象は過去のみとなります。
②一番それに近いこと。「~に最近の~」というかたちで用いますが、日常会話で用いることはありません。学術用語的に使用される言葉です。
【文例】
- 最近の1か月で急激に売り上げが増加した。
- 最近、体調がとても良くなっている。
- 月は地球唯一の惑星であり、かつ、最近の星だ。