「裁量」とは?意味や使い方をご紹介

「裁量」(さいりょう)の意味をご存知でしょうか。日常会話というよりは、業務上の判断や、職権をどのように取り扱うかという文脈で見聞きすることが多いでしょう。ここでは、「裁量」の意味や使い方のほか、労働形態のひとつである「裁量労働制」についても解説します。

目次

  1. 「裁量」の意味
  2. 「裁量」の使い方
  3. 「裁量労働制」とは?

「裁量」の意味

「裁量」(さいりょう)とは、「自分の意見によって判断し、処置すること」という意味の言葉です。

また、法律用語としては、「法律によって認められた権利に基づいた、一定範囲内の判断や、行為を選択する自由」のことを「裁量」と言います。

いっけん難しそうに感じられる言葉かもしれませんが、一般的な意味を含め、「自分に与えられた権利の中で、自分の考えによって何かを判断し、物事を取りはからうこと」が「裁量」であると、まずは受け止めましょう。

「裁量」の使い方

「裁量」という言葉は、主に社会的な業務において、外部の定型化された決まりごとによってではなく、「自分の意見によって何かを判断し、処すること」を指して使います。

ただし、「自分の意見によって」と言っても、通常は、その人が好き勝手に何かを決めるというニュアンスではありません。何らかの理由で他に誰も明確な「正答」を決められないために、自分の考えで「答え」を決める…それが「裁量」の基本的なあり方です。

「裁量を行う権利のこと」を「裁量権」と言いますが、それを持つのは、その物事についての責任者であることが原則です。つまり裁量を行うにあたっては、その責任を負うに足る役職・地位・能力等が背景にあることがほとんどと言ってよいでしょう。

ある程度の「判断の自由度」がある

「裁量」は、もう少しわかりやすく言い換えれば「自由に決めていいものの中から、自分の意思で決める」ということでもあります。

例えば、誰かに「クッキーとチョコレートとガム、どれかひとつ好きなのをあげる」と言われて、あなたはこの3つの食べ物をどれも同程度に好きであったと仮定します。

この時あなたは、(他の誰にも決められませんし、合理的にこれが良いと判断できる基準もないので)「自分の裁量」に基づき、もらう食べ物を決めることができます。「判断の自由度」は、「裁量」の根本的な要件です。

例文

  • アメリカ合衆国では、同じ行為でも、それが犯罪になるかならないか、法の裁量は州によって異なる場合がある。
  • 前の職場では私に多くの裁量権が与えられており、自由に業務内容を変更することができました。
  • マニュアルにはっきり記載がない部分の対応は、それぞれの担当者の裁量に委ねられています。
  • みんなで従っている決まりごとがあるのに、あなただけ自己裁量で勝手なことをしないでほしい。
  • 子どもにだって、その日一日をどう過ごすか、自分の裁量で決める権利はあるだろう。

「裁量労働制」とは?

「裁量労働制」(さいりょうろうどうせい)とは、実労働時間(=実際に働いた時間)ではなく、あらかじめ合意した一定の「労働時間(みなし時間)」に基づいて、一定額の賃金を支払う制度のことです。

この制度では、労働者は、実際に働いた時間と関係なく「これくらいの時間働く」と、あらかじめ「裁量」された時間分の賃金を受け取ることができます。そのため、「裁量労働制」というわけですね。

「裁量労働制」は、働き方のひとつとしてメリットも大きい一方、その問題点が浮き彫りとなり大きな問題となることもあります。その一部を以下にご紹介します。

「裁量労働制」のメリット

「裁量労働制」の大きなメリットは、時間管理の自由度が飛躍的に高まることです。基本的には「勤務時間」のような拘束時間もなく、出退勤も必須ではなくなります。そのため、労働者は自分の時間をどのように配分して業務にあたるかを自分で決定できます。

例えば企画、創造、研究、開発、分析といった分野の業種では、「仕事の進め方」も含めてすべて自分でコントロール可能となるため、効率的に働くことができ、同時に労働者各自が持つ能力の正当な評価にもつながると考えられています。

また雇用者側としても、残業代を払わずに済む(どれだけ働いても、賃金は変わらないため)というメリットがあります。

「裁量労働制」の問題点

「裁量労働制」は、あらかじめ決められた「労働時間」と「実労働時間」とが著しくかけ離れてしまう点がしばしば問題として取り上げられます。

残業前提の長時間労働を連日のように強いられながら、裁量労働制のため残業代が支払われず、「これくらい働く」とみなされた時間をはるかに超過した過酷な労働を強いられてしまうケースがあるのです。

また、そもそも「裁量労働制」が適用可能な業種が少なく、適用条件も厳しいという専門家の指摘もあり、今後まだまだ改善が必要な制度といえるでしょう。


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