「新緑」とは?
「新緑(しんりょく)」とは、次のような意味の言葉です。
- 春の終わりから夏の初めごろの、みずみずしくつややかな若葉の緑色のこと。
- 1.のような様子の木々そのもののこと。
「新緑」は漢語(中国語、とくに漢字由来の言葉)です。冬に葉を落とし、寒々としていた木々が新しい芽を芽吹かせ、新しい葉を青々と成長させていく様子を、緑色という色に着目して表現しています。
このことから、「新緑」は時候の挨拶として手紙などでも使われます。「風薫る」、「若葉の候」と同じように、5月に使うのに適しています。
「新緑」使い方
「新緑」は植物の色そのものを表す場合もありますが、時期・季節・時候を表す使い方が一般的です。主に晩春から初夏の頃の、若々しくエネルギッシュなイメージを与える言葉です。
【例文】
- 彼女と初めて出会ったのは、新緑のころだった。
- 新緑が目にまぶしい季節になったね。ハイキングに行くのには楽しい季節だね。
- 新緑うるわしい5月、みなさまにはお元気でお過ごしのことと存じます。(時候の挨拶)
- 夏も盛りを過ぎた。木々の新緑もやがて落ち着いた色に変わっていくだろう。
「新緑」英語での表現
「新緑」を英語で表現すると、以下の通りです。ただし、日本語では初夏のイメージの「新緑」ですが、英語で「新緑」と使うときには春をイメージすることが一般的です。
- tender(spring、fresh) green
- fresh verdure
- green(new) leaves
【例文】
- The season of fresh green has come!(新緑の季節がやってきた!)
季語としての「新緑」
「新緑」は、俳句などの季語としても使われます。表す時期は<夏(初夏)>で、植物の季語に分類されます。子季語(もともとの季語に関連して拡張された季語、季語のバリエーション)は「緑(みどり)」、「緑さす」です。
関連した季語
「新緑」に関連した季語には、次のようなものがあります。
【若葉(わかば)】
新緑のシーズンの、若々しい葉の様子を表す。
【新樹(しんじゅ)】
新緑に包まれた木々の様子を表す。
「新緑」の時期についてもっと詳しく
新緑のみずみずしい「落葉樹」
日本では、おおよそ3月から6月ころにかけて新緑のシーズンを迎えます。日本が属する温帯や亜寒帯では、秋に紅葉し、冬に落葉する落葉性の植物が多くあります。
このように決まった時期に葉を落とす落葉性の植物(落葉樹:らくようじゅ)は、葉のない所からの芽吹きの様子も鮮やかで、より新緑のみずみずしさが印象的です。
日本では落葉樹は一般的に、春に新芽を出し、夏に青々とした葉を茂らせる「夏緑樹(かりょくじゅ)」です。落葉樹には、ハナミズキなど平らで幅の広い葉を持つ広葉樹が多いのですが、カラマツなど一部の針葉樹も落葉樹です。
新緑時期が少し遅い「常緑樹」
一方、一年中絶えず葉をつけている常緑性の植物(常緑樹:じょうりょくじゅ)にも、落葉樹ほど鮮やかではないものの、新緑のシーズンがあります。
4月から6月に古い葉と入れ替わりで新しい葉が出るものと、春から秋に少しずつ古い葉と新しい葉が入れ替わっていくものがあるため、一般的には、落葉樹の新緑時期より一月ほど遅くなります。
落葉樹が葉を落とす理由
では、なぜ、落葉樹は葉を落とすのでしょうか。葉は木にとって必須の器官です。それは、葉が光合成によって、木に必要な栄養分であるデンプンやブドウ糖を作り出すからです。ところが、葉は低温や乾燥に弱く、冬の厳しい気候の中では維持が困難です。
また、秋になって日差しが減ると光合成で得られるエネルギーは減り、寒さによって木は水分不足にもなります。すると、葉を維持するためのエネルギーや水分のほうが得るエネルギーや水分よりも多いという状態になってしまいます。そのため、冬には葉を落として休眠するのです。
「新緑」が季語として使われているように、「落葉(おちば)」も季語として使われています。秋のイメージもありますが、季語として「落葉」が使われたときには、冬を表します。